想い
「はぁ?なにいってんだよ。」
放課後の夕日が指す空き部屋。洋平にてをひかれるように誠は連れこさせられた。ほんの少し変な妄想をした誠はそれを隠すように笑いながら言ったが、洋平の顔で真剣にいっていることがわかった。誠は性格に癖があることや口が悪いことから今まで友達があまりできなかった。今のようにどんなことだって言い合える洋平の様な友達は初めてであり、誠にとっては友達以上の人だった。
「詳細は後で話す。多分俺はもってあと十日だ。十日で俺は誰かを食べる。頼む!」
誠は洋平が人にお願いする姿を初めてみた。内容はまだ信じることはできないが、その相手が自分であることに胸が熱くなるものを感じた。
「分かった。食べるとか正直信用できないところもあるけど、あたしの出来る範囲で探す。すぐの方がいいんだよな?」
「ああそれでいい。すぐには信用しなくていい。可能な限り当たってみてくれ。」
そういい、五時のチャイムが鳴った。もう教室には誰もいなかった。洋平と別れた後すぐに誠は行動にうつした。
(たしかこの辺だよな、、、)
誠と別れたあと女子寮棟に帰らずそのまま学校に潜り込んだ。理由は、夜の七時には先生が鍵をしめてしまいなかには入れなくなってしまうからだ。そして、生徒の腕が見つかったと言われているポイントを一つずつ写真を撮った。
(自分のビビリがこんなところで役立つとはね。)
情けない顔で笑った。誠は興味ない、仕方が無いとかいいつつも、本当は気になって怖かった為、腕が見つかった所に近寄らないようにするため全部メモを取っていた。もちろん事件件数が多いためノートが二冊三冊とたくさんあった。つまり、いかなければいけないところがたくさんあった。
(怖くない、怖くない、、、)
バクバクとうるさい鼓動を沈めるように深呼吸を繰り返しながら廊下を歩き、ポイントに付けば写真を取り続けた。
(明日の昼にやればよかったかな、、、)
焦って行動してしまう自分が情けなくなる。誠は自己嫌悪におちいりながらも写真を一枚ずつ丁寧にとっていった。
(あいつ食べるとか言ってたな、、、)
洋平の言葉を思い出すとついつい後ろを振り向いてしまう。本当に食べに来たらどうしようとか考えると鳥肌か止まらなかった
改めてとても広い学校だと誠は感じていた。次の棟へと向かおうとする頃には、誠の携帯の容量が足りなくなり画像が入らなくなった所で、気付けば時計はもう零時を回っていた。
(今思うととんでもない人数が死んでるんだな、、、)
写真の枚数を見て身震いした誠は、早く学校から抜けたくて仕方がなかった。ただ学校からは抜けられたものの、
(問題は寮なんだよなぁ、、、)
ともう寝静まってるであろう明かりのない寮棟を見て落胆し、今夜は野宿かぁ、もう少し考えて行動すればなぁと自分の焦り障を少し悔やんだ。学校でねるのは嫌だし、妙に肌寒いしと野宿は自分の中で不可能な気がしていた。
「誠さん?」
急に後ろから呼ばれビクッとしながらもゆっくりと後ろを振り向くと、
「やっぱり誠さんじゃないですか。」
見覚えのある小柄な女の子が近寄ってきた。
「未羽ちゃん?何やってるのこんなところで。」
「それはこっちのセリフですよ。猫でも追っかけて寮に入れなくなりました?」
愛嬌のある顔でニヤッとして言った未羽を見て心の安らぎを感じた。さっきまで心細い思いをしていたからなおさらだった。
「そんなんじゃねーよ。あー、、、少し散歩をしていたんだよ。」
「そう言う事にしときますよ。とりあえずもう寮に入れないようだしうちに来ます?」
そういい未羽は誠にとって嬉しい提案した。しかし、未羽の部屋には当然洋平もいる。きっと未羽みたいに軽く流してくれないだろう。結局、洋平のために行動を起こしたというのが恥ずかしかった。
「んー、、、悪いしいいかな。」
そう断ったら未羽は誠に近づき、
「あーあ。じゃあ私も野宿決定ですね。か弱い女の子を一人にはできません。兄ちゃんにも「相手のnoは意外とyesかもしれないぞ。相手を引っ張るくらいで接していけ。」って言われましたし。」
最初のいった意味と合ってないし、多分それ悠に対してだろうなぁと誠は苦笑した。じゃあ今晩だけお暇してもいいか?と言ったら、心なしか未羽は嬉しそうに頷いた。
「何してたんだよ!こんな時間まで!」
誠の予想通り洋平に質問攻めされてしまった。
ただ誠の行動をずっと監視していたものがいることはまだ誠はしらない。