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89 ももちゃんとお出かけ その1

 休日。朝10時過ぎ。

 水無月さんの提案で、ももちゃんのストレス解消として渋谷へ買い物に行くことになった。

 待ち合わせのハチ公前で私は水無月さんとももちゃんを見つけた。


「やっほももちゃん、水無月さん!」

「香月さん……来たわね」

「香月さん! お久しぶりです!」

「うんうん、久しぶりももちゃん。勉強の事は今日はすぱっと忘れて買い物楽しもう!」

「はい……!」


 私の提案にももちゃんが元気よく返事をする。


「それじゃいきましょうか」


 水無月さんが促し、私達は渋谷駅前にあるショッピングモールに向けて歩き始めた。


「ももちゃんこの服似合いそう……!」


 ショッピングモールへ入って早速、ももちゃんに似合いそうな服を見つけた。

 店頭のマネキンの着るその黒のワンピースに釘付けになる。


「えーそうですかね? 私はこういう可愛い系統はあんまり……」


 ももちゃんは謙遜している。

 でもきっと似合うに違いないのだ。


「いえ、きっと似合うわよもも……」

「だよね。水無月さんもそう思うよね! やっぱ私の目に狂いはなかった!

 この服来たももちゃん見たいなー」


 私が大仰にももちゃんに試着をおすすめする。

 するとももちゃんは「仕方ないですね……!」と言って試着室へと入っていく。


「水無月さん! ももちゃんの写真撮ってもいいかな?」

「ダメよダメ。ももはそういうの気にするタイプなんだから」

「えー! いいよね!? ももちゃーん?」


 中にいるももちゃんに声をかけると、「ダメです」と返されてしまった。

 そして着替え終えたももちゃんが試着室のドアを開ける。


「どうでしょうか?」

「うん。めちゃ似合ってるよ!」

「えぇ少しゴスっぽい服だけれど、ももに凄く似合ってるわ」


 黒のワンピースは白のレース素材と相まって、ももちゃんのピンク色の髪と良く合っていた。

 どこにお嬢様として出しても恥ずかしくない出来栄えだ。


「ありがとうございます! 私買おうかなこれ。

 あ、でも香月さん写真はノーですからね!?」

「えーもったいなーいー!」


 私がぶーぶーと抗議するがももちゃんは聞く耳を持たない。

 再び試着室へと入ると、服を着替えて出てきた。


「私、買ってきますね!」

「えぇ」

「いってらっしゃい!」


 店のカウンターへと向かうももちゃんを見送り、私と水無月さんは少し離れたところにあるフロアマップを見て、次はどこのお店に行こうかと思案していた。


「この帽子屋さんなんてどうかしら?」

「へえーいいね。じゃ次はここでその次は……」

「その次は早めだけどお昼ご飯でも頂きましょう。混んできてからだとどのお店も入るのが億劫だし……」

「おっけー」


 すると水無月さんのスマホの通知が鳴った。


「誰ー?」


 私が何の気なしに聞く。


「イヴンくんよ。本当にあの5人でサウジに行くのかって確認したいんですって」

「あぁ……あいつ水無月さんしか連絡先持ってないのか。私は間違いなく行くからその辺よろしく伝えておいて」

「えぇ……他の3人に聞いても同じだと思うけれど……」


 水無月さんはカフェテリアグループで他の3人に確認を取るようだ。

 すると、ももちゃんが買い物を終えて店から出てきた。

 私達を探している。


「ももちゃーん! こっちこっち!」

「一瞬、一人だけ取り残されたかと思いました!」


 ももちゃんが小走りして私達に合流する。


「やだなぁ、そんな事しないよ! 今日の主役はももちゃんなんだから!」

「はい! 置いてかないでくださいね! 次はどこにいきますか?」

「次は2Fにあるこの帽子屋さんなんてどうかなって」

「帽子ですか! 私あまり被ったことないですけど……」


 ももちゃんが心配そうに自身の髪を弄ぶ。


「きっと似合う帽子が見つかるわよ。さぁ、いきましょう」


 水無月さん言い、私達は2Fへと移動。

 早速、お目当ての帽子屋さんが見えてきた。


「これなんてベーシックじゃない」


 お店に駆け寄った水無月さんが深緑色のベレー帽を持ってももちゃんに近寄る。

 そうしてももちゃんの頭の上にベレー帽を被せた。


「似合いますかね……?」

「うん、まぁ普通に似合ってるよ! さすがベーシック」


 私が答えると、ももちゃんがうーんと唸りながらお店に置かれた鏡と睨めっこする。


「香月さんにはこのラフィアハットなんてどうかしら?」


 水無月さんが山葵色(わさびいろ)のリボンがアクセントとしてあしらわれたラフィアハットを私の頭にぽんと乗せた。


「どう? 似合うー?」

「似合います香月さん!」


 ももちゃんが私の帽子姿を褒めてくれる。


「じゃあ水無月さんには帽子じゃないけどこれなんてどう?」


 私はブラウン色の革製カチューシャを手に取った。

 そうして水無月さんの頭によいしょと乗せる。


「うん! やっぱり似合ってるよ水無月さん!」

「そうかしら……」

「はい。お似合いです水無月さん!」


 ももちゃんも太鼓判を押してくれる。

 水無月さんは鏡に向かい合うと自分なりにカチューシャを調整し、それが終わると値札を確認する。


「8800円……まぁ革製品だと思えば安い方かしら」


 水無月さんはそう呟くと、カチューシャを手にお店のカウンターへと向かっていく。


「買うの? 水無月さん」

「えぇ……貴方とももが選んでくれたのだもの」


 水無月さんは革製カチューシャを購入。

 そして私も水無月さんに続き、おすすめされたラフィアハットを購入した。

 値段は1万6000円とそこそこ値が張ったが、お金なら腐るほどある。せっかくだから思い出の品を取っておこう。

 ももちゃんは悩んだ末に、「私はやめておきます!」と言いベレー帽を棚に戻した。


 そうして帽子選びを終えた私達は、早めのお昼を食べるために7Fへ向かった。

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