舞台稽古
「おはようございます〜〜」
もはや日常、と言って良いような、粟島さんが
1番乗りのこの光景。たぶん、こんなところが
皆から慕われる理由の1つなんだろうな。
「あ、西河さん〜おはよう〜、えぇっとその…」
「もしかして、記事でも読まれましたか?」
「ごめん〜、本人に直接聞くことでもないと
思ったし、そこらへんは本人同士の自由だと
思ってるんだけど、やっぱ気になっちゃうよね〜」
「本当に、本当に、全くの無関係です!!」
私がそう言うと、なぜだか笑い出す粟島さん。
「あっはっは、やっぱそうだよね?うんうん
そうだと思ったよ、僕は。ふふふっ」
ん?ん?なんだろう、とは言え、誤解だと
分かってもらえたなら良かった、か?
「おはよう〜、あ、庵ちゃん!熱愛出てたね〜
笑っちゃった〜、あははっ」
「羽多さん!あれはですね…!」
「大丈夫、大丈夫、誤解なんでしょう?
それでも、人気声優さんと2人の時は気をつけてね?」
「あ、はい…わかりました!」
「そうだ、生放送も聞いたよ!
王道だけど、あの単語からの組み合わせは
悪くなかったわ!いい線いってた!
その調子でこっちも頑張りましょう?」
「本当ですか!良かったぁ〜〜、はい!
物凄く頑張ります!!」
別に、羽多さんが基準、という訳ではないけど
羽多さんに言われると、脚本家として、すごく嬉しい。
よし、とりあえず皆が来るまで、掃除してこようっ!
「羽多ちゃんも放送みたんだ?」
「あたりまえじゃない、楽しみにしてたわよ〜
直前であんな記事が出て、可哀想だったけど
名前は出てないし、関わりのある人間しか誰か、なんて
わからないでしょう?」
「そうだよね、名前でなくて本当に良かったよ。
まあ、放送ちゃんと観てれば、こっちからすると
誤解なんてすぐ分かったけどね」
「あぁ、やっぱり?私もなのよ」
「晋太くん伝いで、仲が良いのかな?
とも思ったんだけどさ、あぁいう声優さんの
使い方をするって、だいぶその声優さんの事を
知ってないと、こっちとしては出来ないよね」
「脚本自体は、ありきたりで王道なものでも
あの配役の時点で、受け取り側には、他の作品より
印象的に残るのよね〜〜、無意識かしら?」
「どうかぁ〜〜、もしくはよっぽど、あの声優さんの事を
きちんと理解してるか、だよね?
どんな声質が出せて、どんな雰囲気が似合うのか…」
「やだっ、無意識だったら私達のひどい妄想に
とんだライバルの出現じゃない!」
「あははっ、まあ、そのうちわかるよ。
よし、下坂くんも晋太くんも、他の皆もそろそろ
来そうだし、準備しようか」
「そうね、だいぶ大詰めね〜〜」
粟島さんと羽多さんが、こんな話をしているなんて
私は知る由もないのだけど…。




