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天才様の唯物論  作者: 上海X
夏之御霊と■■遊戯
67/116

63時限目 夏休もうぜ

「、? 。お ? あ?」


 陽光。


「ぎゃああああああァァァァァァァァァああああああ眩しイイイィィィィィィイイイ!!!! 無理無理無理無理死ぬ死ぬ死ぬ小生死ぬ!!!」


 あまりの眩しさに数十秒ほどム〇カ大佐して、眼が慣れた頃。

 ようやく小生は慣れた眼で視界の限り見渡した。


 床……ではなく道路。

 白線。樹木。塀、家、電柱

 電線

 道路標識

 ガードレール

 太陽

 雲

 扉の開いたガレージに置かれた車から道端の雑草まで


 どこかで見たことのあるような、それとも遠い昔に見たのかもしれないものばかりが、小生の視界を埋め尽くしていた。暗い部屋のディスプレイしか見てこなかった小生にとっては、とても新鮮で嫌な記憶をフラッシュバックさせるに十分なものばかりだ。


「ど う し て こ う な っ た」


 思い返せ。何があった? そうだ。先生と称した神が来て、急に小生の部屋に入り込んできたと思えばゲームしにいくって言って……。

 バイクに乗ろうとしてヘルメット被って……。


 置いてかれた?


「いやアホかて。待て待てなーんも分かってねぇじゃん」


 足元を見てもただのアスファルト。車道に出ているため、一旦歩道に行こう。

 考えながら、歩を進める。

 置いてかれた線はないだろう。小生が居なければ本末転倒なのだとしたら、しばらくすれば戻ってくるはず。


「――――てかもう家帰ってよくね小生さては天才だったりする?」


 うんち!(せいかいのおと)


 よし! 戻ろう。小生にとって外に出てまでやるゲームは不向きなのじゃ。


「で、ここ。どこ?」


 ふりだしに戻る。


 一人で勝手に漫才して何が楽しいんじゃ。何も楽しくねぇよはっ倒すぞ。

 最近の若者はすぐ乱暴な言葉使うからご逝去遊ばせぇ。

 先生こと神が来れば良いけど、とりあえずはおうち帰る。

 近所の道くらいは覚えてると思ったけど……案外忘れてるのかもしれない。


 生憎とスマホも持っておらず、何なら被っていたヘルメットすらどこかに忘れてきた模様。持ってるものなんて自尊心しかない。十分じゃんね。

 どうにかして見覚えのある道まで辿り着こうと歩くも――――一向に知り得た道には辿り着かない。

 まるで異世界に飛ばされたかのようだ。それならいっそ特殊な能力が使えれば良いのに。というか自分自身ここまで道を忘れていたことに驚きを隠せない。


 雑念が浮いては沈みを繰り返す。もう三十分は歩いただろうか。引きこもりに三十分歩けとか聖戦(コミケ)じゃなきゃ苦行でしかない。時計がないから確認もできない。だというのに未だに知らない道に独りぼっち。

 この年になってまで迷子になるなんて冗談でも笑えない。流石に本気で捜索しだすか……。


 ――――――と、思っていた矢先のことだった。


「…………は?」


 先ほどまで見ていた光景となんら変わらない、ただの舗装された道路――――のはずだった。

 まるで殺人が行われた現場のような。赤くてグロくて、刺すような血腥ちなまぐささと、無駄にじわじわと広がる血が広がっていた。

 まるでというよりも、一言一句違わず今先ほど殺されたとでも言わんばかりの血の広がり方、まだアスファルトに滲んですらなく、血痕はとても鮮明に誰かの死を物語っている。見る人が見れば当然ながら吐瀉物を催しても致し方ない。

 小生はそういったグロ系に耐性があったため差し支えなかったものの、呼吸を奪われるくらいには衝撃的だった。


 これまで何度かゲームの中では見てきたものだったが、実際にそれを目の当たりにするのとはやはり体験の一種としては別物で扱うべきだろう。

 そしてそういった妄想――――――もとい想定を繰り返してきた小生でも、やはり息を呑んでしまう。同時に一つの違和感を持ってつい疑問を溢した。


「これ、死体はどこに行ったんだ?」


 本来血みどろの現場は死体があってこその話なのだが、今回ばかりはどうも様子が違うようだった。まぁこれまでに見たことがないからこれが普通かどうかも分からないのだが。

 死体はないが、血は残っている。これほどまでに血の量が多いというのに死体がどこかへ移動されていれば本来は引きずった跡があるはずだ。

 ましてここは路地裏でもなければ道の行き止まりではない。道路のど真ん中だ。車の一台でも来れば――――――あれ?


「車、通って無くね?」


 この歩いていた時間、一度たりと運転されている車を――――――


 違う。


 ()を、見ていない。


 道で出会った人に現在地を聞こうと思っていたのに、思えば誰とも会ってないではないか。まるで世界の中から人間というオブジェクトだけが消されたかのように。

 鳥は飛んでいるし、どこかの家の飼い犬は小屋の中ですやすやと眠っている。偶然か必然か、それとも誰かしらの意図でここら一帯の人間が()()()()のか。

 忽然と消えた人間に、どこか寒気がして振り返る。


 当然誰もいない。


 夢の中ならば覚めてくれ、こんなにも現実めいた夢なんて早々に存在して欲しくない。明晰夢なんて体験したことなかったからちょっと不思議な感覚だけど。

 頭を振って振り返った体を元に戻す。


「はぁ…………一体なんだ「居た」


 っぁ


 」


 逃げる。


 逃げる走る息が切れてキレてきれて死ぬつらいやべぇ逃げろ死ぬ

 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ

 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死




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