28「卒業試験の内容!」
「卒業…試験?ってどういう事なんだ?」
と、俺が頭の中でハテナマークを多数浮かべていると、ネスは答える。
「簡単に言うと、君らは僕の卒業試験に合格し、魔術師を育成するための学校、リエード学園に通ってもらうためだ。
そこで、三年間君らには生活してもらう」
ネスは平然とそう答えた。
まるで、業務の処理を淡々とこなすかの様に。
俺は何故かそれに、酷く腹が立った。
「何でだよ…?ネスがこのまま俺達に魔術を教えてくれればそれでいいじゃないか!
別に卒業なんていらない、俺はネスに、ネスだけに魔術を教わりたい」
「私も、廻に同意します。
ネス先生の魔術の教え方はとても素晴らしい物だと、この私の体がそう実感させてくれました。
こんな短期間で上級魔術師になれたのは、ネス先生のお陰です。
だから、私は、卒業したくありません!」
二人は抗議する。
ネスは、その言葉に自分を取り繕う事なんて出来なかった。
だから、正面から二人に向かい合って、伝える。
「廻…ガブリエル…僕はさ、君達に負けたくないんだ」
「俺達に?」
「君らはきっと、強くなる。
僕の教えなんかじゃ手に余る。
だから、二人を僕がお世話になった学園に通わせるんだ。
あそこはきっと君らにいい刺激を与える、知識を与える、それは僕が保証しよう。
そしてね、なにより、二人はこのままいけば僕なんかすぐ抜いてしまう。
僕の手の届かない場所に行ってしまう。
嫌なんだよ、これ以上立ち止まっているのは、だから僕は、強くならなくちゃいけないんだ」
そう語るネスに、廻達は言うことなんてなかった。
これ程小さな少年が、強くなろうとしている。
それを誰が邪魔出来ようか、自分等の我が儘に付き合わせるなど、それはあってならないことだ。
納得しなければいけない。
わかっている、俺がネスを止める権利なんてない。
けど…それでも…こんなの急すぎて…。
受け止めきれない、当然である。
急に別れを告げられ、そしてこの世界の一番と言っていい友人に、恩人と、離ればなれになってしまうのだから。
それは、ガブも同じこと。
自分を急成長させてくれた人の元へ離れて他の人に教えてもらうなど嫌に決まっている。
受け止めきれないに決まっている。
けど、これは受け止めなければいけない。
だから、俺達は笑い、出そうな涙を堪えて言う。
「わかった…やるよ」
「私も…やります」
「ごめんね、二人とも。
僕の我が儘で、ではこれから、卒業試験の内容を説明する」
ネスは出た涙を拭う。
ネスも辛いのだ、教えていたいと心の底から思う、けれど、自分も立ち止まる訳にはいかない。
だから、彼はこの決意に至ったのだ。
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「…思い付かん」
俺は今、屋敷にある書斎にこもっていた。
何故机に魔術の本が散乱しているかと言うと、そうそれは卒業試験の内容に関わる事だ。
そのネスが出した卒業試験の内容と言うのが『固有魔術』の作成である。
期限は半年。
その期限ないに固有魔術を完成させ、ネスに認めて貰わなければいけない。
覚悟を決めた、はずなんだが…。
「あー!わかんねぇ!いくら読み漁っても何もわかんねぇ!てか自分で新しい魔術作んのって想像以上に難しい!!」
つかあのネスですら固有魔術を作るのに一年かかってるってのに…半年て…ムリゲーすぎる。
いやそりゃ俺だって期待に答えたいし、ネスを安心させてネスの元から卒業したい…けど、これはあまりにも頭を痛め付ける卒業試験だ。
もう既に俺がこの書斎にこもってから一週間が経過している。
この卒業試験の間は魔術の訓練はなし、夜の授業もなし、ネスとの模擬戦は三日に1回、ルナとの剣術の稽古はいつも通り、ってのが今の俺の予定だ。
今じゃ朝起きて飯食っては書斎へ。
ルナとの剣術の稽古が終われば書斎へ。
たまにあるネスとの模擬戦が終われば書斎へ。
そしてそのまま寝落ち。
この一週間の俺の生活はこんな感じだ。
ずっと本を読んで読んで、ヒントになる物を掴もうとすると、まだ全然手が届かない。
「あぁクソ!」
俺は頭を乱暴にかきながら再び新しい本に手を伸ばしそれを読み始める。
まだまだ手付かずな本は山程ある。
なら、きっとその中からヒントが掴めるはずなんだ。
「絶対習得してやる…固有魔術…」
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