110 一学期末テスト順位
水曜日。テストが全部返ってきて、得点が判明する。
私は抜群の出来栄えだった。この調子なら来年度はAクラスに上がれるだろう。
これも裏統制新聞と学業成就のお守りのおかげだろう。
お昼になり、テストの総合順位と点数が張り出されているはずだ。
私はそれをカフェテリアに行く前に眺めてこようと決めていた。
「どれどれー何位かなー」
小声で呟きつつ、ボードに張り出された順位を50位辺りから順に確認していく。
50位付近にはいなかったので、私は順位の上の方を探した。
おぉ……ひつぐちゃん30位! 頑張ったね!
私は……あった!
「おぉー! まさかの27位! ティヒヒ!」
思わず声と笑いが漏れる。
ゲームだったならばここでガッツポーズしたりドヤ顔をしたりして、知力と魅力パラメータが大幅に上昇する場面だ。
しかしそんなことをするでもなく、私は更に順位の上の方へと目を向けた。
「豪徳寺が23位で、守華さんが18位で……うわ唯野さんが10位。運動だけじゃなくて頭も良いんだなぁ唯野さん。
おぉ! 桜屋さんがトップ10入りの7位。
キーネンが5位で皇が4位……マジか! 水無月さん3位じゃん!」
一人ぶつぶつと皆の順位を確認しつつ小声で呟く。
しかし、更に上の順位を見て、私は驚きで固まってしまった。
「ちょ……! 浅神の奴2位とかマジ……!? 嘘でしょ……そりゃバイト三昧は終わったとはいえ、まだオケ部もやってて、ももちゃんの家庭教師もあるのに!?」
本気か浅神。どんだけ巻き返したんだ……。
さすがは元勉強特待生だ。
「1位はピアノの千本柳と……まぁそりゃそうか」
1位がお前なのは知ってたって感じだ。
特に感慨もない。
しかし水無月さん、トップ3に食い込むなんてインテリ連中が黙ってないよ?
特にピアノの千本柳とか煩そうだし、トップ3から落ちた皇も黙っちゃいないだろう。
キーネンの好感度だって稼いでいるのが目に見えている。
あと浅神もだ。一緒に家庭教師もしているし、浅神の好感度が上がるのも已む無しだよ水無月さん。
1位から50位まででAクラスの知り合いは全員確認……あれ? そう言えば佐籐の奴いない……? まさかあいつ……。
私は50位から下を見ていく。
「お! 天羽さん56位! やるぅ。
それに瀬尾さんが64位! やるじゃん瀬尾さん!」
しかし佐籐の奴が見つからない。
どこいったんだあいつ、もしかして上で見落としてた?
そう思った矢先……いた!
「うわーお、見事に87位じゃん。どんだけ成績落としてるんだあいつ」
ひつぐちゃんに会えなかったのが相当に堪えたと見える。きっとテスト期間中の勉強にも身が入らなかったんだろう。
「ま、自業自得だね……このまま行ってAクラス落ちしてくれたら嬉しいんだけどなぁ」
そうすればひつぐちゃんを守るのも万全だ。
佐籐にはこのまま成績を落としていって貰いたいものだ。
テストの順位を一通り確認し終えた私は、お昼を食べにカフェテリアへと向かった。