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40 生徒会合宿の計画

「それでは改めまして、生徒会庶務になった香月伊緒奈です」

「同じく、水無月未名望です」

「「よろしくお願いします」」


 私と水無月さんとで美しいデュオを奏でながら頭を垂れる。

 豪徳寺の奴が座りながら「生徒会も華やかになったなぁ」と呟き、それに佐籐が微笑を添えた。


「うん。よろしくお願いします。ほら、豪徳寺君と佐籐君も!」

「おう。よろしく頼む」

「よろしくお願いします」


 起立して礼する守華さんに続くように、豪徳寺と佐籐も立つと私達二人に礼を返した。


 全く、いちいち守華さんに言われなくてもやれっての。

 まぁ豪徳寺はクソ共の中でもまだマシな方だから許してやっても良い。

 ただ佐籐の方はまともそうに見えて……いや、まだ彼女が関わっていない段階でそんなことを考えるのは無駄か……。

 とにかく表向きはこれら生徒会男子二人はイケメン達の中ではマシな部類である。

 だから庶務としての仕事に邁進して、守華さんをサポートするだけならば問題はあるまい。


「それで早速なんだけど……今週末に行われる生徒会合宿について……。

 1泊2日なんだけれど、香月さんと水無月さんは参加できるかしら?」


 守華さんが議題を挙げ、豪徳寺がそれを聞いて「うむ」と唸って続ける。


「合宿地には(ウチ)の別荘を提供することになっている。

 具体的には長野県の軽井沢だ。食材などは(いえ)の物に用意させる……と言いたかったのだが、守華の希望で買い出しから我々ですることになった。少し歩くがスーパーがある。

 そこで買い出しをして貰うことになるだろう」

「生徒会合宿ですから……生徒だけで出来ることは全部しなければ意味がないわ。

 新しく加わった香月さんと水無月さんとも気兼ねなく仕事が出来る仲になりたいもの。

 そういう意味で、私達の交流の場と言えるわね」


 守華さんが付け加えて、私が手を挙げた。


「軽井沢までは新幹線ですか?」

「えぇ。北陸新幹線を使う予定よ。

 あ、ちなみに唯野さんも参加する予定ってことになってるわ。

 いまこの場にはいないのだけどね。

 どうかしら? 香月さんと水無月さん」

「私は問題ありません。参加で」


 問われ、水無月さんがあっさりと参加承諾の意を返し、私も「私も参加で!」と返した。


「そう! 良かったわ。当日はよろしくね二人共」


 守華さんが嬉しそうに私達に笑顔を向ける。

 私達はそれに「えぇ」「こちらこそ!」と応じた。


 しかしそれを見た佐籐が芳しくなさそうに顔を曇らせているのを私は見逃さなかった。

 さぁ……くるか? ゲームならばこのタイミングで……。


「それで豪徳寺、部屋の空き状況はどんな感じかな?」

「うむ。部屋か? 部屋ならば居室は8つある。

 参加者は俺、守華、佐籐、唯野、香月、水無月と6人だ。

 だから全員に一部屋ずつを提供できるとお約束しておこう」

「そう……物は相談なんだけれど、ひつぐを連れて行ってもいいかな?

 前から一緒に軽井沢観光に行きたいってうるさくてね……」


 きた! やはり佐籐は妹のひつぐちゃんを連れて行く気らしい。

 ゲームでも定番の展開に私はびっくりしてしまった。

 私と水無月さんの二人が増えたにも関わらずだ。

 ゲームでは庶務になる男子は好感度に応じてイケメン達が決まる。

 よって、それが浅神だったりした場合には、バイトの都合でこれなかったりする。

 そんな時に佐籐がひつぐちゃんを連れて行こうとするのだ。


 しかし、今回は私と水無月さんの二人共が揃っている。

 どういうことだろうか? てか部屋の数8部屋もあったのかよ豪徳寺の別荘!

 私はてっきりゲームの進行に合わせて、6部屋しか無いのかと思っていた。


「そうか……まぁ俺は構わんが、他の参加者にも確認したほうが良いんじゃないか?」

「そうだね。どうかな? みんな」

「私は構わないけど……」


 守華さんはそう言いながらも不思議そうな顔をしていた。

 何故だろうか? まぁ今はそれは置いておくとして、


「私はいいよー。むしろ妹のひつぐちゃん参加希望」


 そう戯けて答える。

 女の子は増えれば増えるほど良いだろう。

 唯野さんも一応くるらしいし、どんな子が確かめる必要性がある。

 きっと統制新聞部からの回し者だろうが……。


「私も構わないけれど、それ本当に妹のひつぐさんが言った台詞かしら?」


 水無月さんの言葉に佐籐がはっとしたような表情を見せた。


「どういう意味?」

「どうもこうも、兄である貴方が勝手に決めたかのように思っただけよ」


 ちょっ! 水無月さん攻め過ぎだってば!

 まさか言い始める直前にセーブしてるな! この策士め!


 そう思い水無月さんを睨みつけるように見やると、すっと流し目をした。

 恐らく肯定の意だろう。


「心外だな……僕がひつぐに聞かずに勝手に合宿に参加させようとしてると?」

「えぇ……そうよ。だって貴方、シスコンでしょう? 佐籐君」

「え!?」

「ふむ……」

「ちょっ! 水無月さんってば!」


 余りにも攻めの姿勢を崩さない水無月さんにツッコミを入れる私。

 守華さんは驚愕の表情を浮かべ、事情を少しは知っていたらしい豪徳寺が納得するかのように自身の顎に手を添えた。

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