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7 人型になれたんだけど。

「お疲れ様でした、自由の騎士団様報酬をどうぞ」

「おお、これは魔剣と、魔結晶と、武器、金。そして、何だこれ」


 酒場に到着し報酬の入った箱を、開けてみる。中には魔剣、魔結晶、武器、金。そして、おかしな形をした金属の板が入っている。


「それは、施設が開発中の新たな武器です。それだけではなく、そこの武器もその仲間で、武器に開いている穴に魔結晶を入れると、色々な効果が発動するらしいです」

「報酬の魔結晶を穴にはめればいいんですか」

「はい、その通りです。試しにその板にあの魔結晶をはめて、召喚獣様の依り代をくっつけてください」


 瞬間、魔結晶は光だし、何も見えなくなる。霊体化していた体は、不思議な感覚を味わい、形を変えていく。


「うわ、何だこれ、ガルダが消えた」

「何言ってんだ。俺はここにいるぞ」

「え、誰、このイケメン」


 お姉さんの説明によるとこれは弱体化するものの人の形で実態化できるらしい。力は普通の戦士より強いぐらいで、魔力消費量は霊体と同じくらいらしい。


 自分の手を見ると、人の手になっている。これは便利だ、戦闘時の魔剣の消費も減らせるかもしれないし、風呂にも入れる。何より、俺がイケメンになっている事が最大の利点だろう。


「報酬で貰えた魔結晶は、特別な物で、戦うごとに強く成長していきます。しかも、武器にはめて使うことによって、何度使っても壊れません」


 武器の使い方など、ある程度の説明を受けて、屋敷に帰ってきた。

 皆、疲れ切って寝てしまっている。丁度いいし、風呂に入ることにしよう。


「ぷはぁぁぁああ! 気持ちいい……」


 誰もいない大浴場。それを独り占めしている優越感、風呂の湯の温かさ。二つの感覚が気分を高揚させていく。


 人の体になって初めて入れた風呂で、テンションが上がり、ポーズを決めていく。


「はぁあああ! 変身! 仮面レンジャー ガルゥダ!!」


 ガラガラ。


 大浴場のドアを開く音、目を向けるとそこにはライラの姿。


 いつもは一つしかない大浴場を、時間ごとに男女別けて使っているが、今日は誰も入らず。

 明日の朝入る予定だった。だが、風呂好きのライラがいきなり入ってきて、俺の恥ずかしいポーズと、男が女の子の風呂に入り込んだみたいな構図に。


「何やってんのよ、ガルダって馬鹿」


 恥ずかしがる素振りを見せずに体を洗うライラ。もっと桶を投げられたり、悲鳴を上げたり、するかと思ったが、意外と落ち着いていた。


「怒ったり、恥ずかしがったり、しないの」

「ガルダに裸を見られたぐらいで、恥ずかしがらないわよ、何、それとも、私の体に興奮してるの? 変態」


 確かに少し興奮してるが、ここは意地でも隠し通さなければ。


「そんな訳ないだろ」

「なら、いいけど」


 気まずい、目のやり場に困る。背中をライラに向けながら前世について思い出す。

 俺の覚えている記憶で、唯一覚えている女性の裸は、前世の母親だけだ。

 きっと、女性とあまり関われなかった人生だったのであろう。ぼやけた記憶からはそんな内容が出てくる。


「明日、クエストに行かせてくれないかしら」

「今日、行ったばっかりなのにか」

「少しでも、速く強くならないと」

「焦ることないんだぜ」

「でも――!」

「まあ、明日皆に聴いてみるよ。あと、眠いし、あがるぜ。おやすみ」


 ■■■


 む、朝か、声が聴こえる。エリナか……。ああ、そろそろ起きないと。


「ふぁあ!? 聴いてましたか!?」

「何を? てか、なんで俺頭撫でられてんの……」

「その、撫でやすそうな、頭があったので、つい」

「あ、うん、別にいいけど……」

「その、昔、父様に毎朝頭を撫でてもらってたんです。それで、ガルダも頭撫でられたら嬉しいかなって」

「じゃあ、はい」


 ぽん、とエリナの頭に手を置く。そして、男らしく乱暴に頭を撫でる。きっと、エリナの父親はこうであっただろうイメージを再現する。


「おはよう、エリナ」

「おはようございます、ガルダ」

「早速で悪いが皆呼んで来てくれ」

「はい」


 少し頬を赤らめるエリナは、皆を集めに行く。

 人の体になれるようになってから、いいことだらけだ。

 ラッキースケべが発動したり、エリナに、頭をなでてもらったり。


 俺が女性にやって欲しかった前世の願いであり、転生したらやってもらうという信念が形になってきている。


「集まってもらって悪いが、今日軽いクエストに出ようと思う。昨日、酒場に張り紙のあった中型魔獣グリフォンの討伐だ」

「おお、新しい武器のテストか」

「皆、自分の特技を活かして戦って欲しい」


 酒場から、馬車を使い、中型魔獣グリフォンの討伐に向かう。新しい武器と自分の体のテストだ。


 馬車からの景色は綺麗で見ていて諦めない。段々と景色は移りゆく。

 町から、平野、さらに荒野、最後にキャンプ地へと。


 キャンプ地は、かなり荒れていてあまり長く居たくない。


「さて、着いたし行くか」

「おー」


 皆、それぞれの武器を持ち個性と特技を持っている。


 今回はそれを活かすのが目的だ。


「きた、十時の方向、空」


 ジークの指示で戦闘態勢に入る。


 ユースが真ん中に立ち。周りから人が引く。


 そしてグリフォンの滑空攻撃、だがそれはユースによって受け流され切り返される。


 ユースの得意な剣を使ったカウンター。魔結晶により威力は増幅され、切り口が凍りだす。


 サクラがそれを雷を帯びた弓矢で追撃し、ひるませる。


 ライラのブーツを使った脳天割りが炸裂し、爆発する。


 しかしグリフォンは態勢を立て直し、翼で竜巻を起こす。


 人型のガルダがそれを、魔力で作り出した刀を使い、切り刻む。


 魔結晶により、属性が追加されており、それは確実に効いている。


 エリナは、疾風のように槍を翼に突き刺す。

 それに合わせてロイとジークが、翼を切り刻む。

 ロイは得意のスピードで切り、ジークは、翼の動きに合わせながら、的確に切る。


 ロイの切り口からは毒。ジークの切り口からは、火。


「ギャオォォオオオオ」


 グリフォンの咆哮、そして体に竜巻をまとう。


 竜巻の鎧は刃を弾き飛ばす。


 だがジークは、竜巻の隙間を見つけ剣を刺していく。


 ジークがジリジリと体力を減らし、竜巻が弱まっていく。


 最後に刀を使い真っ二つに両断する。


 グリフォンは、動きが止まり、倒れる


 目的は果たされ、達成感。じきにそれは脱力感へと変わっていく。


 皆の全力を叩き込んだ戦いは終わり。勝利を喜ぶ雄叫びが上がる。


「よっしゃぁぁあああ」

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