20「最高の朝って奴!」
そんな俺の勘違いは置いといて、と。
俺は、ガブに近付きガブの頭の上に左手をポン、と乗せる。
「なぁガブ」
「はい…」
廻が優しく微笑むと、ガブリエルは小さく返事をした。
「確かに、ネスはエリエルさんに酷いことを言った、けどそれはネスも反省してる。
だから許せとは言わない、けどこれから一緒に暮らすんだ。
ずっとその態度で接する訳にもいかないだろ?」
廻は優しくガブリエルに語りかけた。
そしてガブリエルから手をどけて、背中を軽く叩き、さっ!、と廻は一言かける。
「ッ~…ごめん…なさい…」
ガブは下を見詰めながら謝る。
はい、よく出来ました。
「いやその、僕の方こそ本当にごめん」
ネスは頭を下げて謝る。
そんな二人を見て、廻は、パン!、両の手の平を叩く。
「はい!これで過去の事は水に流して、これからは仲良く、だな?」
と、廻が言うと、二人は微笑みながら返事をした。
この日の授業は、色々為になる授業をした。
それは、魔術術師には階級がある。
分けられる階級は五つ。
下級魔術師。
中級魔術師。
上級魔術師。
国級魔術師。
神級魔術師。
この五つだ。
下級と中級に関してはこの世に何千万と越える人数がいる。
そして上級からは、へぇすごいなぁ、程度、数万人くらいはいる。
そしてここから、国級魔術師。
国級魔術師は、この世にいるのは、二桁くらい。
この世にこれだけ魔術師がいてそんだけ。
それ程に国級魔術は覚えるのには困難なのだろう。
固有魔術を使える者は、国級魔術師として認められる。
他には国級魔術を使えれば認められる。
だが、国級魔術を習得するのに必要な時間は、数十年と言われている。
ちなみにネスは国級魔術師に当たるらしい。
いや本当にすごいな家の先生は。
そして神級魔術師。
これは世界にたった四人しか存在しない。
これを『四代神』と呼ぶらしい。
この四人はもはや神の領域に足を踏み入れた者達として、称えられている。
だが、この四人が実際に存在するのかはネスも知らないらしい。
もしかしたらおとぎ話なのではないか?とまで言われている。
ん~…一度お目にかかりたい物だ。
ちなみに俺はまだ下級未満らしい…何て遠い道程なんだよ。
まぁだからって諦めて、努力をしない理由にはならないけどな。
そして、そんなこんなで今日の授業は終了。
「今日も一日お疲れ様ー!!俺!」
と言いながら俺はベッドにダイブ。
いや本当に疲れましたよ…インドア系の俺にはキツすぎ…まぁすんげぇ楽しいんだけどさ。
異世界召喚された主人公は元の世界に戻りたがるけど、こんなに楽しいのによくそんな事を思うよな。
俺なんて、微塵も思いやしねぇや。
「く~!異世界最高ー!」
その言葉を最後に俺は寝たのだった。
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朝、廻の部屋にて。
「め…り…くん」
廻は微かに響く声に少し意識が戻る。
「…ぐりくん」
引っ付いていた目を細く開けると、ボンヤリと黒い髪をした女性の姿が見える。
「だ…れ…?」
「廻くん!もう何寝惚けてるの!
朝だよー!ほら、早く起きて!」
俺はその声と共に、歪んでいた視界がはっきりと写る。
そこにいたのは「なっ!?」メイド服を着たエリエルさんだった。
「今日も一日頑張る時間だよ?廻君!」
エリエルは廻に満面の笑みを向けた。
あぁ…この素晴らしい異世界と笑顔に…いや、何でもない。
さぁ!今日も異世界楽しむぞー!
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ネスは朝から一人、部屋で考え事をしていた。
一枚の紙を、じーっと見詰める。
「二人をここに…いや、やっぱりまだ早いかな」
ネスは一枚の白い紙を引き出しに閉まったのだった。




