18「今更!」
そして、俺とエリエルさんが席に着く。
ネスが作った料理がいつも通りズラリと並べられている。
相変わらずネスの料理は上手そうだ。
エリエルさん、ガブリエル、姫様が追加されたことにより、席順が変わる。
まず、エリエルさんとガブリエルは相席。
その目の前にはネスとルナ、そしてお誕生日席になったのは俺と姫様だ。
俺は左、姫様は右と言う図になっている。
何て言うか…狭いな。
そんな事を思いながら、食事をする廻。
食事の途中、ネスがとある事を切り出した。
「これからの方針を決めたいと思う」
「方針?」
俺は一度スプーンとフォークを置いて、話を聞く体制に入る。
それに便乗するかの様に皆も、食事中の腕を止めた。
「そっ!まぁ簡単に言うとルール見たいな物さ。
それじゃあ説明していくね。
まず第一に、ガブリエルさんの教育は僕がさせて貰うことになった」
その言葉に驚愕を隠せず、唾を飲み込む廻。
そして等の本人であるガブリエルも驚きと、共に反論する。
「わ、私は嫌です!
これまで通りすぎ母様に」
そして、その続きを語ろうとした瞬間、その言葉はエリエルによって遮られた。
「ガブリエル、これは私がネスさんにお願いしたことなの」
「なんで!?」
ガブリエルは今まで、エリエルに全てを教わってきた。
魔術、言語、計算、世の事、それら全てを。
けど、これをネスに託すことにした。
それには勿論、理由がある。
「ガブリエル、私は今まで貴女に色々教えてきた、そして貴女は独り暮らしをしたいと言った、本当は貴女が一人で成さなければいけない事。
もし姫様の提案がなければ私はここでは暮らせていない、この意味がわかるね?」
エリエルさんは優しく、そう言った。
親孝行の瞬間、と言う奴なのかも知れない。
その光景を見て俺は日本にいた頃の自分を少し、思い出し、そして、お母さんとお父さんの事を思い出していた…。
そう言えば、俺、何も返せずに終わったんだったな。
そう…もう返せない、もしあの世界に戻る方法があったとして、もう返せないんだ。
まぁ…この世界で俺の人生は使うともう決めている。
だから、全力でこの世界で行きてやる、お父さんとお母さんの分も。
廻は、そう覚悟を決めた。
「わかり…ました…。
我が儘を言ってしまいすみません」
ガブリエルはしょぼんとしながら謝る。
んん…しょぼんとしているガブリエルちゃんも可愛い!ペロペロしたいお。
「んん、じゃあ話に戻るね?」
と、ネスは咳払いを挟む。
おっと、いかんいかん、ついガブリエルちゃんの可愛さに考えることをやめてしまった。
ネスは、言葉を続ける。
「そしてもう一つ、エリエルさんの事についてだけど、これもエリエルさんからの申し出で、城でメイドをして貰う事になった。
メイドの仕事とかは姉さんが教えるから心配はないよ」
「任せて!」
ルナは親指を立て、笑顔を見せる。
そしてさっきから姫様がじーっと見ていることにネスは気づいていた。
視線を姫様の方にネスは向ける。
「ど、どうされましたか?姫様」
「ネス…ずっと気になってたんだけど」
姫様は視線の方向をとある人物に変え、指を差す。
「へ?」
その人物は、廻である。
え?俺姫様に何かしたっけ?
いやむしろ何もしてないよね?
そして、姫様は一言。
「こいつ誰?」
「「「今更!?」」」
俺に、ネスとルナはその一言を叫んだ。
そう言えば色々あって自己紹介していませんでしたねー、すみません。
そして、姫様に廻の事を話した結果。
「廻君、何かごめんね☆」
再びテヘペロ。
この時殴ろうとしたのは許してほしい。
それほどに、その顔に殺意が芽生えたのだから。