寝てる女子
「なあ」
「お、起きたか須藤」
「ああ、そういや今朝は悪かったな」
「掃除の時か?やっぱ寝不足か」
「ちょっと徹夜でゲームしちまってな、テンションおかしくなってたわ」
「ああ、エロゲだろ?
「決めつけんなよ、その通りだけどよ…」
「そんでどうした?まともに化学の授業受ける気になったか?」
「そんなわけねーだろ」
「だよな」
「「ハハハハハ」」
「まぁ、化学はどーでもいいんだよ」
「よかねぇけど…で、どーした?」
「いやさ、こーゆー授業の時って一番後ろの席だと周りを一望出来んじゃん」
「ああ、誰もかれもが死んでるのが見渡せるな」
「それだよ」
「ん?」
「みんな寝てんじゃん?んで、男子の寝姿はどーでもいいとして、女子の寝てるのってエロくね?」
「は?突然どうしたんだ?いつも通りだが」
「いや、よく考えてみるとさあの寝てる女子って男の前で無防備な姿を晒してるわけじゃん」
「周りにはクラスメイトが大勢いるけどな」
「んでよ、その無防備な姿に色んなイタズラしたり、運良くコッチに寄りかかって来たりしたら頑張って胸のとこ覗いたり、顔をチラチラ覗いたりっていう使命に駆られるのが男じゃん」
「まぁ、見つかったら人生終わるけどな」
「たしかに色んな障害はある、しかし!それを乗り越えてこそ漢じゃあないか?」
「ふむ。そう言われると一理あるかもしれん」
「だろ?恋愛モノでも『障害があるから燃える』じゃん。それと同じで幾多もの障害(クラスメイト、教師、etc.)を乗り越えて無防備な女の子を覗き見るのが燃えて滾るんじゃねえか!!そして漢なら『据え膳食わねば〜』て言うじゃねえか。俺は無防備な女の子が目の前にいたら『これは誘われてるんだな』と何の迷いもなくそこに飛び込もう。それこそが真の漢だろう!?なぁ、わかってくれたか?」
「ああ、お前の言いたいことは分かった。だがな、そろそろ周りをみろ」
「は?」
---ジーッ
「もうお前の声で寝てる奴なんて1人もいないぞ。残念だったな」
「おおおおおおおーーー!ジーザスッ」
それでこの原子がね…
教室には禿頭白衣の淡々とした声と須藤の叫びがただ響いていた
・*・*・*・
それ以来、このクラスは授業中に寝る女子がいなくなったという