プロローグ
雲ひとつない晴れた日のことだった。眩しくて眩しくてなんだか生きるのが苦しくて死にたくなった。わけが分からないと思うかもしれない。当然だ、実際俺にだって分からないのだから。だからといって何か行動するわけでもない。ただひたすら世界が滅ぶのを待つだけだ。…なんてありもしないことを考えて馬鹿みたいに時間は過ぎる。今日もいつもと何一つ変わらない平凡な一日なのだろう。学校に行って家に帰って…毎日同じことの繰り返し。つまらない。つまらない。
『なにか面白いことがあればいいのに。』
そんなことを思いながら俺は今日も学校へと向かうのだ。いつもの通学路。いつもの…平和なんだからいいじゃないかと思うかもしれない。でも、人は皆平和に飽きるのだろう。俺もその一人にすぎないのだ。
『おはよう、今日も早いな。』
教室に入って挨拶をする。そいつはいつも教室に一番乗りで俺が挨拶をしても何も言わない暗い女でただぺこりとおじぎをするだけだ。
『まあいいけどな。今日って一限なんだっけ?』
俺がそういうとそいつは数学の教科書を見せてきた。
『数学か。ありがとな、荒井。教えてくれて。』
そういうと少し嬉しそうに微笑んでくれる。平凡な一日の中で俺が一番好きな時間は荒井真美とのこの時間だ。こいつといるときだけはもう少し生きていたいと思えるから。世界が平和であればいいと思えるから。俺、遠山真也はそう思うのだ。だけど、平凡な日常は突然終わりを迎えた。
『死にたがり』というゲームによって。