4「ヒキコモリお姫様キタコレ!」
現在廻のテンションは頂点まで上がっていた。
聞き間違いじゃない!ヒキコモリお姫様…
「く~!」
俺はこの嬉しさに歯を食いしばる。
これ俺のメインヒロイン確定でしょ!いやぁ…この設定ならなかなかにいいライトノベルの一冊でも書けそうな気がしてきたぜ。
この後の展開が目に見えるようだ、俺がラノベ主人公のように心に響くような事言ってそして外へと足をを踏み出す、そして俺に恋に落ちる!俺とヒキコモリお姫様の壮大な旅が待っていると!てことで…
「姫様の鍵を拝借させて貰ってもいいか?ネス」
と、俺は両手を広げネスの前に突き出す。
早く俺のメインヒロインの顔を見たいからな、超絶可愛いのは確実として性格はきっと内気で泣きっぽくて…あぁもう!早く顔を見たいぜ!
「おぉ!引き受けくれるんだね!嬉しいよ廻!嬉しんだけどね…」
「ん?」
俺はそのネスのその苦笑いに疑問を覚える。
そしてネスは口を動かした。
「その鍵を開けても無駄なんだよ…姫様が何かしたみたいで…鍵を開けた後開けようとしたんだけど、びくともしないんだ…壊そうともしたんだけどダメで…窓からの侵入もダメだった…何故かそっちもびくとすらしないと言う有り様で…」
「…」
え、なにそのムリゲー?ふざけんなよ!!メインヒロインの姿所かこれじゃ声も聞けねぇんじゃねぇのか!?
嘘だろ…!どんだけ先回りして俺の手段奪ってんだよ!俺の異世界ライフが再び危機に…くっそ…どうする?言葉何て言う手段で説得できりゃ俺に頼まないはずだし…
「ああもうなんでこうもうまくいかねぇんだ俺の異世界ライフ!」
俺は頭を抱えながらない頭で考える。
もういっそ他のヒロインを探しに行くか?いやいや!それはネスに悪いしな…あぁもうどうすりゃいいんだ!
てか…「…」俺は視線を扉に向ける、この扉そんなに頑丈そうに見えないけどな…ただデカいだけ。
「ッ…!」
もしかして…あれか?異世界には確実にある…てかなきゃ異世界じゃねぇよな?だとしたら…
そして廻のテンションは再び徐々に上がる。
廻は口を開きネスに尋ねる。
「その姫様って、魔法、とか使えたりする…?」
「使えるよ」
その答えはあっさりと返って来る。
「…」
魔法キタアァァァァァァア!!
さすが異世界!やっぱ異世界と言えば魔法だよなぁ!
と、俺が興奮の舞を踊っているとネスが不思議な顔をしながらこちらに視線を向ける。
おっと…あまりの興奮に体が勝手に動いちまったぜ。
まぁ大体は予想出来たな…この扉、たぶん魔法に守られてる。
防御系の魔法の類だろう…そしてもしそれが本当だとしたら俺は…
帰る。
いやそらそでしょ。
駆け出し冒険者、いやただの一般人に魔法の対処の仕方など分るはずもないない。
つまりこのヒロイン、攻略不可のキャラなのである。
んま簡単に言うと、無理ゲー。
「ネス、すまんがこの件俺には無理だ、魔法の知識は愚かこの世界のことすらよく知らないんだ…」
「そっか…うん!仕方ないよね、ごめんね、無理な事頼んじゃって」
「ッ…!」
いいのかよ…助けてもらっておいてこんな顔をさせるなんて…いや言い訳がない。
許される訳がない。
俺にはこの扉を開ける策はねぇけど…考えて見なきゃわかんねぇよな。
まだ俺の頭は働く、ならこの少年に力を貸すべきなんじゃないのか?
俺の出来る事、やれる事、力になれる事。
そしてなにより…扉の先にいるお姫様の顔を見ずに帰れるか!?
否だ!否に決まってる!考えても見ろ、ここはファンタジー、何でもありな異世界だぞ。
なら方法はいくらでもあるはず。
そうだ…諦めるのはまだ早いぞ加藤 廻。
「それじゃあ廻、ここまで来てくれてありがとう、後は僕がどうにか…」
「待て、ネス、さっきの言葉訂正させてくれ」
「え…?」
「まだやってもいないのに諦めるのはダメだやっぱ、てことで、全力で協力させてもらうぜ!」
「廻…」
ネスは喜びのあまりか少し涙を流す。
「泣くなよ、ネス」
廻は笑いながらネスに歩み寄り涙を拭う。
「ごめん廻」
「いいってことよ、俺ら友達だろ!」
「廻…本当に…本当に…ありがとうー!」
「ぬわっ!」
ネスは廻の方へ飛び込み思いっきり抱きつく。
突然の出来事に倒れこんでしまう廻。
いやてか可愛いすぎるだろなんだこれ、俺もうショタコンになっちゃおうか?
うんナイスアイデア!って何処がナイスアイデアだ!俺はノーマルだぞ!ノーマルだかんな!?
ただもし、次に抱きつかれたらどうなるか…それは、俺にもわからない事だ。
読んでくださりありがとうございます!
廻が目覚めないか本当に心配になってきた…