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反対の反対の反対は反対

作者: 妄想少年

 カンカンカンと遮断機が降りる。

 ちらちらと白いものが目の前に舞っている。

 足は根が生えたように一歩も動かない。

 息は白くなり僕の頬を掠めていく。

 カンカンカンと遮断機が鳴り響いている。

 夜と夕焼けの間の群青色の世界。

 一番星が光って消えた。

 誰かが必死で叫んでる。

 カンカンカンと耳鳴りがする。

 足の根は地球の中心に向かって伸び続ける。

 彼女が僕を見る。皮肉な面を表現しながら。

 車椅子がふいに倒れた。

 カンカンカンと列車が来る。

 夕焼けと群青色の闇。

 誰かの悲鳴。

 足の根は地球の中心に行き着いた。

 彼女が飛んだ。ぐるりと回りながら宙を飛んだ。

 ――鳥には慣れなかった。



『反対の反対の反対は反対』



 僕が幽霊を見たというと彼女はUFOを見たと言った。

 僕がノートを忘れたというと彼女は教科書を忘れたと言った。

 僕が群青色が好きだというと彼女は赤色が好きだと言った。

 僕の右手が切り落とされた時に彼女は自分の左手を切り落とした。

「どうして反対な事をするの?」と僕は彼女に聞く。

「どうしてかしら?」と彼女は首を傾げた。

「どうして自分の腕を切ったの?」と聞き返す。

「どうしてかしら?」と彼女は首を傾げた。

「どうして僕と一緒に居るの?」と聞いてみる。

「どうしてかしら?」と彼女は首を傾げた。

「わからないの?」

「わからないわ」

 わからないのならば仕方ない。

 そうして僕らは片方の手を繋いで夕焼け空の下を帰っていった。

 ある日、僕の足に根が生えた。

 その事を彼女に言うと、次の日彼女は自分の両脚を切り落とした。

「どうして根が生えただけなのに足を切り落としたの?」と聞いてみた。

「だって足が無ければ根は生えないもの」と彼女は至極当然に答えた。

「やっぱりどうして反対の事をするの?」と尋ねる。

「わからないわ」と彼女はやはり首を傾げた。

 仕方ないので根が地球の中心に行く前に彼女の車椅子を押して家に帰った。

 ある日彼女の家に爆弾が届いた。

 僕の家には死体が来た。

 持って来たのは彼女で、親の死体だった。

「脳みそを食べてみない?」と彼女は言った。

「どうして?」と聞き返す。

「食べてみれば美味しかったりするじゃない」と彼女。

「それは錯覚だよ」と僕。

「なら、私は脳を食べるからあなたは頭皮を食べなさい」と彼女が命じる。

「……わかった。頑張る」と僕が頷く。

 台所にあった包丁を持ってきて一気に叩きつけると、頭蓋骨は意外に堅く割れなかった。

 それでも何とか切り刻み、二人で彼女の元親を咀嚼した。

 ――苦かった。

 ある日学校で彼女は輪姦された。

 その日の夜に僕は彼女の前で自慰させられた。

 僕らはずっと一緒に居た。

 いや、ずっとじゃなくて多分一生居るものだと思っていた。

 しかし、ある日足の根が地中深くまで潜り、動けなくなった。

 彼女は動けない僕の代わりに、ウロウロと車椅子を漕ぎ続けた。

「どうして反対の事をするの?」僕は彼女に質問する。

「どうしてかしら?」彼女は首を傾げた。

「どうして付きまとうの?」僕は彼女に投げかける。

「どうしてかしら?」彼女は首を傾げた。

「一つ質問していいかしら?」彼女が珍しく問いかける。

「何?」僕が答える。

「あなたは今から木になるの?」そんな発言をしてくる。

「さぁ。なるんじゃないかな?」生真面目に答えた。

「なら私は鳥になる」

「そう」

「私は鳥になりたいの」

「そう」

「あなたは止めてはくれないのね」

「僕は木になるらしいからね」

「そう。やっぱりあなたは木になるのね」

 彼女はそう言って線路の前に立ちふさがった。

 雪がちらちらと降ってくる。

「止めないの?」

「止めないよ」

「なら逃げるわよ」

「逃げないよ」

「逃げたいわ」

「逃げたく無いんだろ?」

「死にたいわ」

「死にたくは無いんだろ?」

「殺してくれないの?」

「殺して欲しくは無いんだろ?」

 カンカンカンと遮断機が降りる。

 ちらちらと白いものが目の前に舞っている。

 足は根が生えたように一歩も動かない。

 息は白くなり僕の頬を掠めていく。

 カンカンカンと遮断機が鳴り響いている。

 夜と夕焼けの間の群青色の世界。

 一番星が光って消えた。

 誰かが必死で叫んでる。

 カンカンカンと耳鳴りがする。

 足の根は地球の中心に向かって伸び続ける。

 彼女が僕を見る。皮肉な面を表現しながら。

 車椅子がふいに倒れた。

 カンカンカンと列車が来る。

 夕焼けと群青色の闇。

 誰かの悲鳴。

 足の根は地球の中心に行き着いた。

 彼女が飛んだ。ぐるりと回りながら宙を飛んだ。

 ――鳥には慣れなかった。



「一つ聞いていいかしら?」血まみれで彼女は首だけで質問する。

「何かな?」僕の根は中心まで行ってしまった。

「あなたは私を愛していたかしら?」彼女は詰め寄る。

「好きだよ」僕は笑う。

「そう」彼女も笑う。

「じゃあ最後にキスして」彼女は願う。

「いいとも」僕は応じる。

 彼女の唇と唇を合わす。

 舌と舌を絡め会う。

 そのまま舌を引っこ抜かれた。



「嘘つき」彼女はそう言った。



―完―


こういう世界観デタラメな作品が大好きな作者です。

勿論、意味とかテーマとかありますがどちらかと言えば読者より作者の方が楽しむ作品です。

推敲すらしてません。

ただ、毎度ジャンルで困ります。

はい書くネタありません。

たまにはあとがきという物を書いてみたかっただけです。以上!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 確かに後書きでも触れていたようにデタラメな世界観ですが、中々読み応えがある作品です。最後の「嘘つき」と彼女が言う場面はいろいろと考えさせられました。あと、いくつか入力ミスらしきものも見受けら…
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