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第1揚 めんちかっつはお好きでしょ?

 鍋の中に体に優しい米油をたんまり注ぎ込む店員、パン粉でお化粧したお肉を黄金色のプールにドボンすると、パチパチ拍手喝采が響き渡ってくるのだ。

 目の前でとんかつを豪快に揚げてる時の君の顔は好みだぞ。

 でも、やっぱりオイラの大好物は見た目まんまる、外はサックサク、中は肉厚ジューシーなメンチカツなのだ。異論は認めないのだ。

 と言いつつテーブルに出された出来たてのとんかつに舌鼓を打っていると、反対側の奥の席から怒声が上がった。


 「おい、にい〜ちゃんっ!?っ何だよこれ、ゴミ入ってるじゃねえかっ!」


 オイラの目は倍率自由自在の望遠鏡だから、そのゴミとやらが何なのかよーく覗いてみるのだ。

 カメラのレンズさながらに瞳孔をギョロギョロさせて合わせていく。

 うぬ、う〜ぬ、成程だ、あのスイカの種に似た茶色がかった黒、丸い輪郭、間違いないのだ!

 あれは……


 「新しいの持ってこいよ、あとせっかくの外食なのに気分を害したんだ、タダにしろ!」


 恐らく応対のぎこちなさ的に、新人アルバイトの店員はただただ頭を深々と下げて、お詫びの言葉を口にしていた。


 「大変申し訳ございません、只今新しい物をお持ちします、そして今回のお代はこちらの落ち度ですので払わなくて結構で──」


 そのまま黙っていれば人様を騙し、旨味を糧にクソ共が二重の意味で美味しい思いをする非生産的な光景が流れるだけだっただろう。

 だが彼らはやってはいけないことをした、神聖な銀の海に西瓜の種をデコってしまったのだ。

 新人のか細い声を遮ったのはノスタルジーが纏わりついて離れない音色だった。

 オルゴール? オルゴールなのは間違いないが何処か投げやりな印象、従来の物との差別化を図るなら自暴自棄オルゴール、略して「ジボオル」と呼ぼう。


 「あのさあ〜? なんでピッカピカの白米にお前の鼻糞が付いてるのだ?」


 「あはっ? 何言ってんのこのブロッコリー頭、異物混入はこの店の落ち度だろうが、変な言いがかりすっとお前の愉快な頭料理すんぞ?」

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