新年も慌ただしく過ぎていく
年が明けて、除夜の鐘をつく様子をテレビで
見ていたら、いつの間にかうたた寝していた。
ガチャッ
(うん?ドア…?あ、私寝てた…。)
「あれ、庵ちゃんも居るじゃん」
誰かの声がした方向に、顔をむけると
そこには、なぜか津乃田さん。
「おっ、津乃田さん?…初夢?」
「ははっ、違う違う、現実!本物だよ、庵ちゃん」
「えっ…えぇ!!津乃田さん!なんでっ!
今何時、4時!!」
「大晦日パーティーするから、仕事終わったら
来なよって言われたんだけど、この様子だと
疲れて寝ちゃったんだね、晋太さんと宏太くん」
「あぁ、本当ですね…私もいつの間にか寝てました」
「晋太さん、晋太さん〜僕が来ましたよ〜〜!」
「ん〜〜、もう粉ものは食べれないよ〜」
「粉もの?なに?何でうなされてるの、晋太さん…」
晋太さん、めっちゃたこ焼き食べてたもんな…
そんな好きだったのか、たこ焼き…。
「うん?おっ、拓ちゃんだ!仕事終わったんだね
おつかれ〜、そこにピザあるから、チンして
あげるね〜〜」
「ははっいいですよ、ご飯はある程度
食べてきましたから、このケーキは食べても?」
「いいよ〜食べな食べな〜〜!」
新しい年が始まって4時間で、推しが見れるなんて
私は幸せ過ぎないか…去年の始まりだったら、こんな事
想像もしてなかったことだ。
(よく考えれば、本当によく考えれば、これって
奇跡すぎて怖い…推しが目の前で新年からケーキ食べてる)
あの時、唐突に持った夢だったけど、こうやって
地道にでも、少しづつでも、進んでるんだ。
あの時の、私が推しに仕事を持っていく夢も
叶うはずだ。もっと推しを有名にするぞ!
津乃田拓は最高の声優なんだ!
「……うん?寝てたっ!」
「あ、庵ちゃん起きた?」
「宏太さん?、あれ、晋太さんと津乃田さんは?」
「津乃田さんはケーキ食べて、晋太さんと話したら
帰ったし、晋太さんは朝から打ち合わせだって、行ったよ」
「おぉ、忙しいですね、皆…」
「僕らも休みは今日までだし、明日からはまた
舞台の稽古も始まる。ゆっくり休んで、明日に備えよ!」
「今年は、寝正月できなさそうですね…ふふっ」
ピロンッ
(メールだっ、裕さん?)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あけましておめでとうございます。
新年から急なんですけど、今日時間あります?
ラジオの企画の話がありまして。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あのことか、こっちも上手く進むといいな。
この企画、結構すきなんだよなぁ。
(いいですよ、っと)
「よし、宏太さん私もでかけてきますね!」
「えぇ!ゆっくりしないの!!」




