名前の由来
【名前の由来】
てんちゃん、てこちゃん、りー君は、今日も一緒に遊んでいます。
「ねーねー二人とも、自分の名前ってなんで付けられたか知ってる?」
唐突に、てこちゃんが聞きました。
「私はね、お父さんが学者で、てこの原理が好きだったからつけたんだって。」
てんちゃんは、手を挙げました。
「はい!てんはね、お父さんとお母さんが、てんが生まれたときに、天使が生まれたって思ったんだって。でも、天使ってつけるのは、ちょっと恥ずかしいから、てん、ってつけたんだって。」
てんちゃんとてこちゃんは今度はりー君を見つめます。
「僕は・・・利一っていう、ひいおじいちゃんがいて、すごく強くて格好いい人だったんだって。だからぼくも、利一ってつけられたんだって・・・。」
りー君は、顔を真っ赤にしました。
「僕なんかが、利一って名前じゃ、ひいおじいちゃんに悪いよね。」
りー君は泣き出しそうです。
「でも、この前、りー君、てんのこと助けてくれたよね?犬に追いかけられたとき。」
「あの後、棒で追い払ってくれたのは、てこちゃんだし・・・。」
「でも、私が来るまで、てんちゃんのこと守ったんだから、強いし格好いいよ。」
てんちゃんと、てこちゃんは、真剣な顔です。
「僕は、もっと強くなりたい・・・。けど、強くなって、意地悪な人にはなりたくないんだ。」
てんちゃんが、ふふふっと笑いました。
つられててこちゃんも、ふふふっと笑いました。
「りー君は、強くなってもきっと意地悪にならないよ。」
「私もそう思う。それに・・・。」
「利一って名前もいつかきっと好きになるかもしれないよ。」
りー君は、優しいてんちゃんとてこちゃんの顔を見ながら、大きな手を思い出していました。
それは、今よりずっと小さかったころ、大きな強い手で頭を撫でてくれた、ひいおじいちゃんの手でした。
(利一って名前・・・本当はずっと大好きだった。)
りー君は涙を拭いて、てんちゃんとてこちゃんに、ありがとうと言い、笑顔を見せました。
あの時、大きな手で頭を撫でてくれたひいおじいさんのような、優しい笑顔でした。
おしまい