増える悩み
裕さんが話を聞いてくれたおかげで
なんだか少し心が軽くなった、というか。
やってみなきゃわかんない!やってやろう!
と、いう気になった、のに、だ。
当初の予定では、リレー形式で脚本を書き
完成した段階で、声優さんを決めて、収録。
という、流れだった。
だけど、それもこれも、あのお姫様、逢坂さんの
色々な意見があって、主役が津乃田さんということが
先に決まった。その段階でオファーしたらしい、が、やっぱり
ゲームやアニメのCV(あ、CVはキャラクターボイスね?知ってる?)
他にも舞台なんかやってるから、合間合間でしか
収録に来られないらしい。
それでも、逢坂さんは、津乃田さんじゃないと無理!
だと言い張り…結局1話を撮りつつ、調整しながら
他の話を、書いてすぐ収録、と言う形になった。
「…いや、無理だ…ちょっと、本当にやばいぞこれは…」
「西河さん?西河さん?」
「えっ、あぁ、島崎さん…もしかして聞こえてました?」
「あっ、はい、少し…ふふっ」
本当ならちゃんと前の話のストーリーを聞いたうえで
1週間づつ時間をいただいて、脚本を書き1ヶ月後に全ての
ストーリーを調整し、完成。とするはずだったけど、津乃田さんの
スケジュールに合わせたら、3話を収録した3日後には
私が担当する、4話を撮らなければいけない…これは非常にまずい。
「大丈夫ですか?西河さん最後だから…」
「大丈夫じゃないです、大丈夫じゃないですけど
やらないと、ダメなんですよね…」
そうだ、とりあえずやらなきゃ。それに。
それになにより、今日は1話の収録なんだ。
前回の打ち合わせから1週間、津乃田さんの予定が
空いていた今日が、収録日。
逢坂さんの、1話ストーリーを読ませてもらったけど
本当に面白かった。正直ちゃんと話を私が締めれるのか
という不安よりも、この1話の面白さをきちんと4話まで
続けて、尚且活かせるのか、という不安の方が大きい。
そんな面白かった1話を収録する。
収録するということは、津乃田さんが来る。
推しに会えるというだけで、無条件で胸が躍る。
さっきから、自分の心臓の音がうるさいくらいだ。
ただ、心配事が、1つ。
私が晋太さんの下で、働かせて貰っていることを
津乃田さんが言ってしまわないか、と言うことだ。
言っては欲しくないけど、もうすでにこの段階で
津乃田さんに、こっそり言えるわけもない。
なんでこんな大事なことを忘れていたんだ…!
とも思ったけど、この企画の事で頭がいっぱいで
どっちにしろどうにもできない…。
「あっ、そろそろ時間ですね」
島崎さんがそう言ったのと、ほぼ同時にドアが開く
「おはようございます〜、今日は宜しくおねがいします〜」
津乃田さんだ……!!




