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説明回。


現状を再確認だ。

僕達は奴隷商人の老婆に捕まり、今は個室で鎖で繋がれ監禁されている。

ここが何処なのかは詳しくは分からないが、おそらく婆の言っていた村なのだろう。


その最中に僕がこの桃花という少女の中に入っている事についても分かったことがある。

感覚をある程度共有している事だ。

少なくとも視覚は共有していて、桃花が目を瞑ると何も見えなくなるし、桃花が見ていない所は見えない様である。

そして、


(暗い檻の中、することもないので改めて自己紹介をしよう。

 僕の名前は天野才人。名前に入っている通りの天才だ。敬意を込めて才人様と呼ぶがいい。)

「(わ、わたしは西桜野小学校3年生、桜井桃花です。趣味は料理です。)」


なんと、桃花の方からも念話が出来るようである。

ただ、桃花が考えている事は僕に伝わってこないのに対し、僕の方は普段考えている事まで桃花には聞こえる様だ。実に不公平。


「(えーっと、そのう、天野さん……。)」

(どうした?)

「(ご、ごめんなさいっ!あの時天野さんは気を付けろって言ってくれたのに……。)」


ふん、謝った所で何になるというのだ。それに……


(あの場でパンを食べなかったら、逆に怪しいだろう。おそらく無理やりにでも連れてこられたはずだ。謝る必要はない。むしろこれは僥倖と言えなくもないぞ。)

「(ぎょうこう……?ってラッキーってことですか?)」

(小学3年にしてはよく知っているではないか。いいか?耳を澄ましてみろ……。)

「(……………………?何も聞こえませんよ?)」


フ、バカめ。

「(ば、馬鹿じゃないですっ!)」


(よく考えてみろ。何も聞こえないという事は、外に誰もいないという事だ!

 よほどこの鎖に自信を持っているらしいな。)

「(そ、そういえばそうですね。小説だと見張りが居たりするのに……。

でも、どうやって鎖を外すんですか?)」

(そこは、ほら、異世界転生してきたんだし、なんかすごい能力とかで。)

「(能力なんてないですってば!)」

(やれば分かる!鎖を思いっきり引っ張るんだ!)


桃花はしぶしぶといった態度で鎖に手をかけ、力を入れて引っ張る!

「(んぅーー!ふぅーっ!)」


鎖はじゃらじゃら音を立てるだけで、びくともしない。

くそっ、魔法も使えない上に筋力も低いままとは……。

何かここから脱出する打開策を――――――!!


バン!という大きな音と共に、閉ざされていた扉が開く。

(まさか助けかっ!?)

「(本当ですか!?)」


桃花が鎖から手を話し、扉の方を見ると……、


「飯だ。」

「(…………。)」

(…………)


ガラの悪い、マッチョな女。

どうやら助けではなく、奴隷商人の婆の部下らしい。


「鎖を外して逃げようとしていたのか。」


鎖を掴んだままの姿から察したのだろう。

いったい何をされるのかと桃花が震えだすが、

「フン、別に罰なんて与えやしないよ。

 どうせ逃げられやしない。」


さらに女は語る。


「アタシ達は、幅広い種類の奴隷を扱っていてね。

 中には魔術を使うような厄介なガキもいる。

 そいつらに逃げられない為に、鎖や牢は金を賭けてミスリル製の物を使用しているのさ。

 ミスリルは魔力を弾く上に、そこらの弱い剣やナイフじゃ傷つかない程の強度を誇る。」


(…………。)


「逃げる事を考えるより、いい御主人様に拾われることを祈っておくんだね。」

女はそう言い残して扉を閉めて出て行ってしまった。


(…………。)

「(ど、どうしましょう。天野さん。)」


(……聞いたか、今の。)

「(へ、何をですか……?)」

(あの女は魔術を使うようなガキもいると言った!

つまりこの世界には魔術や魔力の類が存在するという事だっ!)

「(そ、そこですか!?

うーっ、もういいです!)」

桃花はその辺に置かれたご飯を食べて寝てしまったが、

僕はハイテンションだった。


 (うおおおっ!ビバ異世界!魔法が見れるっ!

  やったーーーーーーーーーーーーー!!!)


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