表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/135

99 期末テストと勉強会の予定立て

 7月1日。火曜日。1学期の期末テストまで1週間を切った。

 私は最寄り駅で瀬尾さんを待つ傍ら、テストについて考えていた。


 ゲームではテスト結果に応じて魅力や知力パラメータが多く伸びる。特に魅力パラメータはテストで好成績を残して伸ばしておくことがトロコンする上では重要な仕様だった。

 他にアルバイトやショッピング、カラオケなどで魅力パラメータが伸びたりするのだが、短い周回数でトロコンする前提だと、未名望の攻略スケジュールがきつきつでそれらをこなす余裕がないのだ。

 カルテット編成の種類に応じたトロフィーをセーブやロードを絡めて取得するにしても、やはり魅力パラメータを単独で上げる余裕はあまりなかったのだ。


「テストで良い点取ると、他にもご褒美が色々あるんだよね……」


 例えば年度末のクラス替えで良いクラスに入れると、未名望の姉から選べるプレゼントを貰えたりする。それがパラメータを多大に上昇させる効果を持っていたりするので、攻略の上では必須アイテムだった。例えばヘアアイロンで魅力を、赤本のプレゼントで更に知力をといった具合だった。


「基本は魅力不足に陥りがちだからヘアアイロン一択なんだよねぇ」


 そんなことを思い出していると、瀬尾さんが「お待たせしました!」とやってきた。


「おっは、瀬尾さん! テストまで一週間切ったねぇ。

 今日からはしばらくオケ部もお休みだね! 勉強頑張ろ!」

「はい……私、皆さんに置いていかれないように頑張ります……!」


 そう言えば、以前瀬尾さんに勉強を教える約束をしていた気がしたがそれが実現できていないことを思い出す。

 約束は守らなくちゃダメだよね……。

 でも瀬尾さんにマンツーマンで教えるというのもなんだか気が引ける。

 そうだ!


「ねぇ瀬尾さん。今度皆で勉強会しない?」

「え? 勉強会ですか?」

「うん。カフェテリアメンツ皆集めて! たぶん人数的に天羽さんちでやることになると思うけどさ!」

「それは……私としては皆さんに勉強を教えて貰えたら有り難いですが……」

「んじゃ決まりね! 今日お昼にカフェテリアで話してみよう!」


 確か桜屋さんが水無月さんに勉強を教えるとも以前言っていたはずだ。

 きっとみんな賛成してくれるに違いない。




   ∬




「いいんじゃない?」

「はい。ウチでよろしければいくらでもお使いください!」


 カフェテリアでみんなに相談すると、桜屋さんが勉強会の開催を肯定し、天羽さんが勉強場所の提供を申し出た。


「他のみんなはどうかな?」


 私がみんなの顔色を窺うと、神奈川さんが「私はメイドバイトがあるから平日は参加できないかも」と残念そうにお弁当の唐揚げを口に運ぶ。


「そっか、じゃあ土日のどちらかかな? どう? 守華さん」

「私は賛成よ。Aクラスとして教える側に回るつもり! 教えることで私自身の復習にもなるもの」


 守華さんが勉強会で教える側に回る自信を見せると、ひつぐちゃんが「私はAクラスだけど、人に教えるとかは無理無理の無理です! 自分だけで手一杯なので……!」と謙遜する。


「んじゃあ私と水無月さん、神奈川さんはEクラスだし皆に教えてもらう立場かな? みんなよろしくね~」


 と鈴置さんがウィンクを飛ばす。


「Dクラスですし、私も同じくです! 皆さんよろしくお願いします!」


 瀬尾さんがペコリと頭を下げて赤色のリボンを揺らす。


「そんなに畏まらなくてもいいわよ。美有の言ってるように教える側も復習や確認になったりするんだから……あと水無月さんはホントは頭が良いって話も聞いた気がしたけど?」


 桜屋さんがそう言って水無月さんを流し見る。


「えぇ……まぁ……私もできるなら教える側に回るつもりよ」


 水無月さんがそう宣言して、コンビニ飯を頬張る。


 水無月さんせっかく料理上手なのに、骨折が治ってもコンビニ飯なんだね?

 単純に作るのが面倒なのかな?

 ゲームだと主に料理とオケ部の活動で器用さが上がる。

 でも水無月さんはパラメータ的には1万回以上のループで全部MAXになってそうなんだよね。だから器用さの為に料理をするって必要性はないのか。

 それと桜屋さんも最近はずっとお弁当だけど、誰が作ってるんだろうか?


「それじゃあ土曜日に天羽さんのお家で、カフェテリアメンツ初の勉強会を開催で決定ね!」


 桜屋さんが場を仕切るように言い切った。


「私、天羽さん()行ったことないやー」


 鈴置さんが言いながら天羽さんを見た。


「さすがに9人集まると手狭な部屋しかありませんから、食堂での勉強会になるかと思いますが、皆さんそれでもよろしいでしょうか?」

「異議なし! 勉強しながらつまむお茶とお菓子も置いておけるだろうしね!」


 私が戯けてそう言うと、「はい。勉強に糖分は重要ですから用意しておきますね!」と天羽さんがお菓子とお茶の用意を約束してくれた。


「天羽さんのお家の住所はグループメッセへ入れとくわ。ちなみに田園調布よ?」


 桜屋さんがスマホを取り出しつつ言う。


「へ? 田園調布ー!? 良いところのお嬢さんって話はマジなのかー」


 鈴置さんがびっくりして箸を止める。


「キーネンの家よりも更にでっかいお屋敷だから、覚悟しておくといいよ!

 住む世界の違う人って感じで天羽さんに感じ悪くならないようにね!」


 私が皆にそう警告し、勉強会の話題を終えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 一万回もループしてればいちいち食事だのに労力割くのが面倒になっても仕方ないね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ