16「仲直り!」
16「仲直り!」
「ふぁ~」
はい、異世界にあくび一つっと。
さぁて、今日も魔術に剣術を頑張ろうかね。
俺は扉を開けてネスがいる中庭へと行く。
正直、昨日の件もあって会うのが気まずい。
結果的には大丈夫だったけど、ネスはエリエルさんの事に関してだけは、まだ認めていないと思う。
俺も言い過ぎたし…あぁもう!うじうじ悩んでも仕方ないだろうが。
昨日の事を謝ろう、謝ってスッキリしよう。
そして、中庭に到着。
ネスはこちらに気づき振り返る。
「来たね、廻。
じゃあ魔術の訓練を始めようか」
ネスはいつも通りだった。
いつも通りの笑顔を見せてくれている。
どう言うことだ…?
「ネス…昨日の事、怒ってないのか…?」
俺は、不思議な顔でそう尋ねる。
昨日はあんだけ喧嘩したのに、この態度は流石におかしすぎる。
すると、ネスは困り顔を浮かべて頬をかきながら答える。
「怒るもなにもあれは全部僕が招いた結果だ。
悪いのは僕で、廻に怒る筋合いはないよ。
それに、僕は廻に昨日の事を謝りたいくらいなんだよ?」
「え?」
「後でゆっくりその話をしようと思ってたけど、もうここまで来たら言わせて貰うよ?
昨日は本当にごめんなさい」
ネスは深々と俺に頭を下げる。
俺は慌てて、訂正をする。
「ちょっと待ってくれ!
昨日は俺だって悪かった!
あんなに言う必要も突っ掛かる必要もなかったのに…だから、その、ごめん!」
廻も頭を下げる。
ネスは顔を上げ、そんな廻を見て、不思議と笑いが出る。
「アハハ!何で廻まで謝るのさ?
正直一発殴られる覚悟くらい僕にはあったつもりなのに」
俺はネスのその質問に苦笑いを浮かべて答える。
「そんな罰当たりな事出来ねぇよ…」
「なんで?」
俺は少し頭をかく。
正直照れ臭いけど…いい機会だしな。
俺は、ネスのその問いに答える。
「ネスはさ…その、俺の恩人なんだ」
「宿屋の一件なら、僕は大したことは…」
「大したことなんだよ、俺にとっては」
謙遜の言葉を並べようとしたネスの台詞を遮るように、廻は言葉を続ける。
「たぶんあの時、ネスに助けて貰えなかったら、今の俺はここにいない。
こんな楽しく毎日を過ごせていない」
廻は空を仰いで答えた。
「そんな大袈裟な…」
「大袈裟なんかじゃない。
俺は本当に、ネスには感謝してる」
そう、今の俺はネスに感謝の気持ちしかない。
この右も左もわからない異世界で、俺に手を差し伸ばしてくれたのは、他の誰でもない、ネスなんだ。
そんな人に恩を仇で返すなんて馬鹿げてる。
もしネスに出会わなかったらと思うとゾッとする。
何も出来ない、何もない、一人だけ。
そんなの、異世界を楽しむ所の話ではない。
あぁ…そう考えると俺はネスに一生この恩を返せない気がする。
いや、反そう。
いつか必ず、この優しい少年に。
それまで、俺はこの世界で生きるんだ。
せっかくの異世界だ、とことん楽しんでやる。
ネスとルナ、エリエルさん、姫様、それに俺のヒロイン候補であるガブリエルちゃん。
考えるだけで楽しいメンバーではないか。
こんな面子が揃っていて、楽しくない異世界生活なんて、きっと有り得ない。
あぁやベェ!何かワクワクが止まんねぇ!
「ネス!それじゃあ始めようぜ!」
「うん、そうだね!」
廻はそのワクワクを魔術で発散したのだった。




