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第一話 木堂と愉快な神様

「おめでとう」


「おめでとう」


「おめでとう」


「おめでとう」


「おめでとう」


「拍手をやめろ! 拍手されながらおめでとうとか俺はどこぞの人造アニメの主人公か!」


 死んだはずの俺は謎の白く揺れる謎の空間で馬鹿でかいおっさんやら女性やら爺さんやらに囲まれていた。


「おお、死んでからツッコミの才能が開花するとはおもしろい」


 何が流石なのかわからない。というか今のツッコミを褒めたということは確信犯かよ。あっなるほどこれは夢か、にしてはリアルだ。夢だとすると俺はもしかして助かったのか?


「心を読まれた!?」


 いやそんな事は些細なことでしか無い。俺の遠近感覚が狂ったのでなければ、目の前にいる5人は全員十メートルを超える巨人ということになる。

 

「ではまず貴殿の疑問をお答えしよう。簡潔に言えば君は死んだ」


 まあそうだと思ったさ、あの時死んでいく感覚があったしな。にしてもこの爺さんだけは真面目そうだな~他のやつはソワソワしすぎだろマジで。その巨体に一瞬恐怖を感じたが、その人間臭さになんだか和んでしまったよ。


「そして我らは君たちで言う所の神だ」


「え、あ、もしかしてこれから天国か地獄かを決める的な?」


 さすがに神様の名を出されたらビビる。天使とか閻魔様のような方々かと思えばまさかご本人とは。


「まあよく似たものだがその話はまた後だ」


 いや~さすがに神様。風格も言葉も威厳があるな~ってその他大勢がこっち見てクスクス笑ってやがる。なんだかむかついてきたぞ。


「地球の神よ、そろそろ本題に入ろうではないか。我らはそろそろ待ちきれんぞ」


 さっき最初に声を掛けてきたちょっと軽そうな兄ちゃん風の巨大な神様の一人が満面の笑みのまま、こちらに乗り出してきそうな勢いで全身真っ白の神様の話に割り込んでくる。いや軽く見て30メートルはあるからね君たち。こっちにきちゃったら私は踏まれてお陀仏ですよ。あれ? 死んでからも死ぬのかな?


「まあわからんでもないな。では簡潔にいこうか。木堂よ、此度このように特別に呼び出した事には訳がある。貴殿が最後に成し遂げた偉業についての話だ」


「最後に成し遂げた? ……あっ! あの女の子どうなりましたか!?」


「そう、まさしくそれだ」


 どれだよ。


「君は命を賭して彼女を救ってみせた自己犠牲の精神は素晴らしいものだ。しかしそれだけでは偉業とは呼ばない。無事帰還した彼女は自分を守る貴殿の姿をその身に焼付けて人生を歩んだ」


 そうか無事だったんだ……本当によかった。


「その結果、あの少女は世界平和機構のトップにまでなり、世界紛争や飢餓、病疫を解決し、さらには第三次世界大戦をも未然に防いでみせ聖女と呼ばれる存在にまでなったのだ」


 なん……だと? 俺の目指した先とは少し違うがまるで正義の味方。ヒーローじゃないか……。ん? あれ? なぜに過去形?


「おっと言い忘れておったな。今は君が死んでからすでに100年が過ぎておる」


「……………」


「まあどうでもいいじゃないか! 確かに少女へと多大な影響を与えた事は偉大な功績だ。しかし我らアトレアの神々は君そのものに賞賛を与えたい」


 むむむ、よくわからないことになってまいりました。てか衝撃の事実を軽く流された!


「地球の神はかの少女の始まりであることを褒めたが、我々は君自身の人生を諸手を上げる喝采を送るほどに感動しているのだよ」


 アトレア? 地球?


「そう我らは君の世界とは違う場所の神だ」


 薄々感じてたけど心読まれてます?


「神ならそれぐらい当然だ。とくにここ神界ではな」


「オウフゥ……恥ずかしい……」


「まあここまで我らを喜ばした異界の民である君に、褒美を上げたいと思ってな」


「あげるって俺死んでますけど?」


「そう、だからその先の人生を歩んでみないかな? 我らの統べるアトレアで、だ」


「……アトレアとはどんな世界ですか?」


「いきなり乗り気になったわ、思ったとおり面白い男ね」


「期待に胸が高まるな」


「一緒に酒を酌み交わしたいわい」


 やる気の一端をみせたためか今まで会話に加わっていなかった、グラマラスでセクシー路線の姉ちゃんと髭モジャの酔っぱらい爺と筋肉隆々なやたらと怖いおっさんが話に加わりだした。いやだから乗り出さないでってば近いよ顔が! でかくて怖い!


「怖いとは失敬ね。えっと私たちの世界がどんな場所だったかしら。そうね中世ヨーロッパ風で剣と魔法の世界って言えばあなたなら判るでしょ?」


「なるほど、把握できた」


 ゲーム好きだった俺からすれば剣と魔法の世界と言われれば、簡単に想像できてしまう。

 満足のいく死に際ではあったが、やり残したことはいくつもある。もし剣と魔法の世界ならばそのやり残しは地球よりも叶う可能性は高いんじゃないだろうか。


「そうじゃの。科学はそこまで進歩しとらんが、魔法に関してはそこそこ進んだ物を持っておるからお主の願いは叶うかもしれん」


「受けます」


「うっひゃー! 即決とかオットコマエーー!」


「ほんといい男ね」


「危険度さえ聞かんとは潔し」


「今夜の酒は美味そうじゃ」


 なんだろう俺のイメージする神様からどんどんかけ離れていくぞこの四人。


「では」


 グラマラス姉ちゃんが手から光の球を俺に飛ばしてきた。それが俺の手の中に収まると何かが握られている感触が現れる。


「え!? この後ろに羽根がついて前に針があるこの形状は……」


「それではーーールーーーーーレットォォーーー!」


「スタート!」


 ええええええええーーーーなにこれなにこれ!?


「アテレアの世界の人種はオレら神からの恩恵としての力を受けるんだよね。それで君に似合いそうな者を四人で選出してルーレットで決めることにしましたー」

 

 なんか重要そうなことだけどいいのかこの決め方。


「全部あげちゃうと世界のバランスが崩れかねないし、四神とも譲らなかったのでこの形なんだよね」


「内容が重いよ!」


 ほとんどヤケクソ気味にダーツをルーレットに投げつける。不覚にもツッコミの勢いで投げてしまった。ルーレットが止まり、ダーツの刺さった部分が見える、のだが読めん!? 向こうの文字なのだろうかまったくわからない。


「ほほう」


「へぇ」


「ふむ」


「フォッフォッフォ」


 それを注視していた四人の神がそれぞれに反応を示しているのだが、その様子を見ても良いのか悪いのかすら想像がつかない。なんか怖くなってきたな。


「じゃあこのギフトと呼ばれる力とは別に我々四神からそれぞれ特典をあげるけど……説明がめんどくさいから向こうに行ってから自分で確認してね」


 おいちょっと待てダメ神さま。なんだよこの雑い説明っぷりわ。一から十までの一すら説明してないじゃないか。あっ、目から星なんか出して誤魔化そうとするんじゃって、うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。


「おお我が世界の子羊よ、そっちの世界でも達者でな」


 奈落の穴に引きこまれながら一つ気付いたよ。アトレアの神は完全に面白がって俺を呼び込んだってことがな! おお、神は死んだ。


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