これはもう、ツイてるとしか
「今日だっけ?庵ちゃんの結果」
「みたいですね、朝からずーっと動いてますよ」
「僕もね〜緊張するとソワソワしちゃうんだよ〜」
「晋太さん、のほほ〜んとしてますけど?」
「ねぇ〜宏太くん、僕の扱い雑だよ〜」
朝からずっと緊張してる、大賞になんて、なるわけ無いって
分かってるけど、それでも、どこかで期待する。
結果のメールが来るまで、あと10分……
「庵ちゃ〜ん、とりあえずご飯でも食べない?」
「晋太さんが唐揚げ買ってきてくれたって」
「えっ、あぁ、そうですね、お昼ごはん先食べちゃいます」
食べ終わったらきっと来てるだろうな、緊張するな。
「庵ちゃん、どんな結果でも、まずは一歩だよ。
その一歩から、次へと足が踏み出せるんだから」
「晋太さん…そうですね、応募してこそ進めますもんね!」
「この唐揚げ美味しいっすね!どこで買ってきたんですか!?」
「宏太くん、僕今すごく良いこと言ったんだけど?ねぇ?」
「んー!ほんとだ!美味しい!」
「え?庵ちゃんまで?ほんとに?そんなことある?」
晋太さんが気遣ってくれたおかげで、実はそこまで
重く考えなくて良いんだ、って思えて。
やっぱり、この人はどこまでも、しっかりした人だと実感した。
こんな呑気そうだけどね。
「あ、メール来てるよ」
「えぇ、宏太さん先に見ないでくださいよ!」
「見てないってば、ほら、早く早く」
「あ、まだ心の準備が……えっ?」
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この度は、ご応募いただきまして、誠に
ありがとうございます。厳正なる審査の結果
入賞いたしましたことを、ここにご報告させて
頂きます。今回入賞いたしました作品は、入賞
特典として弊社が企画いたします、ラジオドラマ化
させていただきますので、下記日程までにご返信
頂きますよう、よろしくおねがいします。
天馬社 新人作家発掘係 美東天里
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どういう…?ん?入賞?ほんとに?ほんとに?
「これは……えっと……」
「よかったじゃん!庵ちゃん!入賞作品に選ばれた5作は
ラジオドラマ化してくれるんだって!!」
すっかり忘れてた、大賞ばかりに目が行って、すっかり。
まさかまさか、入賞するなんて思わないじゃないか。
「ほら、早くメール返しな、よかったね、庵ちゃん」
微笑んでくれる晋太さんに、泣きそうになった。




