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異世界・魔法・モンスター

)^o^(





落ちてます。




絶賛俺落下中☆




人間界の何処かしらに繋がってる、と言っていたが空中だけは無いと思ってた。


しかし俺の体は風をきって真っ逆さまに地面へ向かっている。



地面とのファーストキスだけは回避したい。


脳みそが木っ端みじんになるのはごめんだ。



どうしてこうなった、


他にももっと平和的転送あっても良かったんじゃない?



と無駄なことを考えているうちに地面が近づいて来る。



もう終わりか、早かったな第二の人生。

まだやりたいこといっぱいあったな。中二な魔法使ったり、勇者様をいじり倒したり、恋愛フラグへし折ったり。





ぼよおおおおおおおおん




「ぐえっ」



落下直後ゼリーのような感触とともに、下のほうで何かが潰れたような音がした。


なにこれ超プルプルしてるんですけど、


こんな地面有り得ないわな・・・ははは。

おかげで助かったが。




「取り合えず、地面に下りよう」



トランポリンのようにボヨボヨはじきかえしてくる謎の物体。




ぐるぅぅぎゅらぁぁぁっぁ




これぞモンスターといった唸り声が俺の下の方で聞こえたが気のせいだ。



え、下?



プルプルとした感触は考えるまでもなく



「スライムですね、わかります」



スライムの大きさをどう現せばいいのか分からないが、とにかく今は5m以上ある。


1tから2tは余裕であるだろう。




俺に会ったのが運の尽き・・・何てったって魔王だもん。


チートだよ!魔法だよ!

最強種族です!




でもね




「戦い方が分かりません」




俺は一目散に逃げ出した。


魔法を覚えない限りどうしようもない。

最初から魔法を使えて王女様助けるなんて荒業は主人公・勇者様だけの特権。


とりあえず、走る。逃げるしかねぇ。



なんとか振り切って川を渡ると、それ以上近づいてこなかった。


よかった水が苦手で。




しばらく歩きながら辺りを見回す。


やべぇ、森以外の何物でもない。原生林という感じで、あちこちで木が倒れて他の木によりかかっている。


道という道もないし、今は進めるだけ進むしかない。



それよりも体がスライムの残骸だらけ、不快指数120%。


もうべったべたに体に纏わり付いている。

このスライムのカスを落とすためにも湖を探して洗うことにした。



あてもなく歩いていると湖発見、予想以上の透明度だ。


飲むことも出来るだろう。


もしフラグなんか拾ってはいけないから(立ったとしても折るだけだが)、二次元系の美少女がいまいか確認してから服のまま湖に飛び込んだ。



・・・先に飲み水確保すべきだった。



後悔しても既に遅く、体にまとわりついてスライムは水にとけていく。


美少女、もしくはモンスターがいないことを確認して、服を脱ぐと湖でTシャツ、ジーパン、下着を洗った後、適度に絞って木に引っ掛けた。



つまり、今おれは真っ裸だ。



誰もいない森の中でまっぱで一人・・・なんという開放感だろう・・・なんか目覚めちゃいそう。




引っ掛けた服が渇くのも時間かかりそうなので、木の枝を集めて火を起こすことにした。


一応薪の形に置いて、魔法の基本中の基本・・・火をイメージしする。



魔法の使い方が分からない今、想像力以上のものはない。



想像するだけでは無理のようだ。


更にリアリティを加える為に昔触って火傷した温度、色も加える。


するとどうだろう左の手の平に熱の固まりのようなものが集まりだした。

ほんのり暖かい。



あ、なんか出そう



集中力が一瞬途切れると、生温い空気の固まりは分散してしまった。


もしかしたら、これが魔法を使うための準備状態のようなものなのかもしれない。



そうだとすればコツさえ掴めば火も簡単に出せるだろう。




もう一度挑戦するが、まるで出来もしないけんだまをやっているような気分になってきた。



だがしかし



「なめるな、オタクの集中力!」


何処だって俺はゲームと漫画の世界に入り混んできた。


その集中力だけは自信がある。




「ぬっほい!」



掛け声とともに思った以上の炎が起こった。

これで薪に火がついたわけだが、



「次は『風』を使ってみよう」



辺りを吹いているそよ風を観察し、自分の両手に集中力を流し込み風を纏わせる。そうだ、魔法には技名がいる。なんか詠唱とかするやん?ええっとそれっぽい言葉言葉・・・



「ブリーズ」



そして服の方向へ少しずつ送るイメージだ。

するとどうだろう、ほしてあった服はものの10分で渇いてしまった。




「確かに文明の利器は便利だ」



正直魔法でやるのは面倒臭い。



服も渇いた所でその服を着てから色々な魔法を試しておくことにした。


モンスターと会ってもなんとか出来るだろう。




「風切刃」



我ながら厨二なよい名前だ。


だがどうしてもそよ風しか作れない、完全な名前負けだ。



もしかしたら風の量が足りないのかもしれない。


俺は手当たり次第に回りの空気を集中させた。



すると




ズシャシャシャシャっ




風の刃の塊が出来上がった。


「うお、あぶねっ」


小さな竜巻だ、取り合えずそよ風を使って上空に避難した。



どうやら今度は集めすぎたようだ、気をつけよう。


慌てて飛んだものだから安定していない、すぐに地面に向かって落ちてしまった。


竜巻は何処かに走り去ってしまった。

その爪痕だけが木々の間に残されていた。



「まあいっか」



こんなところにモンスター以外はいないだろうから安心だ。


気を取り直して魔法の練習だ。


基本属性で残るは『水・土・金』だ。


『水』は湖の水を使えばいいし、『土』はどこでもあるので簡単に習得出来た。



「っててれー『ぬりかべ』&『水鉄砲』」



正式な名前は知らんがこれである程度戦えるだろう。


ぬりかべは『土』を錬成した壁でオートで移動する、水鉄砲は『水』の粒々が対象を突き抜けるという悪役っぽい技だ。


攻撃力があるのか、という微妙な疑問を置いておこう、どこかで応用がきくかもしれない。




問題は金属性。




「『金』って何?」



思いつく限り錬金術しかない。


錬金術といえば金属でないものを金属に変えてしまう、というものだ。


そんなことが可能なのかといえば、原子核融合が使えるならば可能だ。



それは何故か・・・水素やヘリウムといった軽い元素から、ニッケルや金属といった重い元素が作られてきた、というのはこの宇宙のJK。


宇宙の始まりに水素と水素が核融合して重水素となり、さらに核融合しヘリウムが生まれた。

そういう風に他の物質も核融合の後にどんどん重い元素が誕生していった。


分かりやすい例が太陽だ、太陽は水素を核融合させヘリウムを作り出している。

その時の膨大なエネルギーが俺達の受けている太陽光だ。


ヘリウムからもどんどん核融合させることで、金属まで行き着くことが出来る。

だから核融合を使えば非金属から金属を作ることも理論上では可能なのだ。


しかし、科学技術が足りないために今のところ方法はない。俺の生きてきた現実世界では。


因みに原子発電で使用されているのは核分裂であり、それは核融合と逆の現象というわけでもないらしい。


とにかく核融合には超高温・超高圧という条件が無いと発生しない。


その条件を作ったとしても発生するエネルギー=プラズマをどう扱うかが問題だ。




・・・その前に魔法だから関係ないのかな?




それに金属は炭素の核融合で生まれ、その温度は星の中心温度が15億ケルビン(約15億度)を超える必要があるらしい。

低温核融合を唱えていた人もいるが。


とにかく俺達は宇宙の中でも低エネルギーの状態だ。



常識的に考えて人間業ではない。


魔法なら可能かもしれないが封印されている今の力で出来ることではない。


魔王の力を受け継いだといっても封印されているからちょっと強い、というぐらいだろう。



『火』はともかく、『土水風』は有るものを利用するだけだ。


『金』が錬金術だというのなら作り出さなくてはいけない。


つまり、創造とほぼ同義だ。誰にでも出来るとしたらそれは全員チートということになってしまう。




ただ、



「なるほど、俺は勘違いしていたかもしれない」


『金』というのは『水・土・風』と同じく操る力だったら納得がいく。


金属を粘土のように操れるならそれだけで魔法的だ。




それならば納得。


こんな何も無い所で『金』の練習は出来ない。




「じゃあ、残るは創造と時間・・・これって何属性なんだろう」


ぼんやりと、湖を眺めていると、胸の当たりにチリチリとした熱を感じ取った。胸元を確認すると、魔王から受け取ったペンダントが鈍く光っていた。


なにこれ、キモッ。

呪いのアイテムじゃん。


『どうやら、無事についたようだな』

「!?」


突然頭に響くような、低い声が聞こえてきた。


確か通信用って言ってたけど、ペンダント自体から声がするもんじゃないのか?

唐突すぎて驚いてしまった。


瞬時に、例の魔王だと判断して答える。



「まあね、ところでなんかよう?」


『様子を聞きたかっただけだ、因みに喋らなくても心で喋るだけでいい。

この声は主以外には聞こえない』


「へえ」


(調度いい、先に質問。金属性ってどういう魔法?)


『そのままの意味だ。金属を操る。5要素の中で一番強力だ。』



やはりか、ならばあんなに悩む必要も無かった。ま、火が発生する理由はイマイチわかんなかったんだけどな。


じゃあ次だ。



(『闇』はどうすれば使える?)



『闇は・・・最初は影を動かすイメージするといいだろう』




なるほど、分かりやすい例だ。


『水・風』と同じように意識を飛ばすとゆらゆらと影がうごめいた。


これは相当練習する必要がある。他のものと違ってイメージが難しい。


これから使い方を考えていこう。




取り合えず大体把握しておくことが大切だ。


(おう、大体分かった・・・んじゃ)


『うむ、達者でな』



あんまり喋ってると、頭痛くなってきた。だって、直接声ひびくんだぜ。気持ち悪い。うえ、吐きそうになってきた。



それに、そろそろフラグ立ててもいい頃だろう。フラグってそりゃ、お前、美少女との恋愛フラグだよ。


こんな俺でも憧れはあるからな!


ま、俺に立ったらおるけど。全力で。


それに、こっちには勇者(笑)も来ている可能性高い。だって一緒に死んだんだもん。運命だろ、宿命だろ。脇役友人は仲間のふりしてて、実は悪のボスやったフラグや。俺が、そのラスボス脇役やで。


主人公=勇者おらんとか、ありえん。





森の中からキャーという叫び声が聞こえてきた。





キターーー( ゜∀゜)ーーー





俺は一目散に走りはじめた・・・フラグは取った時点でアウトだ。あとはなし崩しにフラグ乱立して行くのを呆然と見守ることになる。


だから木陰で観察するのがベストだ?


何?非道だって?


そんなもん俺には関係ないね。




見るとレベル50ぐらいのドラゴンの前に金髪美少女が倒れ込んでいた。



レベル50ドラゴンの体は緑色、苔のような色だ。


頭までの高さは3メートルくらいだろうか、目は赤色に光り、血のような赤い舌をチラチラさせている。


緑色の吐息を吐いて、あたりの草木は力無く地面にへばりついていた。



胸のあたり・・・ペンダントがチリチリしていることから決して弱いドラゴンではないことが分かる。てか、まじこえええええ。ドラゴンだよ、ドラゴン。チートだと判っててもこえーもんはこえーわ。




だがどこか変だ。

しばらくドラゴンの様子をうかがう。




そうか、草木が枯れてういるのはおかしい。



こんなドラゴンが森の中にいるはずがない・・・でなければ森が死滅してしまう。


美少女の方は、顔までは見えないが美少女に違いない。


肩を過ぎる程の長さの金髪、そしてきらびやかなドレス。

淡い青を貴重とした上品な着物だ。


やったね、お姫様だ。




「だれか・・・誰か助けて下さい!」



小鳥が囀るような美声。


今はただ怯え、恐怖の色が本来の美しさを褪せてしまっているようにも思える。




残念ながらここで俺が出ていく訳はいかない。





大丈夫、主人公が・・・・





キターーーーーーー



(゜)(∀゜)(゜∀゜)( ゜∀゜)( ゜∀゜)



ーーーーーーーーーーーー




上空には、巨大な魔法陣みないなのが白く光っている。巨大ってそりゃ、数十キロはあるね。




キマシタ、テラ厨二。

異世界召喚ですね。よっ!マッテマシタ。


ドラゴンもその方向に気をとられている、お姫様も逃げればいいのにその様子に見入っている。いや、逃げろしwwww



上空から閃光がほとばしった。夏祭りの夜に見たレーザー光線みたいですよ。


どんなけ派手な登場なんだよ、テラ厨二ww



「ここは・・・?」



地面に閃光とお決まりの台詞とともに現れたイケメン主人公、城山悠斗。




「なんだこれは・・・恐竜?」




まるで何も分かっていないようだ。

本当に分かってないようだ。


ぽかんとしたマヌケ面をしている。


しかし、すげぇな、お前。ピンポイントでお姫様の目の前に登場だもん。ナニコレ、神が準備してたの?



ドラゴンは突然現れた主人公にひるんだがすぐに敵認証した。



ぎゃああああぁぁぁぁ



「助けて下さい!」




炎を吐こうと構えるドラゴン、チロチロと緑色の火の粉がずらりと並んだ牙の間から漏れている。




まずいな


非常にまずい。




ごおおおおぉおおぉお


と音を立ててドラゴンの巨大な口から火炎が吹き荒れた。




いくら主人公たって、こんな訳がわからない状況では死んでもおかしくない。


一応神に会ってチートもらっているだろうけど、対処することは難しいだろう。俺なら無理、死ぬ。




だが俺がこの木陰にいる、つまりこれは然るべき状況なのだよ、諸君。



誰にも聞こえないように小さく俺は呟いた。




「<ブリザードシールド>」




瞬時に風の防壁を主人公の前に作り出す。


すると風は炎を巻き返し、ドラゴン自身の体を灼熱の温度で焼いた。




うまくいった、


これで遠隔魔法は俺のスキルになり、どこからどうみても主人公がお姫様を救ったようにしか見えない。


常識?

科学?


ああ、さっき森の中に捨てました。




ぎゃああああああああああ



あまりの痛みにドラゴンは身をよじらせる。


よっぽど高温だったのかドラゴン自信のくすんだ鱗がドロドロと溶けて、肉の焦げる臭いが漂う。


さあ、とどめだ主人公。




主人公の台詞


「何がおこったんだ?」


「あなたは・・・まさか。・・・炎の魔法を使って下さい!炎の魔法で焼き尽くして下さい!<フレイムボム>で!」


とさっきまで倒れていたお姫様が叫ぶ。おい、場馴れしてんな。


「なんだ・・・この力は?どうすればいいんだ!」




何これギャグですか?ww

超ウケるんですけど。




「力をドラゴンに集中させて下さい・・・自分の力をぶつけるのです!」


「わ、分かった・・・<フレイムボム>!」



主人公が放った炎の魔法。


さすが主人公補正、いい仕事してます。

異世界到達30秒で魔法取得ですもんww



でもダメダメだな、俺は魔法の炎に風を送りこんだ。


途中で急に威力の上がった炎はドラゴンに直撃した。


今度の攻撃は焼け爛れた部分に直撃したため、絶命に至った。


これからが本番本番。


しばらく様子をみることにしよう。お決まり展開だ。




「大丈夫ですか?」



慌ててお姫様に駆け寄る主人公。


さっきまで叫んでいたのは嘘のようにしおらしいお姫様。だから、お前なんなのwwww



「あなたが・・・メシアですね?」



主人公の手を取り、目を輝かせるお姫様。


メシアとは救世主のことであり、つまり魔王を倒す勇者。いやぁ、ぼくは君の成長が楽しみだよ。




「私はセヴァスティカ公国第三王女です。是非私のお城へいらしてください!」




ハハハ、


お姫様はもう主人公のとりこだ。

甘いマスクに最強の力、さらに異世界からきた救世主となればイチコロさ☆




それよりどうした主人公?


どうして固まっている?早くぐっと抱きしめやがれ。





・・・ああ、そうか




俺は分かってしまった。




知ってしまった・・・・




さっきまでちゃんと見えていなかったお姫様の顔・・・





なあ、世の中には知りたくないこともあるよな





ざまぁ、主人公。



そして



姫は



紛れも無い







・・・・ババァだ。



俺だったら殴り飛ばしてる。

紛らわしいカッコしてんじゃねぇ!!!!



主人公は放心状態でババァ姫に引っ張られるようにして森の奥へ消えていったww









俺はそれを見送るとドラゴンの死骸を確認しに向かった。


血走った目を見開き、息絶えてもなお毒の煙が口のあたりから発生していた。




「全然読めない・・・はい悪魔召喚しよ」



困った時の悪魔さんだ。


元魔王の話では73の悪魔を使用可能なのだとか。


とりあえず、ダンタリオンという悪魔を呼べば便利だと言っていた。


正確には召喚じゃなくて喚起というんだけど。




「ダンタリオン!オズ!姿を現せ」




言った瞬間目の前には一匹の豹と本を片手に持った皺くちゃのじじぃがいた。


『ふぉっふぉっふぉ、お呼びかなマスター。我の名はダンタリオン、こっちのケモがオズじゃ』


じじぃは豹を指差して言った。この豹なんか知的な目をしてて、不気味だ。なんだろう、人間にそっくりな人形を見たときのような不気味さだ。


「まあ、聞きたいことがあってな。」



悪魔だ、と興奮しているのは心の引き出しにしまって、今は堂々としておこう。

主人として威厳を保たなくては。仮にも魔王(笑)だしな。



『何なりと』


じじぃは自分の長い髭に手をやる。



ダンタリオンって老若男女どの姿もあるんだっけな、美少女で来て欲しかったなぁ。


とりあえずは質問だ。


「そこのドラゴン、本当にこの世界のものか?」


俺は息絶えた毒のドラゴンの死骸を示す。


『ドラゴン自体はこの自然界で生まれたものだ』


それにじじぃ頷きながら答えた。


『・・・悪意を感じる』


そこで初めてオズが口を開いた。

豹なのにしゃべるのか、さすが悪魔。


「オズ、どういうことだ」


『そのままの意味』


素っ気ないヒントにじじぃが詳しく教えてくれた。


『つまり、このドラゴンにはなにかがあるということじゃ・・・みる限り普通ではない。こんな毒素を撒き散らすドラゴンなどいないからのう。』


「じゃあ、誰かがドラゴンに何かした、とか?」


オズは頷いた。


まあ予想通りだ、だからオズを呼んだのだから。


オズは秘密を感じ取って答えることが出来る。他に教養について詳しいらしい。


ということで常識がありそうなので呼んでおいた。とんでもねぇやつ呼び出して失敗したくないしな。


全部殲滅するって暴れだしたら困る。まだ魔法は不安だ。



「誰かが魔法をかけた?」


『違うな』


「誰が何をした?」



返答は帰ってこない。


こっちから目安をつけて 質問しないといけないようだ。


まあ、今回はドラゴンに謎があるということが分かっただけでよしとしよう。


「オズ、帰っていいぞ。おつかれさん。」


『御意』



そう言うとオズは煙のように掻き消えた。オズの本当の力を使用した結果は狂気だ。あんまり多用はしたくない。


オズは秘密を知る悪魔だ、教養があるので悪魔の中では常識人だ。


そして仕事も出来る。


だからこちら側に長居されると魔界で混乱がおこる可能性がある。


だから魔界の行政に支障が出ないようにこちらも気を使って悪魔を使う必要がある。


思った以上に不便じゃねえか。




「ダンタリオン、後で悪魔の種類と扱い方を教えてくれ」


『お安いごようで』


「あと・・・」




俺がある提案耳打ちすると、じじぃは悪魔のようにニヤリと笑った。


おぬしも悪よのぅ。


『ふぉっふぉっふぉ、マスターほどでは・・・』


こいつ、俺の心を読みやがったな。

まあいい。


じじぃは俺の提案を喜んで引き受けてくれた。




ーーーーーーーーーーー





一方、主人公城山悠斗は・・・放心状態のままセヴァスティカ国へ引きずられていた。


まあ、あの姫ババァの顔はトラウマものだがな。



しかし、しばらくして気を取り直したようだ。そして目をゴシゴシとこすって姫の顔を覗き込む。


「どうなさいました?」


と鈴を転がすように笑うババア。



どうしたことだろう・・・さっきまでのキモいバ・・・姫と顔が違う。


見たことも無いほど白くきめ細やかな肌、桜ん坊のような可愛らしい唇(以外略)なんと、信じられないほどの美少女姫になっていたのだ。





俺とじじぃは魔法の鏡を覗き込みながら、城山悠斗の困惑にニヤニヤしていた。


何をしたのかというと


ダンタリオンは幻術を遠隔操作で見せることが出来る。


あのババァを超美少女に見えるようにしたやったのだ。


だから俺達の目にはババァにしか見えない。




城山悠斗は戸惑うばかりだ。




「いえ・・・あまりに貴女が可愛らしいので」



ごまかそうとして言った台詞なんだろうが、姫はテンションマックス。


ここからはババァが頬を染めてるようにしか見えない。



「メシア様・・・いいえ、あなたと私は結ばれる運命にあるのです」




それを見て俺の後ろからゲラゲラとした笑い声がして、振り返る。そこには赤い火の玉があった。


なんだこれ。


ダンタリオンいわく、悪魔の一柱で面白そうなことをしていると知って勝手に現れたらしい。


『じじぃ、こんな面白そうなこと俺を呼べよなwwウケるww』


なんか、しらんがゲラゲラ笑ってる。うるせぇなこいつ。


「ダンタリオン、こいつ誰だし」


『アウナスじゃ、天文と教養専門。敵中に疑いの種を蒔いたり撹乱するのが趣味らしい』


「趣味ww教養って何ww」


趣味からしてまともじゃない。まあ、悪魔なんだし、気にしたら負けか。



アウナスと呼ばれた悪魔は炎に目と口がある


「ハウ○の動く城?」


にこんな悪魔がいたような・・・


『侮るな・・・小僧』


こちらを睨んでいた、火の玉がブワッと膨張する。あっつ。てか、あっつ。炎の中から人影が浮かび上がる。黒髪のテライケメンに変身しやがった。


なんだ、ただのイケメンか。瞳はさっきの炎のような赤だ。


『うっは、激厨二ww』


とか言ってイケメンは自分の台詞にゲラゲラ笑いだしたので、燃やしておいた。


『ちょ、俺燃えちゃう、マジ鬼畜っす先輩』


てめぇのような後輩は持ったことも、それ以前にお前を呼び出してさえない。勝手にでてくんなよ、おい。


「イケメンは俺の敵」


『リア充爆発しろ』


ひし、と両手を取り合う俺とアウナス。なんだ。ただの同志か。





「そろそろ第二弾いってくれ・・・」


『ほい』


俺が合図するとダンタリオンは頷いた。



アウナスは何か気づいたのかニヤニヤしている。


『さすが先輩ww』


いや、先輩じゃねぇし。




突然、姫ばばぁの手に主人公が手を重ねて熱っぽく言った。


「どうしたんだろう、君から目が離せない」


「メシア様!私と一緒にお城に来て下さいますか?」


「もちろんだ、もう君から離れられない」


「メシア様!私と愛の逃避行に・・・!」




それ見てアウナスはまた笑い出した。


『ギャハハハハ、キモッ、サブッ!』



説明しよう、


ダンタリオンには人の心を操る力がある。


城山にばばあに対する恋愛感情を持たせたに過ぎない。


ほぼ操っているようなものだが。


そしてお遊びはここまでにしてそろそろ仕事しよ。




「ああ、もう飽きた。俺そろそろひと狩り行くんで」


『おーけーじゃ、また喚んでちょ。また今度悪魔について教えるわ』


と言ってダンタリオンは消えていった。

軽いな。そして、目の前のイケメンを見る。目があって、暫くにらみあっていたが、耐えきれずに言う。


「ナスは帰らんのか」


『ナスって何ww』


「ナスぼっち、お前のことじゃけん」


『急に訛ったしwwとりあえず、俺は気にせずひと狩り行こうぜ!』


「だが断る。イケメンは消えうせろ」


『ひどwwんじゃこれで』



ポンと黒い子犬の姿になったナス。


『どう?俺の超プリティな姿ww

これでJKにモッテモテ間違いなし、

だが俺は二次元以外興味はない、残念だったなww』



確かに可愛らしいが気に食わん。



「てか、同志かよ」


『リア充氏ね』



あの顔で説得力ないけどな。


二足歩行で歩くキモい子犬を無視して俺は歩き始めた。


そしてなんか歌ってやがる。


『っく、みくにして~あげるっ♪ねっぎはっ・・・とここでスライム登場!』


「懐かしいな」


曲が



俺は風と水の応用魔法フロストで凍らせて、ファイアーボムで爆破して粉々にした。


2秒です。



『てってれー、新魔王はLevel2になった。フロストが使えるようになった。

ナスはLevel98になった、終末の大魔法<エンドオブデイズ>が使えるようになった』


「ナスを・・・認めやがっただと?」


『俺に不可能はない!そして新魔王の旅は続く!』


「お前うるさいな」


『うは、鬼畜っす先輩ww』


「二足歩行キモい」


『こっれっはっ♪ぼくっのし、んかのっ』


「作曲者(神)に謝れ、全国のニコ厨に謝れ、お前がキモい。そしてお前のネタは微妙に古い」


『wwスマソww』


「まあ、いいや。モンスター倒してお金出たらいいのにな」


『テラ、ゲームwwあ、スライム』




やたらとスライムの多い森を抜けて、草原のような所に出ると日が沈みかかっていた。


てかスライムしかいねぇ。レベルアップできねぇよ、経験値低すぎやろ。


ぼんやり歩いていると明かりがポツリポツリと見え始めた。


「向こうの方に村が見えるな」


『移動するのめんどwwセーレ呼ぼ、セーレ』


セーレとは悪魔の一人で友好的かつ便利な奴らしい。


「セーレ、王の名により命ずる。姿を現せ」


『テラ厨二ww』


とウケてるナスは無視だ。

お前の存在が厨二だ悪魔め。


目の前には・・・ペガサスに乗った超美男子が現れた。


金髪に氷色の瞳、長髪に柔らかい物腰、

王子様系。



『ぐぱっ』


何故かそれを見たナスが吐血した。


「おめえのダメージ受けるポイントが分からん・・・それよりよろしくセーレ」


『アウナスが迷惑かけてすみませんマスター、私がセーレです。移動魔法ならまかせて下さい。』


セーレの魔法で俺とナスは村の入口まで移動した。ナスは大人しく四足歩行している。そうしてると、なかなか可愛いぞ。子犬みたいで。


門番っぽい人が座っていたので声をかける。


「すんません、旅の者ですが、宿とかないですか?」


門番っぽいひとはすまなそうに笑った。


「すまないね、にいちゃん。

最近狂暴なモンスターが増えていてね、よそ者は入れないことになってるんだ。」


なんか、いいひとっぽいな。明らか不審者な俺に対する対応じゃねぇな。でも、問題は持ち込みたく無いということか。


『この方をどなたと心得るっ!?かの魔っぐぽっ』


突然印籠出して立ち上がったナスを蹴り飛ばして黙らせた。


「一応、私はモンスターを狩る仕事をやっておりまして、結構腕が立つんですよ、お困りならばお手伝いしますが・・・」


はったりだ。


「ハンターさんか!?」


門番の目の色が変わった。ハンターって職業あんのか、都合いいな。のっかっとくか。


「まあ、そのようなものです。」


「それじゃ、話は別だ。是非ともこの村を救ってくれ・・・詳しいことは村長の家に行けば聞けるだろう」



すんなりだな。

俺は言われた通り村長の家に向かった。


「こんこんこん、ごめんくださーい」



中から肌の浅黒い50代ほどの女性が出てきていぶかしげに俺をジロジロ見た。


服装が変わっているからかも。


「どちらさんですか?」


「ハンターです、困っていることがあると聞いたので村長さんにお話を伺いに参りました」


まだ疑っているようだったが、村長の所まで案内してくれた。


食事中だったらしい、失礼なことをしてしまったな。


「ようこそ、ハディソン村へ・・・どうぞご一緒して下さい」


「ええ、ありがとうございます」


俺は村長に示された椅子に座って、ナスを膝の上に載せた。


あまり村長は気にしていないようだ。


テーブルにはアジアっぽい料理がならんでいた。


魚の料理、何か炒めたおかず、パラパラしピラフっぽいご飯。


魔法の世界が洋食じゃないのは裏切られた感。


でも丁度良かった、この世界に来てから何も口にしていない。


「どうぞ、召し上がりながらお聞きくださって結構」


「いただきます、それで狂暴なモンスターというのは?」


俺はピラフっぽいものを皿に貰いながら聞く。


「それが数ヶ月前、突然魔界の大公爵という男が現れ、月が満月になるたびにいけにえを要求するのです。出さなければ皆殺しにするというので仕方なく、差し出していたのですが・・・」


「話は大体読めました」



解りやすい展開だ。

古代からある王道展開に疑問も何も無い。


大体、犯人は低級悪魔かなんかだろう、ちゃっちゃか倒して宿ゲットしよう。



「ところで・・・その子犬は」


じとり、と疑いの眼差しを向ける村長。確かにハンターがただの子犬をつれているなんて、怪しいわな。


「使い魔です」


悪魔なんて間違っても言ったら・・・想像するだけで恐ろしい。


村総出でリンチは確実。


もしそうなっても逃げるだけだけど。


村のお話を聞き流しながら御馳走になった。うまうま。


「ご馳走さまです、取り合えず満月の夜を待つしかありませんね」


悪魔が姿を表さない限り、どうしようもない。


「明日がその満月の夜です。頼みましたぞ」


「では、宿を教えていただけますか?」


「はあ、宿は3件隣です」



最初に出てきたおばさんが不安そうに俺を見て宿を教えてくれた。


どうやら宿は手配してくれていたらしくベッドで寝ることができた。


ナスは静かに犬のふりをしていた。


と思ったら携帯型ゲーム機をプレイしていた。犬の手で。


どっからそのゲーム機を出しやがった。因みにP○P。


『せーっえーっらーふーくをっ♪ぬっがっさーないでっ♪』


地味に古い歌を歌いながら。


俺は無視して眠りに落ちた。






ーーーーーーーーーーーーー






・・・!


・・・。


・・・て。




こ・・る!





遠くで声が聞こえる。少年とも少女ともつかない声だ。


何を言っているのか全く分からない。ノイズのようなものがまじって、上手く聞き取れない。


ああ、これは夢か


漠然と思った。





青緑色の着物の少女と紫色の着物の少女が見える。




「・・びと」



確かに彼らは男とも女ともつかない声で言った。


??びと、なんだそれ。



俺の意識は薄れていった。





・・・


・・・・・






朝目覚めると、ナスは俺の横で大の字になって寝ていた。


こうしてると普通の子犬みたいで可愛らしい。もふってるし。



俺が外に出ると、みなハンターの顔を見ようとヤジが集まっていた。



その中のチョイ悪系で170cmちょいちょっと筋肉質で黒髪ロン毛で肌の浅黒い目つきの悪い若者と目があった。


こいつが村の若者のリーダーだということは一目で分かった。DQNめ。


肌が浅黒いのは民族的なことなのだろう。全員黒い。ちょいワルロン毛はこっちにずんずん近づいてくる。



「おい、おめぇがハンターか?」



こwれwはw


絡まれ展開ですね。



俺の肌は勿論純粋な日本人だからこの中では白っぽい。


だから一瞬でよそ者だということが分かる。


ガタイはないし、弱そうに見えるのだろう。まあ腕力ないし。事実殴り会えばフルボッコは確定だろう。


『・・・っふ、この方をどなたと心得る!かの水「いいかげんにしろっ」ぷぎゃっ』


ナスをぶっ飛ばし、若者に向き直る。


「いかにも」


「本当にそんな力があるようには思えねぇな」



まあ、そうだろう。俺も自分がそんな力持ってるとは未だに思えない。魔法はそこそこ、使えるっぽいけど。俺tueeeeeはまだ実感としてないし。



「それで?」



と冷静になんの感情も出さずに言うとロン毛は拳を構えた、両手が炎に包まれる。


火属性だけに熱くなりやすいらしい。


『暑苦しいDQN』


とナスが呟く。



「ためさせてもらう!」



右の拳がとんでくる。なんか、燃えてるよ?右手。避けても攻撃されるのは目に見えている。



「アイスウォール」



動かずに力を見せ付けることが必要のようだ。氷の壁で防ぐ。まあ、あたふたしても、格好がつかないし。運動とかマジ苦手。


ロン毛は見知らぬ技に驚いているようだ。


水と風を使える人間は滅多にいない、だから氷は使えない。らしい。


氷がロン毛の拳にひっついてしまった。




「これが、私がハンターたる由縁だ」




うはww


ごめん、俺ハンターでも何でも無いww




「くっ」


ロン毛は左手で氷を砕いて後ろへ飛びのいた。

俺はロン毛の足元を氷柱で固定した。



ロン毛は身動きできなくなり慌てて溶かそうと奮闘していた。



「まだ、やるか?」



ロン毛は諦めたようだ。


俺はすぐに氷を消した。


「確かに・・・だが、お前にあいつを倒せない」


倒せない?


ありえないよ、俺に勝てる悪魔はいない。なにせ、魔王だよ?仮だけど。


「まあまあ、見てなさいって」


ロン毛は勢い込んで言う。


「だが、俺も協力させてもらう」


いや、迷惑。邪魔。正体知られたくないし。


「ローワン?本気なの?」


群集から一人の少女が現れた。結構な美少女だ。 ローワンが悲痛な顔で訴える。


「ティカ・・・だけど俺は!」


違ったロリだ、ロリ。


ちっちゃい小学生4年ぐらいだ・・・この会話から兄弟ではなさそうだ。



「大丈夫、ローワン。ハンターが守ってくれるわ」



読めた!

この幼女、間違いない生贄だ。


で、ロン毛がこの幼女に惚れてるわけだ。


何これ幼女だお


俺は思わずティカという幼女に聞いた。


「えっと、ちょっといいですか?何歳?」



「え、17ですけど」



年上・・・だと!?



『これは世に言う合法ロリ、ローワンのロはロリータのロ』


ナスは俺の肩の上で呟く。





気を取り直して、俺は群集のいない所まで出ることにした。


取り合えず、悪魔がどんなものか調べよう。




村から出て、ダンタリオンを呼び出す。


「あのさ、この村を脅している悪魔は何処だ?」


じじぃは黙って鏡を差し出した。

そこには近くの森が映し出されていた。


『うっは、ちょろいな~。こんな方法があるなんておいらって天才?マスターもマスターで何が良くて幼女なんて集めるんだろう・・・まあ俺は報酬もらえりゃいいけど』


と鏡の向こうで盛大な一人ごとが聞こえてきた。なにこれ。


「誰かの使い魔?」


じじぃは頷いた。


『そうじゃ、つまり使い魔を持てるのは人間のみ、人間がやっていることになるな』


「ふぅん、この悪魔、ドラゴンつれてるね」


鏡の向こうには小男がドラゴンに跨がっている姿が見えた。ドラゴンを連れ込まれてはこっちとしては困る。被害ゼロではすまないだろう。主に建物損壊とか。


とりあえず、ヤっとくか。悪魔には直接あって、聞きたいこともあるし。


フッと息を吐くように囁く。



遠隔魔陣真空魔法くびちょっきん



遠隔で指定した場所を真空にすることが出来る。


ドラゴンの首がズレた、厚さ1㎜の真空間を作ったのだ。


これは5つの属性でも光闇でもない・・・魔王の力だから出来る技ぽい。


いつ習得したかって、地道な努力です(笑)


『うえ?っぎゃあああああああ!!』


小男悪魔はドラゴンの首が落ちた意味が解らず、真っ逆さまに落ちていった。


『うはっ、悪役っぽい』とナス


「てゆーかww魔王って悪役じゃねww」


じじぃは俺の技をみて考え込んでいる様子だった。え、何、駄目だった?これ。


『マスターは・・・いや、何でも無い。ワシは姿を消すとしよう』




一仕事終えた所で俺は宿に戻った。

作戦などいらない。




「よっしゃ、今夜だな」



夜、宿から出ると数人の村人が俺を待っていた。


「ハンター殿、今夜渡すはずの娘です」


ティカが不安そうに俺を見上げていた。やっぱり17才にはみえんわ。


「承知しております。条件があります、この娘以外・・・村の者を誰ひとりとして村の外に出さないで下さい」


ローワンというロン毛のロリコン男は足手まといだ。


それに俺は正体を隠しときたい。まあ、バレても魔王だなんて誰も思わないだろう。


村人たちは納得したようで、ローワンは行くと言って聞かなかったが、眠り薬で眠らされたらしい。




村を出ると、真っ暗だ。

街灯も何も無いんだから、当然か。考えてみれば、こんな夜に森のなかを歩くのは何年ぶりだろう。子供の頃、蛍を見に行って以来だろうか。

ぼんやりとノスタルジーにふけった。


俺は幼女の後ろを歩く。


明かりも何もなく、目の悪い俺は困ったと思ったが、目が馴れると、思いの他、月明かりで殆ど見えていた。満月だしな。


やはり元の世界と違って月のサイズが違う、何十倍も差があるだろう。


こんな大きな月ならば重力とかで落ちてくるんじゃないかとぼんやり考えた。


物理法則もどこかおかしいのかもしれない。


それでも木々の間は底知れぬ闇がこちらの様子を伺っていた。


悪魔所か様々なもののけどもが出てくるような気もした。ま、ここはモンスターがうじゃうじゃいる、異世界なんだけども。




「あの、本当に大丈夫なのでしょうか」


ふと、不安げに呟くティカ。そうだろうな。こんな怪しげな男を信用出来ないだろう。俺だったら、一人で逃げてる。


だが、いまは一応魔法も使えるし、なんとかなるだろう。


「ああ、何の心配もしないでくれ」


こういう時ってどう慰めれば良いのやら、勿論主人公じゃない俺の台詞にはバリエーションは無い。だけどロリ一人ぐらい守れる。



しばらく森の中を歩くと、朝確認した悪魔が仰々しく立っていた。


ドラゴンの鱗が見えないことに安心する。


『あるぇ?いけにえ一人で来るように言ってあったんだけど』


不思議そうな悪魔さん、それがだんだんと口は耳元まで裂け、白っぽい歯が暗闇に浮き出て見えた。


くすんだ緑色の肌が月影に賎しく現れ、二つの大きな瞳はスプーンのような銀色にテラテラ輝いていた。


身長は140cmほど、頭は平たく、そこには毛髪が斑に生えていた。


ボロボロの布を身に纏い、手足の指は異常に長かった。節々は異様に太く、肌は皺だらけだ。


どう見ても低級悪魔です、ありがとうございます。


悪魔は俺の姿を確認して静かにため息をついた。


『あめぇさぁ、大人しく言うこと聞いてれば、村は無事だったのに・・・どうしてさぁ』


まずはこの悪魔がどこの支配下にあるのかが問題だ。


静かに用意していた魔法陣を発動させる。キィンと、金属を弾く音がした。




クロノスフィールド




時を魔法陣内以外、止める。


今は俺と悪魔以外止まっているということになる。


ここでの話を人間に聞かれる訳にはいかない。隠密行動、これ大事。


ティカが停止しているのを確認してから、低級悪魔に向き直る。


「名を名乗れ、お前の階級もな」


『ああん?ずいぶん偉そうな人間だな。おいらは、魔界の大公爵様だ。

50もの軍団を従えているのさぁ・・・名前は名乗れないな。そもそも人間に答える義理はねぇ』


ドヤ顔の悪魔は名前を名乗らない。

名前を名乗るということは支配を許してしまうということだからだ。


「ほう、じゃあ魔王が代替わりしたことも知っているな?大公爵ほどの地位ならば、魔王に直属であるはずだが」


とカマかければ、悪魔が狼狽える。なにこいつチョロい。


『え・・・も、もちろん。』


人間に使い魔として使役されているということはしばらく魔界には帰ってないだろう。それに爵位を持った悪魔は全て俺に権力が移ったことも当然知っているだろう。ていうか、人間が魔王って反対なかったのかな?魔王の言うことって絶対なの?


「その魔王の名は?知っているはずだ」


『・・・な、なんで、人間がそんなことしってんだよ。』


「で、魔王の名前は?」


『・・・』


黙ってしまう。なんか、スゲーこいつ単純ぽいな。スゲー雑魚だろ。ほんとは。


「言え、お前は誰の配下だ?」


嘘が通じないと悟った悪魔は怖ず怖ずと答えた。


悪魔の名前は口に出してはいけないから、小悪魔が上位の悪魔の正式名を口にするのはとても勇気のいることなのだ。


だから「あの方」とか「皆が知っているあの方」といった言い回しをする。




『あ、あの方・・・マリウス様』


「ふぅん、だってダンタリオン・・・とアウナス」



俺が名前を呼ぶと、ダンタリオンと人型ナスが両脇に表れた。


『ふぉっふぉっふぉっふぉ、アンドロマリウスとはまた・・・運が悪かったな小僧』


とダンタリオンは嘲笑する。

アウナスは珍しく無言だ。


『ダンタリオン様?・・・アウナス様も!?』


悪魔は何がおこっているのか解らないようだ。


そして自身の主人であるアンドロマリウスよりも上位の悪魔が二人も目の前にいるのだ。


ブルブルと悪魔らしくもなく全身で震えている。



『そんな・・・どうして』



ああ、面白い。



「ああだって俺が・・・新しい魔王だから」



ニッコリ笑うと、悪魔がワナワナと体を震わせながら指を突き立てた。



『嘘だ・・・に、人間が魔王なわけがない』


「え?アンドロマリウス呼んじゃった」


『小僧、諦めたほうがよいな。アンドロマリウスは不正と悪を許さぬことで有名じゃ』


何処か遠くを見つめるダンタリオン。


一応城内のものは人間と契約することを禁じられている。


つまり魔王直属の悪魔の部下は許可なしに人間界に来るのもご法度だ。



ぎゃーっ、と泣き叫ぶ悪魔。



『Ha~Hahahahaha!この世に蔓延る悪は根絶!正義の悪魔アンドロマリウスとは私のことだ!ハッ!』



一回転して木の上から飛び降りてきたのは、なんか脳みそまで筋肉のような逆三角のナイスガイ。

気持ち悪いぐらいムキムキである。

体育教師よりでかい声が暑苦しい。


ピチピチのアメコミのスーパーマンが着てそうなスーツにネクタイをしている。


やば、魔界に送り返したい。



『悪と不正は許さん!我が名にかけて!hooooooo!』



そしてとても煩い。早く帰ってほしい。


「どうしよっか」


低級悪魔は地面にスライディングすると土下座をしながら頭を地面にたたき付け始めた。


『どうか、どうかお許しを!』



何これ・・・怖い



「うんうん、無理・・・だってお前人間と契約してんだもん。放っておいたらまたやるでしょう?」


『絶対しません盟約します』


「悪魔って嘘つきだからね」


『魔王には嘘は言いません』


「この村にはもう近づかないね?」


『誓って』


「で、この村のロリを集めて何をしていた?」


『は、はい。実はおいら・・・私もそれはよく分かりませんで、何やら魔法の実験につかうとかなんとか』


実験ねぇ。この悪魔を見る限り、頭が大変弱いようだし。これ以上の情報も聞けなさそうだ。さっさと、処分しよう。


「はい、よろしい。マリウス君連れていっちゃって下さい」


『御意』


アンドロマリウスは悪魔を抱え上げると魔界へ消えていった。


『さらばっ、

Ah~Hahahahahahahahahahaha・・・』


『嘘つきぃ~っ、悪魔ああぁぁぁぁ!』


という悪魔の泣き声が聞こえてきたけど徹底無視だ。


それに感謝して欲しいくらいだ、これだけで済んだのだから。恩赦だよな。魔界の法律しらんけどさ。


『殺さなくていいのか?』


ナスはちょっと驚いているようだった。


「ああ、殺してもいいけど。意味はないだろう、それは。」


恐怖政治には必要かもしれんが、いらん反感も買いたくはないし。


『まあな』




クロノスフィールドを解除して、ティカの元に駆け寄る。


「もう、大丈夫ですよ」


ティカは何が起こったのか全く分からないらしい。消えた悪魔を探してキョロキョロしていた。



「あの、悪魔は?」


「倒しました(権力で)」


「え、ええ?」


「とにかく、これであの悪魔はこの村には近付かないでしょう。絶対に」



しばらくは魔界で大人しくしているだろう。もちろんそれだけで終わるとは思えないが。なんか黒幕いそうだし。


悪魔召喚自体は禁止されてるかどうか知らないけど、ヤバゲな臭いはするよね。


「えっと、とりあえずありがとうございました」


納得いかないようだったが、ティカはペコリと頭を下げる。


「じゃあ、村に帰りなさい。この犬が村までの安全を保障します」


「え、ハンターさんは戻られないのですか?」


「ああ」


悪魔を倒した→悪魔より恐ろしい→どんな要求をされるのか?→殺せ!

リンチ確定。て、展開もありえるし。


とりあえず、街に向かおう。そうしよう。


俺はティカにナスを投げつけると、村とは逆に歩きだした。




「ハンターさん、最後にお名前を教えて下さい」


後ろでティカが叫ぶ。俺は振り返らずに手をヒラヒラと振った。


「名乗るほどの名はありません」


本当に。






だってさ、思い出せないんだ。







・・・俺の名前








後ろの方でナスが何か言ってたが無視だ。



とにかくティカの姿が見えなくなった所で俺はセーレを呼び出した。



『何処に行きますか?』


「王都に」



そろそろ魔法にも慣れたし、色々勉強もしておきたい。地理とか、社会情勢とか、あと、常識とか。



「途中、寄ってほしい所があるからよろしく」


『はい、了解です』



セーレがいれば移動は楽々だ。便利だな移転魔法。早く覚えよう。


そういえば、魔王のいない間、魔界は無茶苦茶になってるんじゃないかって?


大丈夫、実質魔王に次ぐ権力を持った悪魔「バアル」が魔界を切り盛りしている。


それに悪魔ばかりの世界で人間的な規律は無い、勿論全く無い訳ではない。法を破れば罰せられる。


魔王の命令は絶対と、自分より上の階級である悪魔には絶対服従というぐらいだ。


そもそも、魔王って皇帝の配下だし。その皇帝は今絶賛引きこもり中らしい。


仕事しろよな。


魔王は皇帝が投げ出した仕事を全部引き受けていたが、ついに、疲れきってしまったという。


不敏。


セーレのペガサスに乗ってしばらく行くと、主人公こと城山悠斗が下方に見えた。見えた、というか、焚き火が視界に入ったから近づいただけなんだけど。



「あ、イケメソ主人公発見」



化け物みたいなババァの姿が見えないようだ、逃げきれたのだろうか?


セーレに言って、俺を城山悠斗の近くに下ろしてもらった。






「ども」


と声をかける。


「あれ?・・・どっかで会ったことあるか?・・・いやゴメンそんな筈は無いな」


「おお、マジで?俺の顔知ってるの。俺はあんたを知ってるよ、城山悠斗でしょ」



まず俺の顔を知ってたのが驚きだ。


城山悠斗は俺が知っていたことに驚いていたが。



「ああ、あんたも神様に転生させられたのか?」


「まさか」



神様にあうなんて真っ平ゴメン。俺はキリスト教徒じゃないからね。


でも魔王に呼ばれたなんて言えるわけがない。

一応だけどトップシークレットな上に、ミステリアスな俺超イケてるwwバロスww


「気づいたらここにいた」


てことにしとこう。


「そっか、でもホッとした。向こうの知っている人がいたし」


イケメンが微笑むな気色の悪い。ぞわってしたわ。なんか花とかとんでそう。


「ふうん、でも俺達お互いあんまり知らないけど」


「俺の名前は城山悠斗」


「知ってる」


「よろしく」


と手を差し出してきた。


「だが断る」


「え?」



俺は別に一人で困っていない。


だから主人公と組む気もない。1オングストロームだってない。


木陰からコソコソ観察するのが趣味なんだ。


俺の態度を見て主人公は呆れたように笑っていた。




「名前ぐらい聞かせてくれ、どうも知り合いと感じが似てて・・・」


「名前か・・・メフィスト次郎って呼んでくれ」



やっぱり思い出せなかった。


変わりに日課のチャットのハンドルネームを答えてしまった。


主にゲームの話しかしていないが。覚えてる名前がハンドルネームだけだ。父も母も親い人間の名前全部思い出せない。ふっしぎー。




「え?」




城山悠斗は固まった。なんだ、どうした。



「どした」


「俺、ユーマだよ」


「ユーマって、え?」



確か絡んでる連中に「ユーマ」てやつはいたが・・・



「マジで?」



まさかの城山悠斗は俺の知り合いだった。世間ってもんは狭いもんだね。


そしてさっきから気になってたことを聞きたい。



「どうして、お前は制服のままなんだ?」


「逆にジローが制服じゃないのがおかしい」




確かに俺達二人は学校の帰りに死んだ。

だから俺が制服じゃないことの方が異様かもしれない。でもジーパン丈夫だし助かる。




「・・・謎が多すぎる」


「とにかく、これからどうすればいいと思う?」


城山悠斗は困っているようだ。


確かに一人で知らない場所にぶっこまれたんだ、同情するよ、順応性の無さという点で。



「街まで歩けばよくね、お前一人で」


「ひどっ、」



そんなこんなで並んで話してると、悲鳴が聞こえてきた。え、鳥の声じゃないよね。


今度こそ本当の美少女だと信じたい。




「何だ!?」


さっすが主人公、すぐに反応を見せた。正義感強くていいよね!


「あっちじゃなーい?」


とゆるく悲鳴のした方向を示す。真っ暗なんでよくわかんないけどね。


「助けに行かなきゃ!」


「だが断る」




城山は白い目で俺を見た。


なんで、俺が、といいつつ城山の後に渋々ついていく。


だって、フラグとか主人公の仕事だもん。俺じゃないもん。




本当にお姫様だった。


顔もちゃんと美少女だ。城山もほっとしていた。


しかし、状況を見て焦る。悪魔が美少女を抱えあげて連れ去ろうとしていた。


今度の悪魔は少し大きい。2メートルくらいだ。


だがさっきのほら吹き悪魔と同じような顔付きをしていることから、超下っ端だということが分かる。


悪魔は上位であればあるほど美しい姿をしているらしい。それはそれでムカつくな。


やっふ、美少女万歳なんて言った奴は帰っていいです。


ダンタリオンに出してもらった悪魔の事典には女悪魔は殆どいませんでした!


クソが!


早速、城山が飛び出す。


「バケモノ!彼女を離せ!」


おーおー、主人公っぽいぞ城山。でもなんも考えずに飛び出すのは感心しないな。相手の力量見なきゃ勝てる戦も勝てんもんよ。


『びひゃひゃひゃひゃ!人間ゴトキが俺様に何が出来るってんだ』


ああやだ、こんな悪魔がいるから魔界はいつまでたっても・・・それどころじゃない。


悪魔は女を抱えたまま、主人公に近付く。



「くっそ、攻撃出来ない」



お姫様に攻撃が当たるのが気になるらしい。それにしても数日でよくも成長したものだ、いいしごとしてます、主人公補整さん。


覚えたての魔法を駆使して、悪魔に対抗している。


さすがに苦しかったのだろう。

主人公が俺に助けを求めた。


「悪いけど、俺、戦えないからね」


そう、戦えないけど・・・



ゴオオオオオオオオ




突然超高速で竜巻が通過していった。

巻き込まれた悪魔は竜巻に何処かに飛ばされてしまったようだ。


お姫様を無事キャッチした主人公、そして見つめ合う二人。


俺はこっそりセーレに頼んで主人公とお姫様を王都へ転送してもらった。



で、俺が結局何もしなかったのかというと、そうではない。


時間止める→悪魔を説得(脅迫)→お姫様を主人公の近くに→竜巻を作る→時間を動かす。


先に王都に行って貰わないと色々困る。

俺はこれから1upの旅に出るんだ!邪魔されたくねぇ。あいつらいると、無駄なフラグ立てまくりよ。これが噂のフラグ乱立主人公。


というのは冗談で、もうしばらく森で暮らそうと思う。むしろ森で暮らしたい。

それにまだドラゴンをちゃんと倒していない。


『ぷぷ、メフィスト次郎ってダサっwwメ次郎・・・今日からお前はシメジロウだ!』


突然、後ろで声がして振り返ると、後ろ足で立ち上がった子犬がいた。


「ああ、ナスか。ナスぼっちか、おいてけぼりか、ナスぼっち可哀相」


『ああん?ハンバーガーにしてやろうか?』


「うんこナス」


『ぐぱっ』


ナスも帰ってきたことだし、今夜はP○Pでモ○ハンしてから寝るとしよう。ああー、疲れた。


主人公がどうなったかは、明日のお楽しみだ。


やはり、地べたで寝るのはやめたほうがいいと思う。


虫は多いし、いつ野性動物に襲われるかもしれないという緊張感から思うように眠れなかった。


あと首が左に曲げると痛い。寝違った。



『おっはー』



ナスかと思ったら、ダンタリオンだった。


じじぃの朝は早い。




「主人公はどうなりましたかwktk」


これが、楽しみよ。だって強制的に王都に送還したし。ユートはどんな扱いを受けてるんだろうね。やっぱ勇者?メシア様?


ナスが放心したようにつぶやく。


『それはもう・・・見るも無残な・・・』


「無残な?」



『・・・王道展開』



でしょうね。

それは分かってます。てか、それが聞きたいんです。


「私はそんなことを聞いているのではない・・・・・・だがな、その王道展開とやらを一部始終語ってはくれないか」



『分かった・・・それは昨夜のこと、俺が村に置き去りにされた日のことだった・・・・・・明るく、どこか狼の遠吠えのするそんな怪しい月夜だった。

しばらくゆくと村の姿が確認できた。時刻はもう子の刻、もう起きているものもいないであろう・・・・・・どの家家にも明かりは既に消えていた。

するとどうだろう、どこからともなくしくしくしく、しくしくしく、誰かが啜り泣く声がするではないか。怪しく思った七之佐はその声のする方向へ向かうことにした。

いくら歩いてもその啜り泣く声は一向に近付かない。

これはどうしたことだ、七之佐はさらにあやしいと思い、啜り泣く声に意識を集中させた。


しくしくしく、ヒタヒタヒタ、


啜り泣く声と七之佐の足音だけが静寂の中にこだました。


しくしくしく、ヒタヒタヒタ、ペタペタぺタ、


不思議なことに七之佐の足音以外にも何か聞こえる。


しくしくしく、ヒタヒタヒタ、ペタペタぺタ、


いといとそのもう一つの足音は明瞭とし て、七之佐の顔は真っ青に青ざめ、冷たい汗が額を流れた。


しくしくしく、ヒタヒタヒタ、ペタペタぺタ、


もう自分ののすぐ後ろに何かが迫っていることがわかった、ゆっくりと振り返るとそこには何にもいない。

安心して帰路につこうとした七之佐の正面で




『お前の後ろだ!』・・・』




俺は無言でナスを蹴り上げた。



「誰が怪談をしろと言った、俺は城山悠斗の動向を話せと言ったな?ああん?」



ナスが言うには二度目のお姫様は本当のお姫様で、無事に王都に入れたらしい。

もちろんお姫様は主人公に惚れたのだとか。


因みに、前回のババアは第三王女といっていたが今回のお姫様のお祖父さんの妹にあたる行き遅れババァだったらしい。


まさかの血縁関係・・・とにかく、主人公城山悠斗はメシアとして城に迎えられたらしい。


そしてセヴァスティカの有名な魔法学校へ行くことになったのだとか。




学園物キター!!




昔は「術」と呼ばれる魔法のような力があった。使えるのもごく一部の術士と呼ばれる人間だけで、魔法という概念は無かったのだとか。

その優秀な術士達を多く世に出してきた術士学校が魔法学校の元となっている。


ナスが言うには、リヒテンシュタインという有名な科学者や、歴代のセヴァスティカの王、更にはお隣りの国の伝説の王まで、様々な有名人がいたらしい。


ま、俺は異世界人なんでどれだけスゲー人が出てる学校であっても、なんとも思えないんだが。ナスもそれは同じらしく、淡々と事務的に説明してくれた。


あれ?

魔王は『我々の魔力は太古に封印された』っていってたからてっきり昔から魔法があると思っていたのに、それではおかしい気がする。術って魔法のことなんだろうか。


俺にはどうだっていいことだけど。


それよりも、主人公が主人公らしくハーレム形成が始まる予感。


俺が王都に行く頃には完成形をお目にかかれるだろう。


天気もいいことだし、ドラゴンでも探しにいくか。


俺は、悪魔たちを引き連れたまま、森の散策をはじめた。

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