初めてのお仕事の出来3
「僕たちの脚本、ストーリーに関する意見ってほぼないでしょ?」
「はい、想像してたより、全然、ないです」
「ふふっ、正解です」
「えっ?正解?」
笑いながら言ってくる、晋太さんの真意が
まだわからなかった。
「僕たちのこの仕事って、もちろん人気になれば
僕たち個人の、書くストーリーが好きで応援してくれる人も
いるけどさ?まだ書き出しの頃とかって、僕たちの書く
物語は、メインを引き立たせる為のものなんだよね」
そうか。
何を思い上がってたんだ?と、急に恥ずかしくなった。
それもそのはず、私はまだまだ新人。
晋太さんほどの作家・脚本家さんになれば固定のファンが
ついてくれてるけど、新人の私なんかに居るはずがない。
それに、メインの裕さんは人気のイケメン声優。
ストーリーなんて二の次だ。
「だから、気にしなくていいんだよ。
自分の好きな話を書くのもいいけど、うーん、なんて
言うのかな、とりあえず、メインの良い所をどうやったら
もっと出せるのか、皆に見せられるのか、って考えながら
最初は書いてくのも良いかもね?」
「なるほど…、なんか、良いもの書かなくちゃ!
って想いがずっとあって、でも、どこかで
多分それだけじゃダメなんだろうな…ってわかってて…」
「まだまだ、最初なんだし、とにかくなんでも
やってみて、手探りで良いんだよ?」
晋太さんのアドバイスが、すごく自分の中の空いてた穴に
きっちりハマった、とでも言うか。
でも、そういえば、この間の津乃田さんの時は
津乃田さんのこの部分を、どうしても活かしたい!
皆に、こんなに津乃田拓と言う声優は素敵なんだと
知ってもらいたい、って一心で考えてたら、美東さんからも
『なんだか凄く津乃田さんらしさがでてますね』って
言ってもらえたっけな…。
いい話を書こう、なんて思わなくても、メインの事を
どう活かすか、まずはそれを考えながら、やった方が
今はより良い話になる。
「へ〜〜〜、そう言われれば本当にそうっすね〜
全然気付かなかったですよ、そこには」
「はははっ、なんか宏太くんが言うと、全然
緊張感無いよね〜」
「晋太さん、そんな事言わないでくださいよ…
俺だって真剣です!」
「あ、そうだ、庵ちゃん、仕事の話があるって
美東さんがあとから来るらしいよ?」
「えっ?美東さんがここにですか??」




