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今ごろ「発勁」の話4 打ったり打たれたりする実感の話(※個人の感想です)

 あんまり具体的に書くと、自分の所属の素性がなあ。


 と思ったわけだが、てやんでいこんちくしょう。

 よっく考えてみりゃあ、おいらも20年近くやってるわけよ。

 なんでずっとそんなにやってんのかって言うと、教えてる人が面白くて不思議で、やってる事が面白くて不思議で、この歳になっても面白くて不思議だからよ。

 だったらその、面白くて不思議なことは書いても支障あるめえ。


 まあさすがに具体的な技を書くわけにはいかんし、どうせよく分かんないのを分かっていながら細かく書くのはただ自慢でしかもつまらんのだから、そんなものぁ書かねえ。

 食らったときの体感とかを書くよ。


 ケチケチしみったれずに書いてやらあ。

 どうせ匿名だし。(小声)


 決して、筆者が文章に色々思い悩んで書けなかったところに、アルコールを入れてみたらちょっといい具合になったとかではないんでありますよ。


 さて、我々が一般に「これこそが発勁だ」と考えているものは、一番最初の回に書いたが、尺勁から寸勁のことだろう。

 または、故ブルース・リーがデモンストレーションで行なった「ワンインチ・パンチ」というもののことなんであろう。

 あとは、蟷螂拳や詠春拳のような、ボクシングなどとは見掛けのちょっと違う、高速のパンチも入るだろうか。


 ところでみんな、ブルース・リーのワンインチ・パンチがどんなものか見たことがあるかな?

 今は便利なもので、youtubeで「Bruce Lee one inch punch」と打ち込めば、そっこーで見れるのよ。

 昔はインパクトの瞬間の写真の方だけが出回っていて、やたらめったら想像力をかきたててくれたものなんですよ。

 まあビデオなんかは出ていたのだが、「一部お見せしますよ」という感じの編集で、まあこれだけのわけがないだろう、とみんな思っていたのだ。


 実際に見てみて、「すげー」と思った人はいるだろうか?



 筆者の友人が見た後に言ったのは


「これってすごいの?」





 まあ実際、そんな動画ですよ。

 拳一個分離してるようなそうでないような距離から、腕を伸ばしっぱなしで打つと相手が後ろに「少し」飛ばされて、置いてある椅子に座り込む。

 勢いあまって椅子ごと崩れたりもするが、まあビジュアル的にはその程度である。

 横から見た様子は、上半身がけっこう分かりやすく相手側に突きこむような体勢になっているわけである。


 なんだ、押してるんじゃん。


 そう思ってしまったら、もうその後にどれだけ威力がすごいとか言っても無駄である。

 だって、押してるんだからそりゃあ後ずさったりするじゃん、と思えるのだから、言えばいうほど「大したことのないものを凄く見せようとするとか、こいつ頭弱いんじゃないのwww」とか「そもそもこいつ自身が洗脳されてんじゃねーのwww」と、話せば話すほど白ける態度に拍車をかけてしまうだろう。


 これはそれまで「発勁」について語ってきた人たちにも責任があると思う。

 そういう人たちは発勁の優位性を語ろうとして、「チョンとついただけで相手が吹っ飛ぶ」というような事をやたら強調するので、「ぜんぜん『チョン』って感じじゃないじゃん」「それどころか明らかに『押して』るじゃん」と気付かれると、それまでのことが全部嘘っぽく思われてしまう。

 さらに、そういって説得しようとするやつもその「ワンインチ・パンチ」とやらが出来ないのはともかく、実際に食らったわけではないのでたいそう信憑性に欠ける。


 何年前のことだったか。

 ボクシング漫画で『はじめの一歩』という今も連載が続いている作品があるが、その中で拳一個分のスペースから全身のバネを使って相手にパンチを叩き込む、というシーンがあった。

 それからしばらく後まで、ネットの掲示板等の書き込みで、初心者があれが発勁ですか? と訊いている文章だとか、あれが発勁だ! と言っている人間とかがわらわら出現していたような気がする。

 会ったことのある人で、実際にそう確認してきた人もいたし。

 似たようなものでは発勁ってコークスクリュー・パンチのことですか? と訊いた人もいたなあ。

(たぶん纏絲勁の螺旋状に力が云々、というのを分かる範囲のものに当てはめようとしたのだと思うのだが、あんな近距離で外から見て分かるぐらい回転させると自分の手首の方がどうにかなるような気がする)

 読者が多くて、みんなが見て分かるようにカッコよく表現できるというのはいい漫画だと思うが、多方面にカン違い野郎が出たという意味では罪な作品でもあるなあ。

 いや、読者の側が悪いんだけど。


 そういや当時のネットではきちんと漢字変換できてない人が大半で、「ハッケイを打つ」とか「発頸が」というようなカタカナ表現や完全な誤字が昔はすごく多かった。




 筆者個人の出来たり食らったりした範囲では、ボクシングとは違うんじゃないかなあ、というのが実感であるのだが、前回書いたみたいに勁にもいろいろありますからな。

 ほんの少し拳を離した状態から一枚の板を割っているタイプの打撃のものは、ボクシングでも空手でも、打撃の感覚のある人だったらできるんじゃない、というものがあって、その辺は微妙。

 ボクシングの人とは友好的に交流したけどお互いに手が合わなくて双方?な感じであったし、空手の人との交流は古流がどうのこうのっぽい人だったので普通にイメージする「空手」というのとは違ったかもしれず、その程度の実体験から推察するのは無理があるか。


 それよりも、人間相手に打ってみた時の相手のリアクションの区別の方が重要かも。


 打たれた相手の飛び方が、ラグビーのタックル食らってなぎ倒されるように吹っ飛ばされる形ではなく、なんか妙な放物線を描いて軽く浮き飛ぶ状態になっているもの、自分で止まれずに「おっとっとっと、あれ? あれ?」と長い距離をやたら後ずさったり人に受け止められるバタバタしているもの。

 または、打たれた相手の顔がすごくビックリしているものや、「え、なんで俺こんなんで飛ばされてんの」という表情になっているものが、神秘的なイメージを持たせている方の発勁ではないかと思われる。

 食らうとどんな感じかというと。




 びっくりしますよ。


 再びそんな表現か、と思われるかもしれないけれど、いやほんとに。

 だいたい人間というのは、これぐらいの身長でこれぐらいの体重の人がこんな感じで打ってきたらこんぐらいの衝撃があるかな? という予測を無意識にしていると思うのだが、人間の腕で押されるんだと思っていたら車に突き飛ばされてました、というぐらいの差がある。

 車というのは大げさな表現だが、威力が通常の2倍とか3倍、というようなじっくり比較できる感じではなく、目から入ってくる情報と違う、急にすごく異質な押され方したよ! という感触で、ちょっと言葉にしがたい。

 そういうのを横から見て、「押してるじゃん! チョンと軽く突いてないじゃん!」と指摘するのは分かるし、実際にもそうなのだが、食らったほうの実感は「押される」というのと明らかに違う感触で、いや押されてるんだけど……そーいうのと違ってたのよ、という感じになるんですな。


 ニュアンス伝えづれえな!


 えーと、双方ともに体重が70kgぐらいだとして、止まっているところに走ってきた相手がぶつかった場合、作用反作用の法則が働いているので衝突の瞬間に相手にもある種の力の反発が返っている感触がある。

(試しに二人で向かい合って軽くポンポンと押すと、相手から一方的に押されているだけでなく、向こうにもちょっと響きが返っている感じがする)

 それが重さの感覚で、速度によって力の大きさは変わってくるんだけど、大元になる質量は70kg相応のもの、人間の重さぐらいのやつが押してんな、という感覚がある。

 しかし今書いている打たれ方の場合、まあ時速10数km(人の歩く速度は時速4km程度)ぐらいでこっちにむかっている軽トラックに対して、大したスピードじゃないと思って正面に立ちふさがったら何かふっとばされましたよ、という感触というか。

 ……かえって分からなくなるかな。 



 ちなみに打ってる方の感覚としては、なんでこんなに効いてんの?

 という感じで、まったく圧力感がないわけではないが、俺の体をスーパーパゥワァが通るぜ! というような感触もない。

(でも、力の感触がある打ち方もあるのがややこしい所)

 このやり方でOK、というのを体ごとで納得できないうちは、本当に周りの人全部が自分を盛大なドッキリにかけているような不安感がある。


 ちなみにこういうときに武器なんかを使ってみると、打撃や斬撃の威力としてはっきり現われるので納得は早くなる。


 相手を飛ばして後方に力を逃がさず、それだけの力を全部その場所で集中させるためには、力の出し方ではなくて技術としての打ち方(当て方)が必要になる。

 そういうのを打訣などと言うらしいのでさりげなく文章なんかに混ぜると「通」っぽいよ!



 武器を使うと威力が、ってなことを書いたが実際問題として狭い距離の打撃というのは素手よりも近距離で刃物や長物を使うときに必要で、素手の打撃で使う方法は後付けだったんじゃねえのという気配が濃厚にある。

 だいたい胸と胸がくっつくような距離であっても、素手ならわざわざそんな特殊な力の出し方をしなくても、いくらでもぶん殴りようがある。

 ブルース・リーが学んでいたという詠春拳というものでも、八斬刀という「でっかい包丁」的な刃物が存在していて、どう考えてもあそこの近距離の打法ってあれでぶった斬る方法から来てるじゃん、という感じなんである。

 以前にも書いたが中国武術の刀というのは、鉄板を叩いて伸ばしてそのへりをそれなりに研いでみましたというおそるべき質のものが結構あって(いやもちろんいい刀もあるよ)、「日本刀は鋭利かつ摩擦の方向が引き斬りなので、軽い力でも当ててスッと引けば相手の手首の内側の血管を~」なんて神経の細かい技術だのちまちました理屈はない。


 文字通りナタみたいに叩っ斬る。

 斬り飛ばす。


 また、中国は刀と剣は別物で、剣のメインは刺突。

 物によってはやたらめったら「しなる」のだが、あれが相手にぶつかって撓んで曲がるぐらいの勢いで相手に突き通す。

 人間相手に刺したことはないが、上に書いたような力の出し方で突っ込むと「ズブッ」と刺さるというより「ズ  ブーーーーーーッッ」という感じで、相手に当たった後に表面の抵抗を突破した後で一気に入っていくように刺さる。

 なかなか夢でうなされる手ごたえなのでおススメ。


 そっち方面に特化した力の出し方のような気がするですよねえ。

(※個人の感想です)

 すいませんヘタレなのでやっぱりかなり削りました。

 大人は嘘つきですね。


 どうおもいましたか?

 おうちのひととよくはなしあってみましょう。



 いやさすがにアルコールが抜けて、胃のムカつきに一日悩まされたら多少はアタマ冷えますって。


 毎回勢いで書いているわけですが、今回は書いたり削ったりが相当ひどかったので、何日か経ったらかなり文章を変えたり、丸ごと削ったりしているかも。

 逆に追加の回があるかも。

 一回でまとめきれないものを引きずって書いていくと、後になるほどグダグダになるなあ……。

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