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推しよ!どうかこのキャラ演じてください  作者: 津河ここめ
第一章
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必然だと思わずにはいられない


「あの、作家さんか何かですか?」


「えっ、なんですか‥‥」


人がいるのにも気付かなかったのに、まさか話しかけて来るなんて

想定してなかっただけに、危うく口から心臓が出るかと思った。


「あっ、すいません、急に話しかけてしまって。

 ずっと真剣に何か書いてらっしゃったんで、つい」


「あぁ、いえ、私も驚いてしまって…作家ではないですけど

 脚本家になるのが、夢なんです」


あまりにもサラッと、夢だと言った自分にも驚いた。

周りには言えないくせに、見ず知らずの人には言えるのだから。



「あぁ、脚本家志望の方ですか。いいですね、素敵な夢です」


「あ…ありがとうございますっ!すいません、凄い嬉しくてっ」


誰かに夢を応援されるのが、こんなに嬉しいなんて。初めて知った。



「僕は、構成作家やってるんです。あまりにも貴方が真剣だから

 何をしてるのか気になってしまって‥そうですか、脚本ですか」


「そうなんですね!凄いです、尊敬します。

 私はまだまだ、全然駆け出しって感じで、とにかく書きまくろうって‥」


「少し、読んでみても?」


「えっ、いんですか?まだちょっと恥ずかしいんですけど…」



まさか構成作家さんに読んでもらえるなんて思わなかった。

脚本家と作家さんは、やることは違っても、ストーリーを作る

という面では通ずることがある。

凄く、いいチャンスだと思った。


「へぇ、推しとの恋愛。オタクなんですか?」


そんな風に質問されると恥ずかしすぎるなコレは。


「あっ、はい、何を書くか考えた時に1番好きなことから書きたくて」


「うん、なかなか、面白いですね。本当に初めてですか?」


「本当ですか!?文章がちゃんとまとまってるかも不安なんですが」


「良いですよ凄く、うん、上手いです。

 んー、そうですね。よし、決めました」


「はい?」



そんな勝手に、自分の中で完結されても困るのだが。

何を決めたのだこの人は?


「僕の下で働いて見ませんか?」


「えっ、えぇ!?」


理解が追いつかないとはまさにこの事か、と。

私は今何に誘われているんだ?


「ど、どういうことで‥?」


「あぁ、最近独立しまして、人手を探してたんですけど

 貴方を見てたら、どうも一緒に働きたくなってしまって」


「でも、私まだまだ初心者で、具体的な仕事なんかも全然

 わかりませんけど‥‥」


「いずれ、なりたいと思ってるんですよね?

 それなら、僕の下で働くのが得策だとは思いませんか?

 あ、でも素性も知らないのに、怪しいですよね、ははっ」



確かに。怪しい。

正直つい10分前に話したばかりだし、この人が本当に

構成作家だという確証もない。でも、今、飛び込まないと

きっと本当にこのまま、何も変わらないんだ。



「あのっ、お願いしますっ、働かせてくださいっ」



ジ○リのセリフかよ、なんて自分でも思ったが、それは置いておこう。



自分でも、今から、どうなるかわからないのに

それなのに、あの時と同じ。



初めて舞台を見たときと同じ

心臓が強く脈打って、ワクワクが止まらなかった。



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