X投稿140字小説集3
(雪の情)
雪に覆われた国がありました。雪解けの春を待つ若い夫婦は、身を寄せ合い寒さと飢えを凌ぎます。春を目前に食料が尽きかけようとしていたとき、雪上の狩りを得意とする先住民が保存食を分け与えました。夫婦は助けを受けたことを国に報告し、平和的な民族融和が進んだといいます。
(神の世代)
星間を往来する超先進文明がありました。恒星間航行宇宙船の事故で、宇宙図に記されない星系に着きます。清浄な空気と雄大な自然を育む惑星は乗組員を優しく受け入れ、彼ら彼女らは新たな生活を始めました。二度と飛ばない宇宙船はモニュメントとして、子孫に受け継がれました。
(知の継承)
膨大な書物を所蔵する大図書館がありました。書物の価値に気付いた国は、国民の教育に利用します。人文、自然問わず、科学の発展速度が増していき、並行して有用な技術や文明の利器が開発されました。大図書館は時代を追って改良され、国のレガシーとして受け継がれました。
(天巡)
争いの絶えない国々がありました。戦い合う国の戦士同士が、中立国の酒場で出遭います。険悪な空気を収めた戦士達は酒を飲み合い、互いの国について語りました。誤解が解けた戦士達は国の指導者に掛け合い、戦争に益無しと悟らせます。争いと国々の関係は徐々に治まっていきました。
(禁忌の恋)
豊かな森に恵まれた町がありました。ある男が森へ迷い込み、エルフの女と出会います。体に傷を負っていた男は介抱を受け、町へ戻れました。男はエルフの美しさが忘れられず、再び森に入り、女と再会します。種族の禁忌を破った2人は故郷を離れ、岬の祠で静かに暮らしました。