表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

これに懲りたらもう二度と異世界人を召喚しないでください

作者: nanao

城の前には多勢の軍馬が陣取っていました。

クーデターです。


私の父はなんていうか人の話を聞かない人で。

夏に起きた数百年に一度という大洪水で国土の半分近い農家が被害を受けたというのに例年通りの税を徴収して国民に恨まれました。


一部の心ある臣下に、これは不味いんじゃないかと忠告されてもすべて無視して信用を失い、クーデターをおこされました。


父王に阿り耳に心地いい言葉で堕落を促した忠臣達は、三日前から姿が見えず。

その一部はクーデター軍の先頭に立っています。


彼らにとっては、聞き分けの悪い上司には忠言するのではなく、堕落を促してサクッと首を狩るのが国に対する忠義の道らしいです。


色々ふざけんなと思います。


ぶっちゃけ、血の繋がらない王女である私にとって、国民もこの国もどうでもいい存在ですし。


というか、一方的に異世界から召喚して戦争に行かせたこの国も貴族も民も敵ですし。


ボロボロになって戦場に転がっていた私を拾って、当時の王を弑し簒奪して戦争を終わらせ、私を助けてくれた義理の父王以外、憎しみの対象でしかないのです。



だから、いいですよね。



「簒奪者ライクス王よ! 民の怒りを、我らの怒りを思い知れ!! 全軍突撃!!!」


バルコニーから城下を見下ろすと、城門前に陣取った軍馬が一斉に動き出した。


民を省みない悪逆非道の王を成敗する為に。

大義を掲げて。



「もういいですよね。あの人達、私が貰って」




弑逆の王に貴族は従わなかった。

挨拶に来る事なく領地に篭り、その一部は忠誠を誓うふりをして傍に侍り王命を捻じ曲げ、大洪水の後は全てを王の命令と偽って民を騙し搾取した。

騙された民は弑逆の王を殺せと叫んでクーデターに加担した。


弑逆の王を殺し、前王の王子に王冠を渡せと。

私をこの世界に召喚し、戦場に投げ込んだ鬼畜を王にしろと、この国の民は叫んでいる。



その叫びの、一から十までが気に触る。


勝手なことぬかしやがって、と。


お前らまとめて、送還の贄にしてあげよう。


うん、もう止められないし。


十万の人の命と召喚者の命を贄にしないと、この国の魔術では召喚者を送還出来ない。

だからこの国では召喚された異世界人は、戦争で使い潰された挙句に殺される。

殺す為に召喚するのだ。この国は。



だから仕方ないよね。



私を殺そうとした十万の民を、私が還る為の贄にする。

クーデターも鎮圧されて、父王への義理も果たせる。

万々歳。




空前絶後の大虐殺に世界は震撼するかもしれない。

そうなればいいと思う。




右手を上げると王城を中心とした魔法陣が光を放つ。光は地平の先まで広がり贄の生命を吸い上げていく。

生命をなくした人の身体が、王城を中心にバタバタと花が開くように倒れて行く。




自業自得。いい景色。






これに懲りたらもう二度と異世界人を召喚しないでください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 帰還後の異世界側視点が読みたいです!
[一言] お、便利だな 次の召喚者はちゃんとガチガチに制約つけなきゃな
2018/08/28 22:10 退会済み
管理
[一言] 敵対する相手も問題なく生贄になるのなら 「敵地で勇者召喚して、その場で即送り返す」で 10万人の生贄徴収を繰り返すほうが 現代人の素人を勇者として無理やり戦わせるより 兵器としては効率がいい…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ