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快適な武術検索ライフを送るために

 君たちはインターネットをきちんと活用しているかっ!!



 こう確認したいのは、世間の人がどうも「ネット検索」というものの能力を追及しているとは思えないからである。

 と、いうか、探せば知りたい武術の情報も、知らないほうが良かったんじゃないかという武術の情報も、手に入る!



 まず、世界の大概の情報は英語になっておる。

 次には中国語がくる。


 君たちは、例えば世界的動画サイトであるところのyoutubeに、「martial arts」とだけ打ち込んで、しかもそれを日付順に並べて、定期的に新しいものから古いものへと片っ端から目を通す、という功夫クンフーを積んでおるかな?


 世界には様々な武術があることに無限の可能性を見出せ!

 日々たゆまぬ努力を続けるべし。

 なぜならyoutubeでは、日々愉快な人々が「俺のブジュツ」の動画を、我々のような凡俗に公開してくださっているから!


 キミはそこに「戦争流」だとか「歩哨流」だとか「九州流柔術」だとか、名前だけで心躍る流派を見出すだろう。


 九州流柔術は、ご本人のサイトに教わった日本人からの手紙が掲載されていたりするのだが、日本語の文章で「貴殿には九州の武士道を伝えた」(多分「葉隠」武士道みたいなことを分かりやすく書こうと思ったんじゃないか)と書いてあるので、いったいどこで何が間違ったのかという一大ミステリーを味わえるぞ。

 そして技のはしばしにチラチラ出てくる、「こんなところにも八光流が」感。  


 八光流というのは、合気道の母体となったといわれる大東流と関係がある流派で、一番の特徴は、技に口伝やコツをつけまくって「出来るようにさせる」という教伝体系を整理していること。

 誰でも出来るようにさせられる(もちろん上手い下手はある)ということはつまり、技や段階を教えるさじ加減が簡単ということで、今は知らないが昔は相応の金銭を出して講習会に参加すれば師範になれた時期があったらしい。

 金で技と段位を売る、というので批判があるのも分かるが、がっちり武術の師弟の序列に取り込んで、上手くならなければ技も知らず段位も無く一生武術関係は無為に生きる、という人が必然的に出ることを考えると、相応の金銭であと腐れなく(ちょっとあるけど)仕上げてリリースしてくれる、というのはかなり合理的ではある。

 そんなわけで何気に八光流の技はリベラルに流通しまくっているので、世界の意外なところで「あ、八光流だ」ということは、まあ、よくある。


 筆者は昔はかなり批判的だったが、この歳になって色々と経験すると、時代から考えて相当先端的で合理的な考え方だったと認められるようになってきた。

 まあそこの流祖が出した本で「こいつもこいつも、流派の代表ヅラしてるけど実は八光流を学んだから強くなれたんだよ」的な内容とか、読者には無関係なふりして師匠筋の悪口を書いていたりするのでそこは人間的評価に大幅マイナスだが、武術で飯食ってる人は大なり小なりそういう所があるのでそういう意味では「普通」とは言える。


 批判も悪口も言わなくてなおかつ実力のある人って、本当に稀少ですからな。

 武術の世界で権威があって人格的に穏やかで、悟ったことをいっている人はいっぱいいるようだが、そういう人は人間性が歪むほど武術・武道に打ち込んでないとか、大した人生を送ってないとか、実力が無いとかが大半である。

 寺の坊主が言うようなありがたい話をそのまま場所を道場に変えて言っているだけの人なので、「道徳的にいい事をいうなあ」と思っておけばよろしい。



 ちなみにyoutubeについては、筆者は一時期「aiki jujutsu」と打ち込んで検索結果に出てくる動画に片っ端から目を通すという修行に打ち込んでおった(ただの「aiki」だと大量の合気道動画が検出される)のだが、南米の伝承経路がよく分からんが日本武術をやっている人の動画に大東流の吉田幸太郎の写真が突然出ていたりしてなかなかカオスではある。

(雑誌でよく見かける写真なので、何の裏付けにもなってないのだが)

 何か日本で大東流系の人の技の写真解説記事が雑誌で出たり、DVDがリリースされたりすると、かなり短い時間の間に似たような技の示演動画が出たりするので、大変味わい深い。



 閑話休題。


 そんなこんなでyoutubeは素晴らしい文明の利器である。

 日本の武術の動画が見つからないの、助けて! という時はとりあえずローマ字綴りで流派名をぶちこんでみるのは最低限の対処法である。


 この程度のことすらできてない人間はおらんやろ、と思っていたのだが、案外そういう人が某知恵袋なんかに大量にいて、いやさすがに中学生とか高校生だと思うのだが、一応書いておく。


 英語以外の各言語だとどう書くの? という疑問が出たらwikipediaである。

 項目の横を見ると「他言語版」という部分があって、フランス語だったりスペイン語だったりの項目を見ることが出来る。

 まあヨーロッパ言語は大体アルファベット表記なんで、タイ語とかアラビア語とかイスラエル語とか、案外くせ者のロシア語表記みたいな通常と違う文字と綴りの国以外は大体ローマ字綴りでいけるし、情報も多い。


 さすがにものすごいローカルなものは分からないが、世の中には英語が使えて変な武術(失礼)が好きなやつはいっぱいいて、その凄さをユニバーサルに広げようとすると、紹介サイトは作るし、動画はアップロードする。

 ロシアの特殊部隊が使っているということで数年前から日本でもやたら紹介されるようになった「システマ」というものも、英語のマーシャルアーツ(武術・格闘技)系の掲示板ではもっとずっと前には話題になっていて、ミリオタ(というか年齢的に軍事マニアといった方がいいのだろうか)の友人にしばらくしてから

「お前が前に『システマ』ってのがあるって教えてくれたやつ、最近軍事系の知り合い同士の会話で話題に出たわー」

と言われた時は、その情報のタイムラグの大きさにめまいがしたものである。

 彼らは兵器のスペックであるとかは光速で翻訳して仲間内で語り合うが、軍隊格闘技の技術の詳細にはあまり興味が無いので(でもナイフ術とかは好きなようだが)、名前だけ知っている程度だったのだが、システマの動きが特異であったために話題になったようだ。

 日本の武道・武術系で話題になったのはもっと後だった。

(友人に言わせると、馬鹿みたいに体力のあるやつなら誰でも手軽に覚えられて効果的に使えるのがいい軍事格闘術なのであって、ああいう出来る人は出来るという達人技っぽいのはちょっとなあ、ということであった)



 イスラエルの12支族が伝えたという神話的な武術であるとか、ルーン文字を基にした北欧の武術が調べたい?

 よっしゃ、googleで「国名 + martial arts」でイけるイける。

 それだけで無理っぽかったら「ancient(古代の)」とか「traditional(伝統的な)」を付け加えればだいたいはオッケイ!


 より詳細に知りたければ英語以外の言語に……という時も、翻訳サイトという心強い味方がいるので大丈夫だ!

 イスラエル武術の伝承者が、韓国系の武術をアメリカでいくつかやった後に国に帰って、突然「俺の家には代々イスラエルの古代の武術が伝わった」とか言い出したとか、北欧ルーン文字の構えがどうこう言っている人は、アメリカやら日本で合気道やら弓術なんかを学んだ後に「実は一族に伝わる固有の武術が」なんて言い出したとか、そういう詳しいことがわかるぞ!

 ちなみに翻訳サイトは元の文章との相性で、かなり分かりやすかったり、文章があっちこっちに飛んだりするひどい翻訳になったりするうえ、人名や称号といったものが壊滅的に訳せないので注意が必要である。


 また、ここまで読んだからには、他言語版のwikipedeaの関連項目と、紹介サイトのリンクページは片っ端から飛ばないような軟弱者は存在しないと信じている。


 海外ではアニメの「NARUTO」が人気! などと聞いたことがある人もいるだろうが、忍者・忍術関連のサイトはかなり気合が必要である。

 日本ではボチボチだが海外で絶大な知名度を誇る、初見良昭氏の武神館のNINJUTSUが広範囲で伝播しまくっているので、ちょっと新しいのを見かけても内容が武神館だったり、武神館のパクリだったりする。

 武神館は伝承を色々見ていくと、初見氏の師匠の高松寿嗣がアンダーグラウンドチックな技術も含めて一人で纏め上げたらしきものをさらに推し進めた感じなので「忍術というのはちょっとどうだろうか?」と思うわけだが、実力は文句なしにあるし、内容も矛盾なく充実している。

 しかし、亜流や傍流、インチキ捏造「NINJUTSU」をいっぱい海外に出回らせるきっかけを作ったともいえるが、海の向こうのあいつらはなんであんなにニンジャが好きなのか。


 「黒竜忍術」というのに「うーん、コクリュウニンジュツとかよくもまあ中学生みたいなネーミングを」と思ったら、続く音声表記が「KUROI RYU NINJUTSU(黒い竜忍術)」となっていて、これは辞書を引いて書いたな、という気配がありありだったりするのである。

 その黒竜さんとお付き合いのある所に「風間竜忍術」というのがあって、もうどこから突っ込んでいいのか分からないのだが、それとまた別に「British Fuma Ryu Ninjutsu Society」というのがありやがってそこのロゴマークには漢字で「英風魔流忍術会」と入っていたりと、ネットの広大さをひたすら実感できる。



 ちょっとした調べたぐらいで、ネットには大した情報が無いとか、ネットで書いているやつは本当のことを書かないとか、なめてはいかん。

 重要な情報はネットある!

 問題は役に立たないだけだ!



 そんなわけで、皆さんの充実した電脳生活を支援したい。

 れっつ・いんたーねっつ!




※追記

 いかん、中国関連の検索方法を忘れておった。


 まずは中国の検索サイトでの情報や動画を探すための方法である。


 中国語には簡体字と繁体字がある。

 もともと使っていた漢字が繁体字で、これは日本の漢字とほぼ同じ、また日本では旧字と呼ばれる画数の多い方の文字を使っていることがほとんどなので、検索にはあまり苦労しない。

 台湾や香港の人々が使っている


 簡体字は中華人民共和国になってから、あまりに覚える漢字が多いので略した簡単な書き方に変更したものなのだが、(へん)(つくり)といった規則性をかなり無視した略し方で、「ここは線の本数が多いから略そう」と無理に省略するという乱暴なものなので、シンプルな文字なのに慣れないと逆に面倒くさい。

 だが今なら「簡体字 繁体字 変換」と検索すると、日本漢字表記も含めて全部変換表示してくれるサイトがいくつもあるので、出てきたものをコピー&ペーストで貼っつけて、中国系の検索サイトの入力窓に叩き込めば、あっちの検索は大体イける。

 ありがとうインターネット!


 英語圏の検索で中国の人名や武術名を検索する時には何が面倒くさいかというと、発音がアルファベットで書かれているというひと手間が入っていることである。

 まあ大概は中国語の標準発音であるピンインから、発音記号を抜いたただのアルファベットにしたものでいける。

 例えば「楊露禅」であればピンインは「Yang Lu-ch'an」、検索するときは「Yang Luchan」や「Yang Lu chan」と姓と名でスペースを入れるか漢字一文字ずつ全部スペースで分割するかのどっちかで大概は大丈夫だ。

 google先生で「○(発音を確認したい字) 中国語 発音」と入力すれば、いくらでも出てくるので、まあ頑張れ!

 武術の名前も同じ。

 日本版wikipediaで人名や該当拳種を探して、そこから英語版で確認するという手もある。


 例外として、たまに客家語・広東語・福建語・上海語などの発音で人名や武術名が表記されている場合があって、そうなるとお手上げの場合がある。

 まあしかし、英語圏で漢字文化圏の武術や武道をやっている人たちは、トップページのロゴとかに漢字を載っけてくれるので、大体はそこからたどれるので無問題!

(日本人だって団体ごとに武で文字で「○○拳」なんてデザイン文字を入れて「カッコイイ感」出すよね)



 もういっこ面倒くさいのが、英語で書かれた人名を中国語の文字に戻すという場合で、これはもう関連するワードをまとめて入れて、余計なものが検索されないようにして絞り込むしかない。

 例えば「Wu Yuxiang」とは誰じゃいな、という状態になったら、「Wu Yuxiang taijiquan(太極拳)」などと打ち込んでおけば、武式太極拳の武禹襄が簡単に上位で出てくるので、ああなんだこいつのことだったのか、と簡単に分かる。

(まあしかし太極拳関連で英語サイト巡りしていて「wu」とか「yang」とか「chen」に武とか楊とか陳とかいう字が思い浮かばん人間もおらんだろ……と思っていたらそうでもなかったりするんだよなあ)


 

 あとは情熱である!

 そのうち大して読めもせんのに海外の書籍資料とか手に入れたりするようになるが、そこまでは責任は取れん!

 

 以上である。

 しかしオランダの「TAI JITSU RYU KURODAIYA(体術流 黒ダイヤ)」とか、もう本当にどんな顔をして読めばいいのか。

 

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