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98 桜濤学園の二人と外出

 日曜日。池袋に来た私達はまず待ち合わせ場所だった家電屋に入った。

 硯さんが楽しそうに「このヘッドホンが気になるんです」と商品に食いつき、戸吹さんが「それって音良いのー?」と質問を投げてきた。なのでスマホとペアリングして試聴することにした。音楽のチョイスは硯さんのプレイリストに入っていた大人気アーティストによるアニソンだ。


 音楽を聞いた戸吹さんが「これ音良いね! 私も欲しいかも」とヘッドホンを褒め、硯さんが「香月さん達も聞いてみて」と勧めてくるので聞くことにした。


「うん。私もこのアニソン知ってるけど、めっちゃ音良いね! これで無線なのかー」

「でしょ? ほら水無月さんも聞いてみて」

「えぇ……」


 私は水無月さんにヘッドホンを渡すと、水無月さんは頭へと装着。


「……本当ね。無線とは思えないほど音が良いわ。花……硯さんは家電に詳しいのね」


 と水無月さんがヘッドホンを選んだ硯さんを褒める。


「詳しいっていうよりかは好きなだけです」


 硯さんが謙遜し、私が間髪入れずに「へぇー。古風な名前なのに意外ー」と挟む。

 すると硯さんが「よく言われます」と笑顔を見せる。

 そこへ戸吹さんが「花撫はアニメも好きだよねー?」と確認するように言った。


 硯さんは恥ずかしそうに「うん、まぁね」と言ったので、私は再び間髪入れずに「私もアニメ好きー」と重ねた。


 空気を読んだ水無月さんが「それじゃあ近くのアニメショップへ行きましょうか」と提案し、私達4人はアニメショップの池袋本店へと向かった。


 程なくしてアニメショップへ着いた私達。

 硯さんオススメだという人気サッカー漫画のグッズが売っている階へと移動した。

 所狭しとアニメキャラのグッズが並べられる中、硯さんがお目当てのグッズを発見したようで手に取った。


「私、これ買っちゃいます」

「うんうん。グッズは欲しいと思った時が買い時だよ」


 硯さんの言に私が意見を述べる。すると硯さんが「ですよね!」と言って、私に握手を求めてきた。


「私、香月さんとは良いお友達になれそうな気がします」


 そう言う硯さんと握手を交わし、レジへと見送る。

 その光景を見てか「楽しそうでなによりだわ」と水無月さんがぽつりと言い、戸吹さんが「そだねー」と笑った。


 そして、私オススメの声優CDコーナーに行き、私がこの世界での推しについて力説する。

 無論、私の真の推しはこの世界では統制学院関係に集中している。

 いま一緒にいる3人こそが真の推し達であるので、この世界で改めて出来た推しの解説はほどほどにした。


「香月さんは声優さんが好きなんですね」


 硯さんが言い、私が「それな!」と即同意する。


「あと私の友達は皆良い声の子が多いんだよ!

 水無月さんも硯さんも、もちろん戸吹さんも、皆の声大好きだよ!」


 私がそう宣言すると水無月さんが「ほんとに、香月さんは声が好きなのよね」と言い、戸吹さんが「私の声そんなに良いかなぁ?」と半信半疑の様子だ。


 それに私は「良いってば! じゃこれからカラオケ行こっ!」とカラオケに誘った。


 アニメショップを出てすぐ隣にあったカラオケ店へ入ると、偶然にも一つ部屋が空いていたのでそこへ入ることにすぐ決まった。


「じゃあ最初は歌が得意な戸吹さんからね!」

「えぇー言い出しっぺの香月さんからじゃないのー? まぁいいけどさ」


 そうして端末を使って戸吹さんが選曲を始めた。

 唄う歌はすぐに決まったようで、戸吹さんが予約を入れる。

 するとすぐに音楽は流れ始めた。


 2010年代に流行ったような女性歌手の唄うJ-POPだ。

 戸吹さんの歌声が流れ、「歌うまー!」と私は大感激で戸吹さんの歌を聞いていた。


 戸吹さんの歌が終わり、私は「これはプロになれるね!」と戸吹さんを大絶賛した。

 戸吹さんは「そんなことないよ」と謙遜している。


 次に歌を予約していたのは私だ。

 私はこの世界で小学生の時に見たアニメの主題歌をリクエストした。


 男性ロック歌手の唄う歌を、その熱い歌詞で場を盛り上げる。


「ひゅー! さすが香月さん!」


 とアニメを知っているらしい硯さんが歓声を上げる。

 私が歌い終わると、次は水無月さんの番だ。


 室内には80年代か90年代のバラード曲が流れ始めた。

 驚くなかれ、水無月さんも戸吹さんに負けず劣らず歌上手なはずなのだ。

 少なくとも私の知る未名望の声優さんは超絶歌上手で知られている。

 それが継承されていれば、あるいはループで培った経験があるから大丈夫なはず……!


 水無月さんの歌声が室内に流れ始める。

 やっぱり超絶歌上手いー!!


 私は思わず聞き惚れてしまう。このままずっと水無月さんの歌声を聞いていられたらどれだけ幸せだろう。


 しかし、そんな幸せな一時は瞬く間に終わってしまった。

 バラードを見事に歌い上げた水無月さんが「こんなものかしら……」と満足げな表情で座った。


 そして次に流れ始めたのは、魔エガ――魔法少女エクセレント☆ガールのOP主題歌だ。

 魔エガはこの世界で毎週日曜の朝にやっている、小さなお友達から大きなお友だちまで大人気の魔法少女アニメシリーズだ。

 硯さん、魔エガをチョイスするなんて中々出来る……!


「私達の魔法でー♪」


 歌い始めた硯さんの可愛らしい声が曲に凄くマッチしている。

 うんうん。やっぱみんな私の推しの声だけあって、歌が上手いし何より声が良い。


 私はこのままこの空間でずっと3人の歌を聞いていたい。そんな気持ちになっていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まるで人気声優とカラオケに来たかのようだ!
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