徐々に灯る心の火
(んふっ、ふふっ…んっ)
あっぶな、劇場だった、ここ。すごい…面白すぎる…。
お弁当屋さんってチョイスもさることながら、奇妙な客が
来るという設定が、次はどんな客が来るのか、と
だんだんワクワクしてくる…それなのに、最終的に結末が
まさかの展開で、ハッ!とさせらる。
「なにニヤニヤしてるの、庵ちゃん」
「あっ、宏太さん!今、今回の朗読劇の脚本を
羽多さんから読ませてもらってて」
「そうなんだ!どんなストーリーなの?」
「話したいんですけど、これを数分で説明するのは
勿体なさしか無いんで、朗読劇の立ち稽古を
楽しみにしててください…ふふっ」
「えぇー!ずるいなぁ」
「宏太さんはどうなんです?照明の方は」
「いや凄いね、実は前のテレビ関係の時は
音響中心でやってたんだけどさ…照明ってやっぱ
本当に面白いよ、光1つで、こんなに印象が
変わるんだ、って改めてわかったよ」
「舞台って、本当に凄い、としか言えなかったんですけど
色々知っていくと、細部まで本当に全部すごいんですよね」
「ははっ、結局凄いしか言えてないよ」
しばらく話していたら、羽多さんが来た。
「庵ちゃん、どうだった??」
「めちゃくちゃ面白いです、面白いのに最後の展開が
まさかこんな風になるとは思わないじゃないですか!
朗読劇が楽しみ過ぎます…」
「本当に?よかった〜、やっぱり同じ物書きさんから
言われると、嬉しいものねぇ〜〜」
「いやいや、私みたいな新人と、羽多さんが
同じってわけでは…」
「いいのよ、プロもアマもないんだから。
誰かが読んでくれて、いいと思ってもらえるものが
書ける人なら、皆凄いんだから」
「そういうものなんですかね…」
「不満そうね?ふふっ
私もね、最初の頃はそうだったの、長年やってる人は
凄くて、新人の自分なんかが…って思う時があって」
「こんな作品が書ける、羽多さんがですか!?」
「当たり前じゃない、誰でも最初は新人なんだから〜
でもそう思ってたら、いつまでも皆が面白い、と
思ってくれるような物が全然かけなくてね。
だから、1度しっかり自信を持って、自分の世界観
いっぱいで皆をあっと言わせるものを、書いてやろう!
って思ったの」
確かに羽多さんの言う通り…
いつまでも下手に出るような感じじゃ駄目なのかな。
そりゃあ、謙虚さも必要だけど、控えめに進めて
いったら作品まで控えめになってしまって来てる気がする。
そう考えると、最初の頃に比べて
私は、少しくらい成長したのかな?




