急にオタク心がピンチ3
真剣な話もしながら、ご飯が進んでお腹もいっぱいになってきた。
「あ、スタッフさんから電話だ、ちょっと出てくるね」
そう言って、浅川さんが席を立つ。
いや、ちょっと、慣れたけど!最初よりは慣れたけど!
流石に二人きりは無理だってば、浅川さん!!
「庵ちゃんは、今、書くことで頭いっぱい?」
「えっ?あぁ…んーそういう訳ではないんですけど
いい作品を作りたい!とはずっと想ってますね」
「へぇ〜、それは良いことだね。
恋愛はしてないの?」
「な、そんな急に、なんですか!?
全然ですよ、全然っ!」
「はははっ、そうなの?僕てっきり
梅代くんといい感じなのかと思っちゃってたから〜」
「仲は良いですけど、全然そんな関係じゃ!!」
「えぇ〜、そうだったのか〜、そうだと思ったから僕…」
「失礼しま〜〜す」
何か言いかけた津乃田さんを、遮るように声が聞こえた。
なんだか聞いたことのある、声が。
「え!なんで!」
「あれっ、庵さんいるじゃないですか」
噂をすれば、とはこの事か。
元気は良いが、いつものごとく少し気だるそうに
梅代さん…裕さんが立っていた。
せっかく励ましてくれたのに、あれからまた悩んでメソメソして
いたのが実は、少し申し訳ないのと恥ずかしいので、ご飯のお誘いは
あったものの、なかなか会えなかった。
「お、ひ、さしぶりです…」
「僕、津乃田さんから呼ばれて」
あぁ、あの津乃田さんのフリはこういう事か。
「仲良いんだろうなって思ったから、呼んじゃった、ははっ」
別に津乃田さんと付き合いたいとか、そんな身の丈に合わない様な
事は考えてないんだけど、さすがに、自分の大好きな推しから
こうも他の人をあてられると、少し悲しくもある。
知り合いの妹、とかそんな位置づけの様な気がする。
津乃田さんってきっとそんな人だもんな。
「あれ〜梅代くん来てるじゃ〜ん!久しぶり〜!」
浅川さんは、ほんといつでもこのままで、清々しいな!!
「浅川さん!お久しぶりです〜!」
「拓ちゃんに呼ばれたんでしょ、どうせ〜、なんでも
好きなもの食べな、お腹空いてる?」
「それが晩御飯ちょっと食べちゃって、でもデザート食べたいです」
「ははっ、梅代くん本当正直だね、食べな食べなっ」
津乃田さんの横に座った裕さんが、メニューを見ながら
話しかけてくる。
「庵さんは?デザートは?」
「食べます、チョコアイス」
ピンポーン
「すみません、チョコアイスとパンケーキ1つづつ」
思わぬ可愛いチョイスに吹き出しそうになった。
「なんでそんな笑い堪えてるんです、というか、最近
庵さん忙しそうですけど、ミニラジオドラマの第3回が
明後日収録なのちゃんと覚えてます?」
「覚えてますよ当たり前に!、美東さんからも
一昨日OKを頂いたので、無事に」
「そうですか、それはよかった、楽しみにしてますよ」
そう、あの悩みが大きかったけど、実はミニラジオドラマの方は
順調に進んでいて、もう第3回の収録が明後日となっていたのだ。




