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機械革命

2050年 日本 某所


 空を見上げればそこは無数のドローンが、あるいは人を乗せた飛行ビークルが行き交う姿を簡単に見つけられるだろう。さながら空中の交差点...3次元的に行き交うそれらエアクラフト群は殆どが完全に自動化された無人の物であり、人間を輸送するビークルもまた人間の操作を必要とはしていなかったのだ。


 今時は地上を走る車は勿論、空を駆けるeVTOLも人間が運転すると言う事は殆ど無くなってしまった...運転という行為は一部の好事家の趣味として細々と存在するのみとなっている。


 そして地上にはXZテクノロジーズが開発した第3世代汎用人型ロボット、プライムが相当数稼働しているのが確認できる。


 人型ロボットであるプライムは人間と同じタスクを実行することを目的として開発された機械であり、第3世代たる本機は人間と同じ...いやそれ以上の能力を発揮するまさに画期的な存在であった。人型ロボットの利点の一つとして人間のインフラや道具をそのまま利用できるということであろう...実用化できるまでに性能が向上した第3世代機は瞬く間に人間社会に溶け込んでいったのである。



 特にここ日本においてプライムの稼働数は他国を凌駕しており、開発元のアメリカに匹敵する規模であったのだ。

 

 XZテクノロジーズ創始者イーデン・マリウス氏が日本に移住している影響なのかは私には分からないが日本国内には彼の企業のロボット生産工場が相当数存在しておりその恩恵があるのかもしれない。


 私は軍事には疎いので詳しくは分からないがプライムは自衛隊にも採用されており、軍事仕様がロボット歩兵として運用されているらしいと聞いたことがある...


 既に人型ロボットは軍と民間双方で普及しているのだ...

  

 私は日本の某所において外国人富裕層向けの居住地、リゾート地開発に携わっている労働者だ...プライムたちに指示を出し、私自らはパワードスーツを身にまとい開発に従事している。もしかしたら遠くない将来私は失職するかもしれない...いや私だけじゃない...殆どの人間は機械に職を現在進行形で奪われ続けている。恐らくは今は過渡期...その時代の狭間に生まれた人間は変革の痛みを受け入れなければならないのだ。


 それでも現実を受け止めて生きていかねばならない、ラッダイト運動の再現をするつもりは全くもって私には無かった。確かにそういう活動をしている市民団体や活動家は日本に限らず世界中に存在するが、進歩するテクノロジーに抗ったところで結局はその波に吞まれていくだけである...対応できない人間は淘汰されるだろう。そうなるくらいなら時代に対応しようとした方がいくらかマシだ。


 それにしてもこの田舎がよくここまで発展したものだ...


 私が従事しているこの現場は日本の中でも過疎地域と呼ばれていた場所である...数年前より開発が始まりそれは驚異的なスピードで進んでいた。富裕層限定の移民政策と過疎地開発は黎明の会の意向であるらしいと聞いたことがある...

 

 現在日本において連立内閣を形成している日本黎明の会は外国人富裕層の移民を推進しておりその意向が反映された結果がこの開発らしいのだ。


 日本黎明の会は新興政党であり、私の記憶では10年ほど前に彗星の如く日本政界に姿を現した...


 その主義主張はSNSで支持を集め、従来の党を脅かすほどの影響力を持つまでになったのだ。


 そしてついに今まで政権与党を担ってきた自政党と連立を組むに至るまでの存在となっていた...


 私は彼等の主張は少し過激なところがあり完全には支持していなかったのだが...そのおかげで今の職があると思えばまあ感謝しなくてはいけないのかもしれない。


  さて、作業に戻ろう。


 私は思考から黎明の会を追いやり、自らの業務へと意識を集中させたのであった。







 

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