21「魔力測定のお時間です!」
俺がこの異世界に来てから、既に半年が経っていた。
俺はこっちの世界にはかなり慣れた。
城での生活も今では習慣となっている。
ガブとエリエルさんも、どうやら城での生活は慣れたらしい。
ちなみに、今はガブと一緒にネスに魔術を教えて貰っている。
「ふぅ、どうだネス!?」
俺はネスに訪ねる。
「うん、合格だよ廻!
下級魔術師に昇格だ!」
「いぃ~よっしゃああ!!」
廻は飛び跳ねて喜ぶ。
廻はこの半年間で、様々な魔術を覚え、そしてやっと、下級魔術師になれたのだ。
それを「おめでとう廻」と、パチパチと拍手をしながらお祝いしてくれるガブ。
ガブと俺の仲もかなり順調で、なんと!廻さん、から、廻、に呼び方が変わったんだ!
これはとてつもない変化だ!
「ガブリエルも、上級魔術師昇格おめでとう」
「ありがとうございます!」
ネスは、ガブにそう言うと、ガブは本当に嬉しそうにネスにお礼を言う。
ネスとガブの間には、生徒と教師、と言う関係がこの半年間で築き上げられた。
見ていて、とてもいいものだ。
けど…この半年間でわかったけど、ガブは凄い。
最初にあっときにはもう既に中級の魔術師で、この半年間でもう上級に上がった。
ネスから聞いた話だと上級魔術師になるには、最低でも一年はかかる。
それをガブは半年で成し遂げたのだ。
まぁこれはいわゆる、天才だ。
てかそう考えるとネスって本当に化物だよなぁ…。
と、苦笑いを浮かべる廻だった。
そんな廻はさておき、ネスは何か考えたあと、小さく「そろそろかな」と小さく呟く。
「廻、ガブリエル、この後僕の部屋に来てくれるかな?試して貰いたい物があるんだ」
「「?」」
ネスのその言葉に、俺とガブは首を傾げながらネスに着いて行った。
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ネスの部屋にて。
「なんだこれ…」
俺はつい、そんな言葉を溢してしまう。
ネスの部屋の真ん中に、丸い水晶の様な物があった。
しかもそれは浮いていたのだ。
デかさは人の頭くらい。
丁度俺の腰の位置にある、俺の息子にだけはぶつからないで欲しいと願う。
廻がそんな想像をして、両手で息子を抑えていると、ネスは、コホン、と一つ咳払いをする。
「えっと、これは僕が作り出した魔道具で、魔力測定機、って言うんだ」
「名前から察するに魔力の量がわかるのか?」
と、俺がそう聞くと、ネスは「その通り!」と言いながら人差し指を上に立て、語り始める。
「これは僕がこの一年間でやっとの思いで作り出した物なんだ!
魔力量を数値で表すことによって、その人の魔力量がどれ程なのかわかる!
ちなみに僕の魔力量は、八千五百十二、と出た!
これから導き出せる魔力量での階級分けは恐らくこうなる!」
下級魔術師、百~五百。
中級魔術師、五百~千。
上級魔術師、千~三千。
国級魔術師、五千~一万。
神級魔術師、測定不能。
「てな感じで!神級魔術師に関しては予想が出来ないから仕方ないとしても、この僕が導き出した数値に問題はない!むしろ完璧だと思うね!一ミリの誤差もなく、この魔道具は完成された!
これを世に出せばきっとすごい事になるだろうね~」
ネスは自慢気に語った。
てかこんなネス始めてみるな…めちゃくちゃ楽しそう。
いやてか、そろそろ止めないとあれ止まんないよな?よし、止めよう、ネス先生がエクスタシーする前に止めよう。
「で、結論は?」
「二人の魔力量を計ろうと思うんだ!」
最初っからそう説明してくれ。
と、苦笑いを浮かべる俺とガブ。
「で、どうやって計るんですか?」
と、ガブが聞く。
「簡単だよ。
手をこう水晶の上に翳すだけで、魔力量が数値として、表れる。
ま、やってみればわかるよ!」
ネスが、そう言うとガブが前に出て「それでは私から…」と、言いながら恐る恐るその水晶の上に手を翳す。
すると、睡眠の、中に、ルーレットの様に数字が並んで行く。
そして、数字が並び終えた。
「「っ…!?」」
その数値に、俺とネスは驚きを隠せない。
その水晶の中に出された、数字を口にする。
「四千百十…」
ガブがその一言を口にした。
つまり、ガブの実力は、国級魔術師レベル、と言うことになる。
「凄いじゃないかガブ!」
最初にその感想を述べたのは俺だ。
「い、いえ…そんな大した事は…」
「謙遜はやめろ…この後の俺のハードルが上がる」
「ご、ごめん廻!」
俺は苦笑いを浮かべながら「いいよいいよ」と、返す。
まぁハードルが上がった事実には変わりはないんだけど…とにかく!やるっきゃない!
「じゃ!行くぜ!」
廻が手を水晶に翳す。
そしてルーレットが回る。
そこに、廻の魔力量が写し出された。
だが、その写し出されのは数字ではなかった。
「「「っ…!?」」」
俺達はその写し出された一言に釘付けになる。
そして、俺は、その一言を口にした。
「測定…不能…」
読んでくださりありがとうございます!
ちなみに、一章十話構成みたいになっていますが、そう言う訳ではありません!




