77.5時限目 余談
「――――ふぅ」
一人静まった校長室で、改めて集められたデータを見る。
葛星夜の参加したゲームと、不可視の化け物。
世羅賽花及び母親の死亡と、死亡時期。
警察の調べでは死因は母親は娘による絞殺。娘は包丁での自死で間違いないらしい。
葬儀も執り行われ、近いうちに報道されるだろう。
こちらも始業式までに対処をしておかなければならない。
「にしても、まさか化け物の正体が世羅賽花だったとはねぇ……」
葛星夜からの供述によると、化け物の容姿は世羅賽花にそっくりだったらしい。
これは恐らく、世羅の父親の仕業という線が濃厚になった。
世羅の父親は今回のゲームのプログラムチームの一端を任されており、サンプルデータの一部として彼女に似せたモデルを制作していたそうだ。
娘好きが祟ったか、メリーさんを題材にしたせいか。
真相は本人に訊かねばわかるまい。
ただ、あくまでそれはサンプルのモデルに過ぎなかったのだ。
通常の参加者であるならば、各個人がモデルとされたプレイヤーが反映される。
ではなぜサンプルモデルが使われていたのか。
考えられる仮説は二つ。
一つはたまたま世羅賽花がプレイヤーとして参加していたという仮説。
世羅が使っているならばサンプルデータを使用できるよう誤って設定されていたのかもしれない。それならば黒く剥がれたり、観客に映らないというのも納得できる。
そして、二つ目。考えたくもない仮説。
それは――――サンプルデータを使った別の誰か。
サンプルデータを使うことは通常不可能だ。各個人のデータから作られるモデルを使うのだから。
つまりは、世羅賽花のアカウントを使って何者かがゲームに参入したかもしれないということ。
そして、怪しむべきはもう二つある。
一つは世羅の死亡時期。
警察の調べでは数日前だと言われている。数日前。そう、数日前ではこのゲームは始まっていないのだ。
勿論、誰かが使う分にはそれの正当性は保証されている。
ただしかし、もう一点。
神藤先生の供述に、不審な点があった。
それは――――神藤先生が世羅家に立ち入った帰り際に、誰かの靴が増えていたといういこと。
父親が出入りしていたという痕跡はない。そして他の誰も、近隣住民の誰も、一切部屋に出入りしていなかったのだ。
だというのに、誰かの靴が増えていた。
恐ろしい妄想をするとするならば――――――部屋の人形の数でも、数えてみればいいだろうさ。
「いつの間にか一体、消えている――――――なんてね」
その人形は今どこを歩いているのか、誰を追いかけているのか。
真相は誰にも分からない。
いつの間にか
君の
後ろに




