59時限目 諸刃狼と虚構遊戯
「それで、結果はどうだったんだい?」
「どいつもこいつも成長してますよ。チームでなら俺の教鞭なしにトップ入りだって夢じゃない」
「ほお。随分と高い評価をするじゃないか」
校長室。水瀬校長は結果の記入されたテキストファイルを見て、声を漏らす。
誰も彼もが成長している。アーツの進化や合技だけの話ではない。
ブラフや戦略、チームでの戦い方も十二分に測れた有意義な試験であった。
今後ゲームをさせていく上でチームを組むのなら、あのチームで行動させるのもアリかもしれない。ハートの金剛、銀杏姉妹のみはなんとかしないといけないが。
水瀬校長は結果にとても満足している様子で、紅茶を啜っていた。
俺の前に置かれた珈琲は、既に空になっている。
軽い吐息を漏らした後、水瀬校長は俺に向けて言葉を放った。
「出来が悪ければ更に外部から教師を募ることも考えたが……やはり不要そうだ。
現在トップ入りができているのが五名。無響透乎は言わずもがな事前に入っていたが、鳴上雷斗は先日の大会にて優勝。卯月咲夜、氷室零の二人は某恋愛ゲームにて最速クリアを完遂した。鬼灯夏燐も最近はチェスで五位以内を死守しているそうだ」
「三ヶ月で五人は、割と順調でしょう? 四倍して一年としてもちょうど二十人。ほら、完璧――――」
「そこなんだが――――」
刺すように入り込まれたその発言に、悪寒が走る。
三ヶ月で五人も増やしたことはとても大きな成果だとは思う。これから先チーム入賞で増やすこともできるかもしれないのだから。割と早い段階でどうにかなってしまうのではないかと驕ってしまうほどだ。
だが、校長から言われたことはそんなことではない。
「僕言わなかったかな? 以前」
「……? 何をですか?」
「はぁ…………」
先ほどとは打って変わった大きな溜息を吐かれる。失望に近い感情だ。どんな失態を犯した? まるで心当たりがないのだが……。
校長は続ける。
「その様子だと普段の出席簿もあまりつけていないようだね」
「っっ……はい」
「キミが就任したときに言ったこと、覚えているかい?」
「えっと……俺が生きるための三つの遵守することですか?」
「そこじゃない」
呆れて何も言えなくなったのか、出席簿を机から滑らせて俺のもとへ渡す。
恐る恐る中を見て調べてみると、何も変哲のない出席簿だた。
そう、何も変哲のない。それぞれの名前が書いてある――――。
「あっ」
数を数えてみて、分かった。
そしてこれはあれだ、往々にして災難が起こるタイプの、厄介事だ。
「僕、言ったよね、『彼等はこの学校で最優秀の二十二人だ』って」
「…………ヒュッ(絶命」




