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8 戦いの幕開け。

 グリフォンの討伐が終わり、昼食。

 人化したことによって異世界で初めて飯を食べれるようになった。

 屋敷まで戻るのが面倒臭く酒場で食べているが、かなり旨い。

 

 しっとりと柔らかい生地に包まれ、中にはグリフォンの粗びき庵が入っており、程よい歯ごたえを残した庵、肉のうま味が液状に濃縮された肉汁。


 その三つが全て一つの形にされたグリフォンの肉まん。


 最初のひと噛み、歯ざわりの良い生地が破れる、と同時に溢れる肉汁。歯ごたえの残しておきながら丁寧にひかれた庵が畳み掛けてくる!


「…………」


 誰もが絶句し、欲望の赴くままに頬張り食らう。

 七人分の肉まんは瞬く間に消えていく。


 食材を持ってくれば調理してくれると聞き、グリフォンの肉を持ってきたが、ここまで旨いものだったとは。

 しかも、グリフォンの肉には筋力増強と魔力回復の効果を持っている。余った肉は全て干し肉にしている。


 戦場で魔力切れを起こした時に食べれば少しは回復するだろう。


「満腹、満腹」

「肉は好きじゃないのに、食べちゃった……」

「ライラはいっつも肉料理を嫌そうに、食うからな」


 ユースとライラは食べ終わり会話を始める。

 俺はあまりの旨さに放心状態だってのに、子供は直ぐに騒ぎ出す。


「ちょ、ガルダ、何これ」

「あー? どーした」


 脳内世界からエリナの声で現実へと引き戻される。

 エリナは自分の槍を見て目を見開いていた。


「槍がどうかしたのか」

「見えないの、ガルダのも見てみてよ」

「うわ」


 手を振ってエリナのペンダントの中に吸収された板を呼び出すと、空中にレベル5、と自分にしか見えない文字で書かれていた。


「魔結晶が成長したってことじゃないかな」

「ユース、なるほどそういうことか」


 レベル5、と書かれた空中を触れるとステータスが出てくる。


「ステータス、まるでゲームみたいだな」

「ゲーム? 何それ」


 ロイが、首をかしげる。異世界から転生したことがばれたら本能が危ないと警告するから隠しておこう。


「何でもない、何でもない」

「そう」

「それより、これステータスに書かれてるのって自分の得意な事じゃないか?」


 俺以外の文字が見える訳では無いが、自分のを見れば、スキルと書かれた下に、人化、霊体化、実体化、強運、契約者との共有。そして……創造(クリエイト)


 創造はきっと、想像したことが現実になることだろう。

 ある程度の武器や魔法は、想像すると攻撃力に総じて、魔力を消費し現実にものとなる。

 今まで簡単にレーザーや刀を作り出せたのは、これのお陰だろう。


 そう、これらは全て自分が出来ることだ。


「俺には、神の目と反応速度UP、炎の刃だ」

「私は精密、射撃と……速射と、雷撃弓……」

「僕はカウンター、威力倍増、見切り、氷の刃……全部自分に得意なことだ」

「ユース、スキル多くない? ズルい」


 全員自分のスキルを持っている。スキルには十字のの記号があり、触るとレベルを消費しスキルを追加する。


 今回は、魔力消費量減少をレベル2、魔力増強をレベル1、治癒の光をレベル2で取る。


 治癒の光は、傷を治す魔法で、もし彼らが傷を負ったら直ぐに治せるだらう。

 創造で作り出せる魔法は、大型の攻撃魔法がほとんどで、初級魔法は使えない。


 魔力消費量減少と魔力増強は、自分の魔力の消費を減らす為のスキルだ。

 自らの魔力を使い尽くすと、エリナの魔力を喰らうことになる。下手をすれば、俺が喰った男みたいに焼死体に成りかねない。

 それだけは回避しなければ。

 

「飯も食い終わったし、ちょっとこれいじってみるか……」

「おー凄いよこれ、スキルが増える」


 全員が武器に夢中になっていたが、そろそろ、飯代を支払わねばならない。バッテン印の記号を触り、文字を消す。


「お前ら、もう帰るぞ」

「あ、うん。わかったよガルダ」


 カウンターで支払いを終わり、屋敷へと帰る。


「あれ、これ……!?」

「どうかしたか、ジーク」

「機械鳥だ……。それもいっぱい」


 機械鳥、きっと敵の機械だろう。窓からジークは身を乗り出しじっと見ている。

 敵とは力の差が大きすぎる。

 機械鳥が飛行機やヘリコプターだったとしたら、空爆された途端終わりだ。

 弓矢は、金属によって作られた物を貫けない、しかも空を飛んでいたら届かないだろう。

 唯一対抗する力があるとしたら召喚獣ぐらいだ。


「こっちに来るのか」

「まだ遠いから来ないけど、夜に攻めてくるかもしれない……」

「俺が行くしかないか、お前らは地下室で待ってろ。空中戦が出来るのは俺だけだ」

「ちょっと、ヤバイよこれ。ドラゴンがこっちに来てる」


 これは、困る。ドラゴンまで来たら、俺一匹で相手できない。


「きっと、あいつらは、ドラゴンと戦って消耗したこっちを確実に仕留めるつもりだ。今までに見たことない、三カ国の戦う戦場になる」

「三カ国、あの魔物(ドラゴン)も国を作ってるのか」

「ガルダ、知らないのか? 魔物には魔王がいて、国を作ってる。俺らが戦争してるのは、――機械の国 アーザラ―― ――魔物の王国 スダル―― 俺らの国は ――魔法の国 ファーデン――」


 魔物がいるのは知っていたが、まさか魔王までいたとは、三カ国が街を戦場にして戦うのはまずい。


 なぜこんな街に三カ国もくる必要がある、何か理由があるとしたら、なんだ。


「空だけじゃない、きっと陸からもくる。俺らも戦わないと」

「とりあえず急いで知らせないといけないな、またいった道を戻ることになるか」

「ああ、急ごうガルダ」



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