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天才様の唯物論  作者: 上海X
諸刃狼と虚構遊戯
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43時限目 期末試験

「信じられない!!」

「っ。やっぱ痛いっすね」

「やってくれましたね……」

「くっそ……。なんでこんなことに早く気付かなかったんだ……」


 四方の軍下。携帯端末を所持した二〇人は歓喜に焦燥、冷然や憤然と。様々な表情を作っていた。

 そしてその渦中に戦きを、戦慄を巻く相手に、私達はただ呆然と、立ち尽くすしかなかった。



 □□□


 私立紅葉高校。名のある進学校で芸能、学問問わず多数の有名人を排出している。

 気品は優れているものの、やはりながら高校────多少の自由も許されるというもの。

 校長すら奔放な性格そうで、毎年新たに特設学科を建てている。

 そして今年新設されたという学科こそが、『遊戯』というモノだった。

 通常授業に倣い新たに遊戯科目の履修を必須とし、そのスキル、技巧を学ぶという内情勝手極まりない学科。

 今は六月。慣れてきているとはいえ、あのゲーム界最高峰と名高い教師に享受されては、謙遜も尊敬もするというもの。


 おおよそ学業には慣れてくる頃だろう。大して気負いすることもなく、その日も同様に遊戯の授業が行われる教室へ歩を進めた。


 そこで広がっていた光景は、これまでとは打って変わった景色。机と椅子は撤去されてホワイトボードには先生の字で『下記の表の通りで集まっていろ』と書いてある。その字の下には生徒を区分けした表があり、ご丁寧に集まる場所まで指定されていた。


「何よ、これ…………」

「遅いぞ、()

「――――っ! 」


 不意に私――――風岡(かざおか) (はやて)の声を呼ぶ者がおり、声のする方へ視線を向けた。


 高校生にしては際立って低い男声。小難しそうな顔をした見慣れた人物。剣道部を牽引している主将であり、成績は私と酷似している私の嫌いな相手――――舘石(たていし) (いわお)だった。顔つきは渋く、事あるごとに私に小言を呈する悪癖がある。話すこともあまり好き好まないのだが……おおよそ区分けされた表に名前が連ねられていたのだろう。


「いきなり何なのよこれ」

「俺が知るか。ただ来てみればあの表があり既に続々と区分け通りに集まっている人がいた」

「それで……この区分けはなんの関連性が?」

「書いてないから知るわけ無いだろ」

「はぁっ!?」


 舘石の無造作な言葉に苛立ちを見せてしまう。舘石が強く当たるのは基本的に私にだけだ。目の敵にすることも、されることもしばしばあったが、毎度こうでは嫌になってくる。

 舘石以外にはまだ周囲に人がいないことから、他のメンバーはまだ来ていないようだ。

 周囲を見渡すと、他の区分けに配属された人達も続々と顔合わせを行っている。四つのグループだったため教室の四隅に分けられていた。


 ある所では先生を打ち負かしたとされる無響透乎さんが、またある所では最近付き合い出したと噂されている氷室と卯月さん、それに加え桜音祇さんと鳴上のいるグループ。まるで関連性が見つけられない。

 ほかを見渡していると、私達のグループにも続けて到着してきた。


「オーゥ! 初めましテですネ! ワタシ、リルク(Lilk)ジューロー(Juro)っていいマス! なんだカまた楽しそうなコトになりそうですネ」

「あ、あぁよろしく……」


 舘石と揃って自己紹介。二ヶ月いると言えど当然話したことのない人だっている。帰国子女として有名だったリルクという男の子はとても中性的な顔立ち、体型をしていた。事前に男子生徒として情報を知らなければ、女装をされても分からなかったろう。


 リルクは碧玉のように輝く瞳で私達を見ていた。その後、腕を伸ばし握手を交わす。ぶんぶんされて私達はたじろいでいた。

 そんな様子の中で、更に二人の男子生徒が来る。


「ここで合ってるか……?」

「なんだこれ……? とりあえず自己紹介しといた方がいい感じ?」

「あぁ、頼む」


 片割れが問うと、仕切ったような口で館石が答える。勝手にしゃしゃり出ないで欲しい。という言葉を喉元で止めて、無愛想な顔を明後日の方向へ向けておいた。


「えぇと……僕は(きのえ) 鋼二(こうじ)

「オレは(たちばな) 剣司(けんじ)だ。鋼二とはこの授業で初めて知り合った友達だよ」

「あぁ、紹介ありがとう」


 リルクと巌が合わせて自己紹介をする。まさか男子四人とは思わなかった。女子も一定数は受けているはずなのだが……偏りが酷い。

 二人は銀髪をしており、大して特徴という特徴が見当たらなかった。まぁそれぞれにパンチのある特徴があるなら困るのだが。


「で……そこの不服そうな表情してる方は?」

「風岡颯だ。俺との仲は最悪だから、そこだけ了承してくれ」

「だから何仕切ってんのよ。私は絶対アンタの指示なんて聞かないから!」


 牙と目くじらを立てる。初対面の三人には申し訳ないが、コイツとグループである以上素直にことが運ぶとはまずないだろう。

 そもそも、このグループ分けが何に関係してるのか誰もわからないのだが。


 おおよそ皆集まりきったところで、始業のチャイムとともに先生が扉を開けてきた。目視で全員いることを確認し、本題に移る。


「これより、()()()()を行う」



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