潜入型モデル ダイン01
東京
国会議事堂前には自政・黎明の会連立の小川政権の不法移民摘発強化の姿勢に対してデモ隊が連日抗議を行っており緊張状態が続いていた...
黎明の会は移民を推進する立場ではあるが、それはあくまで富裕層をターゲットとしており厳格な審査が行われていた...近年急激に発達したAIロボテクノロジーは安価な労働力を駆逐する勢いであり既に先進各国は移民排除に世論は傾いてはいるが、当然の事ながら考えを異にするものも多く存在するのであった。
先の共産中国の台湾侵攻の件もあり世論は敵性外国人及び労働移民に対して感情は悪化の一途を辿っていた...衝突は必然の事であったのかもしれない。共産中国の台湾への2次侵攻を危険視する声も大きいのだ。
とくに某県のある外国人が多く居住する地域は治安が悪化しており、日本人住民と外国人との間で衝突が頻発していた...
日本黎明の会は実質的にイーデン・マリウス氏の意向の元動いており、日本の暗部においても暗躍する存在であった...それは日本から古く存在する暴力団組織とのつながりを意味するものではない...XZグループ軍事部門は極秘裏に潜入人型ロボット、ダインモデルを開発...1年ほど前より国内の反社会的勢力や極右極左団体への諜報活動に従事していた...無論非合法活動である。
潜入型ロボットダインは01型が男性、02型が女性を模して造られた諜報・特殊作戦対応型モデルである。プライムの改良型ではなく、特殊合金の骨格はさらに人型に近付いており、その上を培養した生体組織でカバーしている。
史上初のAGI搭載モデルであり人間の逐一の指示がなくとも様々な作戦に対応することも求められ本機は完成されている。無論ニューロリンクによる人間からのリアルタイムの指示にも対応したまさに次世代型ロボットにふさわしい性能を保有していた。
その成果は着々と上がっていた...XZテクノロジーズの監視網は全世界に張り巡らされており、脳内インプラントであるニューロリンク適合者はかつての携帯電話と同レベルで普及していたのだ。
脳内に埋め込まれたデバイスは様々な情報を収集し、そのデータは秘密裏にXZテクノロジーズが管理していたのだった...反社会的勢力もその危険性は承知していたのか、彼等は適合手術を拒否する場合が多かった。
彼等の潜伏先、本拠地、そして支援する国家...日本国内で活動しているスパイなどの一斉摘発計画が開始されようとしていたのだ。これも来るべき日本転移に対する備えという訳である。
デモ隊と警官隊のにらみ合いが続くその時、デモ隊側の男性が懐からある物を取り出しピンを引き抜き警官隊へと投げつけたのだ。
「手榴弾だ!」
破裂音と悲鳴が辺り一帯を支配した...喧騒の中、手榴弾を投げつけた大柄の男性はデモ隊の中からいつの間にか姿を消しており、ついに警察が逮捕することは出来なかったという...
警官隊デモ隊双方において30名以上の死者を出した今回の暴動は世論に衝撃を与えた...そして国民の支持を得た政権はさらに国内の不法居住者への摘発を強化することに繋がったのだ...