表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

休暇明けの彼は随分と明るい顔をしていた

 ある朝目を覚ましてから、顔を洗おうと洗面所で鏡を覗き込んだ私は思わず肝を潰した。鏡の中、私がいるはずのそこに私の顔は映っておらず、代わりに真っ白い人影があったのだ。なにか見えてはいけないものが見えてしまったのかと思った私は一度目を離すが、すぐに意を決してもう一度鏡に向き直る。

 そこにはやはり白い人影があった。

 そしてその人影には黒い文字でこう書かれている。


「有給消化中」


 相変わらず意味の分からない状態ではあったが、その文字を見て私はなんとなくすとんと腑に落ちた。

 まあ、そうだよな。一年中どころか私が生まれてからずっと鏡の中で私の真似をし続けているのだ。少しくらいは休みたいに決まっている。

 しばらく休むくらいは仕方ないだろう。


 それから一週間ほど、私は鏡に白い影しか映らない状態が続いていた。

 しかしある朝に起きて鏡を覗き込むと、そこには白い影はなく私の顔が戻ってきていた。

 たった一週間であったのになんだか懐かしいその顔に思わずおかえりと言いながら私は少し首を傾げる。


 私はこんなに日焼けをしていて、溌剌とした表情をしているだろうか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ