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規格外な魔力量で異世界成り上がり!  作者: あだち りる
第一章「異世界キタコレ!」
10/31

10「なんて律儀な!」

「はぁ…酷い目にあった…」


俺はベッドの上でため息をつく。

現在は夜中で、えっとスマホの方は…朝の6時…すげぇタイムロス。


あの後、俺はルナに酷くぼこぼこにされた。

ルナはなかなかに手厳しい…あれ違うだの手の動きはこうだのと言う度に何度木剣で叩かれたことか。

その後のネスの労いの言葉と治癒魔術がなければ俺の心は身と共に病んでいた事だろう。

あの姉弟…似ても似つかねぇな。

何て事を思っていると部屋の扉が、ガチャリ、とゆっくり開いた。


「廻、起きてる?」


扉を開けて除き混んでいるのはネスだ。

俺はベッドから、よいしょ、と起き上がり「どうした?」と尋ねる。


「そのね、魔術の勉強と言うか…その…使うだけじゃなく、詠唱文も覚えて貰わなきゃいけないことを忘れてて…廻が良ければ何だけど、僕の部屋で授業をと…ダメかな?」


「勿論いいぜ!」


そんな顔されて断れるかこの廻君キラーめ。

説明しよう!

廻君キラーとはネスの持つ一つの能力である!

どんな顔の角度からも廻君を惚れさせることが出来るぞ!って馬鹿言うんじゃないよ。

まったく…これじゃ俺がまるで受け見たいじゃないか!俺は受けか攻めで言えば断然攻めたい派だっつの!

いやだから、男に惚れる趣味はないぜございますよ?本当ですよ?


廻は何故か念押し。

そんな廻の心情はさておき。

廻はネスの部屋に到着した。

ネスの部屋には、真ん中にデカイベッドと、その右隣に机。

周りはほとんどが本で埋め尽くされていた。

どでかい本棚がなかなかに異彩を放っている。

ネスの部屋か…何かいい臭いがするぜ。


「それじゃ廻!授業を始めるよ」


そして、ネス先生の授業が始まることとなった。

授業の内容は学校の授業とは比べ物にならないくらいにワクワクしたし楽しい。

てかこれから自分が使うかも知れない魔法を覚えるのが楽しすぎて仕方がない。

魔法には三つの種類があるらしい。


まず一つ目。

いわゆる普通の魔術だ。

詠唱文を唱えて、魔術を放つ。


そして二つ目。

纏い術。

名前はダザイが、格闘家が良く使うらしい。

体の一部に魔力を纏う、まぁまんま纏い術だ。

魔力を纏う事によって通常の十倍のパワーが発揮されるんだと。

使える人は数えるほどらしいがな。


そして三つ目。

これが一番興味深い。

固有魔術オリジナル

これは自らが新しい、つまり誰も生み出したことない、或いは生み出せなかった魔術の事を言うそうだ。

ちなみにこの固有魔術オリジナルは世界で使えるものは七人、だそうだ。

いくらなんでも少なすぎるのではないか?と思ったが、それほどに難しいらしい。

一応言っておくと、今生きてて固有魔術オリジナルが使えるのが七人ってだけであって、昔には固有魔術を作り続けた者がいたらしい。

まぁいわゆるこれもまた天才と言う奴だ。

てかその固有魔術オリジナルを作り続けた天才達が今ある詠唱文を残して死んでいったとか何とか。

とにかく、固有魔術オリジナルと言う技術は真似ようにも、才能、魔力、頭の良さ、これら全てを必要とするのだ。

七人…と言う数字にも納得がいく。


と、これが魔術の種類。

そして、これが一番驚いた。

ネスはこの三種類の魔術を、全て使えるのだ。

てことはだ。

ネスは固有魔術オリジナル、つまりこれが使える七人の内一人って事らしい。

てなると俺はかなり凄い人に魔術を教えて貰ってるって事じゃないか!

やべぇな…てことは俺は天才魔術師ネス=フォンの一番弟子って事か…?

テンション上がるなおい。

俺もいつか固有魔術オリジナルを作ってみたいもんだ。

そしてこの日の授業は終わった。

けどまだ疑問に残ってることがあるので俺はネスに質問する。


「ネス先生、ずっと気になっていたんですが、魔法と魔術の違いってなんでしょうか?」


「先生て…ごめんね、僕が魔法とか魔術とか何度も言うせいでややこしくなっちゃったね、簡単に説明するとね!」


魔術。

術を構成し、魔術を放つこと。


魔法。

何もないとこから様々な物を生み出すこと。


「なるほど…つまり詠唱文を言うか言わないかって事ですね先生」


「廻、先生はやめて、からかわれてるようで何かやだ」


「すんません」


「まぁ廻の言う通り、詠唱文を言うか言わないかの差だね、まぁ魔法何て言うのはただのおとぎ話さ、術の構成なしに魔術を発動する事が出来たらどんだけ楽か…ははは」


ネスは苦笑いを浮かべる。

いや、魔術もこっちからしたらかなりのおとぎ話なんだけどなぁ…。

と、言おうとしたが我慢した。

そして廻はもう一つの疑問は少々の間を空けて、聞く。


「てかさ、こんな流暢な事してていのか?その滅びの魔女さんっての、いつ来るかもわかんないのに」


と、俺は当たり前の疑問を投げ掛けた。

もう既に二日が経過してる訳だ。

だが何故かネスとルナには焦ってる様子がまったく伺えない。


そしてネスはキョトンとしながら、何かを納得したかのように笑いながら答える。


「それはね、滅びの魔女がちゃんといつ来るか手紙に書いてあったんだよ」


「なんて律儀な!」


ちなみに手紙の内容はこうだ。


アットベル家の姫様へ


本日、僭越ながら手紙を書かせて頂きました。

一ヶ月後にそちらの家にお邪魔したいのですがよろしいでしょうか?

姫様と少々小話がしたいと思っております。

何卒、よろしくお願い致します。


滅びの魔女より


滅びの魔女さんめっちゃ丁寧じゃん。

近所のおばあちゃん並みですやん。

え?なにこれ?本当に世界滅ぼした魔女なの?この文面見たらただの丁寧なお嬢さんだと思うんだけど。

てか丁寧に、滅びの魔女より、とか書いてあるし。

こいつ絶対悪人じゃないだろ。

でも今更そんな事言ったら俺の夢の魔術と剣術の特訓がなくなってしまう。

でも…でも…いや、もうどうにでもなれ。

俺は、何も言わずに、そっと手紙をネスに返した。


そしてこの日から俺は、心があり得ないくらい軽くなったのだった。

読んでくださりありがとうございます!

第一章は 「異世界キタコレ!」はこれにて終了になります!

お次は第二章でお会いしましょう!

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