もはや貴方が推しになりそうです2
「梅代さんっ!?」
元気にドアを開けてきたのは、なんと梅代さんだった。
あの時"お友達"になってから、1度だけご飯に行った。
梅代さんから、特にこの間のことについて、深く聞く
ことはなくて、今こんな事にハマってるんですけど、とか
他愛もない話をして、でもその時間が凄く楽しくて。
正直、想像よりもずっと、楽しかった。
ファンの間では実は凄くドSなんて言われてたけど
思ったより優しい人なのかな?なんて、思った。
「なんでっ!梅代さんが担当してくださるんですか!?」」
「ははっ、めっちゃ驚いてますね、そうですよ」
「言ってくれても!良かったじゃないですか!ちょっと!」
「えっ!お二人知り合いなんですか!?」
私と梅代さんの会話に、美東さんが驚いている。
「そうなんです、僕たち、お友達で。ね、西河さん?」
「いや、はい、そうですけど!教えてくれればよかったのに…」
「ははっ、すいません、庵さんなら絶対
驚いてくれるだろうな、って思って、つい」
なんだちょっと、可愛いとか思っちゃったじゃないか!
こんなとこでお茶目さを出してくるなんて!
なんて奴だ、梅代さん……
「というか、いつまで名字呼びなんです?
この間もずっと名字だったじゃないですか」
「だって、そんな、慣れませんよ、急には……!」
「えっ、そんなにお二人仲いいんですか!?」
梅代さんの……いや、裕さんの発言に何度も
たじろぐ私を面白がる裕さんと、そんな私達を見て
何度も驚く美東さん、しばらく言い合った後
やっと、今回のラジオドラマについて話す事になった。
正直、1度家に帰って落ち着きたいくらいだが。
「それでは、西河さん、梅代さん、今回は
よろしくお願いします。担当させていただく美東です」
「「よろしくおねがいします」」
「西河さんには事前に説明しましたが、今回の脚本は
”推し側”の意見を、少し反映させたいので、梅代さんに
感想を伺いたいのですが…」
「はい、僕の意見でよければ、読ませていただいた脚本ですが
凄く良かったと思います。特にこのオタクの気持ちは、大部分の
人が共感できるくらい、心情がよく描かれてますね」
「あ、ありがとうございます!」
「まあ、それも、庵さんがオタ……」
「あぁ!そうなんですよ、オタク観察が好きなんですよ!!」
「オタク観察?西河さん不思議なご趣味ですね」
(なんで、隠すんです?)
(嫌じゃないですか、声優オタクだなんてバレたら!)
(いいじゃないですか、別に)
(もう!兎に角内緒ですってば!)
(あぁ、二人だけの秘密にしておきましょうね)
「ん?お二人ともどうかしましたか?」
「いえっ、なんでもないです、進めましょう!」
前言撤回。梅代さんが、こんなにいたずら好きだとは
思ってなかったけど、さっきからハラハラしっぱなし。
こんなことで、これから上手く進んで行くのかな…。




