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104 一学期の期末テスト結果

 火曜日。今日からは4日間の期末テストだ。

 ひつぐちゃんは着替えその他を家に取りに行ったあと、無事に天羽さんちで過ごしているらしい。天羽さんちの警備員は優秀なので心配は無用だろう。


 瀬尾さんと学校へ登校後、試験開始までに私は裏統制新聞を開いた。


“今からでも間に合う! テスト直前対策”


 おぉ! やっぱあるじゃんあるじゃん。

 個人的には来年度もAクラスかBクラスのままを狙いたい私。

 しかし、水無月荘の建築計画のことが頭から離れず、あれからなかなかテスト勉強をこなせていなかったのだ。

 裏統制新聞のまとめに頼るのも致し方ない。

 しかし、普段はきちんと勉強してるわけだから、直前に勉強を少し怠ったくらいなら私の今生における頭脳をもってすれば、テストでの良い結果など造作もないのではないかと思わないでもない。

 北野天満宮で買った学業成就のお守りもきちんと携帯している。

 きっと良い結果を齎してくれるだろう。


 そうこうしていると、テストの開始時刻になった。

 手始めは得意な数学のテストだ。

 ちょちょいっと片付けてしまおう!




   ∬




 金曜日。テスト期間は終わりを告げた。

 私の成績はといえば、割と良いんじゃないかなと自分では思っている。

 自己採点の結果ではAクラス昇格の及第点以上を得られた感触がある。


「これも裏統制新聞の直前対策のおかげだよ~。裏統制新聞さまさまだね!」


 私は裏統制新聞の有用性に頭が上がらない。

 テストも終わったことだし、他に有用な情報がないかチェックしておこうー。


“キーネン家に若手メイドが加入”

“今年度の生徒会の出し物は例年通り”

“サウジアラビアへの夏季短期留学、5名の参加者”

“天羽家前でのトラブル!?”

“1学期末テスト平均点予想”


 トピックをざっと眺めたが基本的には知っていることばかりだった。


「と言うか、ほぼ私が関わってることばかりだね……」


 私や水無月さんが位置情報を提供しているだけあって、天羽家前で佐籐が起こしたトラブルもしっかり統制新聞部員にチェックされているようだ。

 他に統制新聞部の息のかかった使用人が天羽家に紛れ込んでいるのかもしれない。

 記事を読むと佐籐のことが書いてあった。


「おぉおぉ……佐籐の名前ばっちし出てるじゃん。こりゃ知る人ぞ知るストーカー野郎になりそうだね」


 被害者のことが書かれていないので、記事だけを見ると佐籐が天羽さんのストーカーをして警備員に拘束されたかのように読める。

 まぁひつぐちゃんとのことを書かれてもひつぐちゃんに迷惑になるわけだから、それもいいのかもしれない。矢那尾さんGJだ。


 私は良い気分でカフェテリアへお昼を食べに向かう。

 みんなとは約束がしてある。


「やっほ、みんな!」


 既にカフェテリアメンツの全員が揃っていた。

 どうやら私が来たのが最後らしい。


「こんにちは香月さん、テストどうだった?」


 開口一番、桜屋さんが私にテスト結果を聞く。


「うーんまずまずかな。二学期と三学期の出来次第でAクラス上がれるかもってくらい?」

「へぇ、やるじゃない! Aクラスに上がって来てくれたらひつぐを守るのも楽そうね!」


 桜屋さんは嬉しそうにそう言った。


「そう言えば、クラスでは佐籐の奴どうだったの?」


 私が聞くと、守華さんが「クラスでは苛ついてるみたいではあったけど、大人しかったわよ。私が事情を説明したから、親御さんに何か言われたんでしょうね」と誇らしげだ。


 守華さんにひつぐちゃんが「有難う美有。おかげで助かったよ~」と守華さんの手を取る。


「えぇ本当に良かったわ、天羽さんと守華さんには感謝ね」


 と水無月さんがいつものようにコンビニ飯を開く。


「私は……お部屋を提供しただけですから、何も出来ていません!」


 天羽さんがそう謙遜し、「それだけでも偉いよ!」と天羽さんの隣に座っていた鈴置さんが天羽さんの肩をぽんと叩いた。


「私は意見するだけで何も出来なかったな……」


 と神奈川さんが顔を伏せる。

 それにひつぐちゃんが「茉莉の意見がなかったら私、天羽さんちにお世話になれなかったよーありがとー」と神奈川さんに感謝した。


「佐籐のこともだけど、鈴置さん、神奈川さん、テストの方はどうだったの? Aクラスには上がれそうー?」


 私が戯けた態度で二人に聞くと、鈴置さんが「Aクラスは無理無理ー。まぁまぁかな? Fクラス落ちは間違いなく回避したと思うよ!」と自信を見せ、神奈川さんが「私も、Eクラスには残れそう」と安堵した様子だ。


「もう鈴置さん。教えた甲斐がないじゃない」


 桜屋さんがふくれっ面をする。


「ごめんってば!」


 と鈴置さんが笑うと、桜屋さんもすぐに笑顔になった。


「私も、Bクラスに上がれるかもってくらい上手く行きました! 香月さんのおかげです!」


 瀬尾さんが私に感謝の言葉を述べる。


「いやいや、瀬尾さんが頑張ったからだよ!」


 実際、私は得意な理系科目をいくらか教えただけだ。大したことはしていない。


「水無月さんは? Aクラス上がれそう?」

「えぇ……まぁ。7科目なら700点中680点ってところかしら」

「え? ほぼ満点ではないですか凄いです水無月さん!」


 天羽さんが驚きの声を上げる。

 学年トップ10に入っていそうな成績だ。

 まぁ1万回以上ループして、テスト内容が事前に分かってればそんなもんだよね……。

 でも水無月さん、本当に良かったの?

 私は未だにテストでそこまでの好成績を残すことに疑問を禁じ得なかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ハイスペックボディに掛かればテスト勉強なぞ…あんまり強敵ではない! シスコンストーカーはこのまま封殺しておきたいな~
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