No.1 一日目:プロローグ
初めまして、わごむです。この作品が初投稿です。
拙い部分とか多々あったりすると思いますが、これからどうぞよろしくお願いいたします。
雲一つ無い晴天、今日は淋しいほどに空が澄みわたっている。
いたるところで、様々な媒体から聞こえるけたたましいサイレンをものともしないほどに。
『一週間で世界が滅亡します!これは嘘などではありません!世界はもう無くなるのです!……』
町中のスピーカーから流されている。
さきほどからこれの繰り返しである。
サイレンにたたき起こされた彼、五十嵐礼司はベッドから窓の外を見上げていた。
(…はぁ、ばかばかしい。エイプリルフールとはいえこれはやりすぎじゃないか?)
こんな起床の仕方が癪に障り、少しぶっきらぼうにベッドから降りる。
いや、誰でもこんな寝起きはいやなものだろうが。
「礼司、礼司!起きてる?このサイレン聞こえてるわよね!?」
ドアの向こうからサイレンに負けず劣らずに騒々しい声が聞こえる。
「うるさいな母さん。今日はエイプリルフールだよ、こんなの嘘に決まってるじゃないか」
「え、あ、あぁ。そう、そうよね。まさか、せ、世界が滅亡するはず無いものね。おほほ…」
礼司の母はもう心底滅入っているようで、今にも消え入りそうな声音である。
「あ、じゃあとりあえず起きなさい…。朝ご飯、下にあるわよ…」
「はいはい、わかったよ」
(せっかくの春休みだってのに今日も春期講習か。めんどくせえなぁ)
端とそんなことを考えながら、制服に着替える礼司であった。
■ ■ ■
五十嵐礼司は学校──彼の通っている地元の高校──の机で突っ伏していた。授業に入ったあと即座に寝るための準備である。
彼がふと周りを見回すと、あと数分としないうちに始業してしまうというのに、この教室にはいつもの半数ほどの人数しかいない。
「ねえ、礼くん!今朝のサイレン聞こえた?すごかったよね~!」
唐突に声をかけてきたのは礼司と同じクラスの坂原結奈である。それどころか、家が近くにあるため、小学校も中学校も同じところを通っていた。礼司とはいわゆる幼なじみ、というか腐れ縁のような関係の女の子である。
「聞こえない訳ないだろ。あれだけ大げさに騒いだんだから」
「だよねぇ!」
彼女が興奮気味に机をバンと叩くので、肩にかかるほどの髪と豊満な胸が大きく揺れる。
礼司は目のやり場に困り、壁の方へ視線をそらす。
「そんなことよりもう先生来るぞ」
「え~まだ大丈夫だよぉ」
がらがら。たくさんの教材用プリントらしきものを持った担任がタラタラと入ってくる。
「じゃあ今日も講習を始める。全員席に着け」
「ほれ見ろ」
「あーほんとだ」
この講習中は自由席であるため、てってっと結奈は礼司の隣席に座る。
「今日はどうやら先の放送のせいで出席率が低い。休むのは個人の自由だがお前らもあと4日で高2、そろそろ高校生としての自覚を持てよ。じゃあ今日の授業は複素数だな……」
礼司は学校で教わる勉強というものがすこぶる得意である。これについては全くと言っていいほど疎い面がない。成績は常にどこの誰よりもいい。
だが、いやむしろだからこそと言うべきか、学校で寝ない日はない。授業など受けずともなぜか理解してしまうのだ。それで成績を保っているのだから周りから見れば何とも憎らしいものである。
この日も例に漏れず、授業中はずっと寝ていたらしい。
「礼君~、起きてってばぁ」
「んぁ、やっと授業終わったのか。じゃあもう帰るか」
「もうまた寝ちゃって。今起きたって事は先生がHRで言ってたことも全然聞いてないでしょ」
「なんかあったのか?悪い、下校中にでも教えてくれ」
「全くしょうがないんだから」
グダグダと愚痴をこぼしながら荷物を持ち上げた結奈。脈絡もなく。
「あ……お花摘んできていい?」
「早く行ってこいよ!正門で待ってるからな」
少し顔を赤らめる礼司。
「ありがと~」
言い終わるより早くパタパタと教室を出ていく結奈。
(なんであいつじゃなくて俺が恥ずかしがらなきゃいけないんだよ)
礼司は眠気が抜けきらないまま校門で突っ立っていた。
普段は結奈だけでなくほかの人間とも一緒に帰っている礼司だが、今日はその、ほかの人間は学校を休んでいた。
喋り相手もおらず暇で暇でやることがないらしい。
ひらひらと舞い落ちる桜の花びらを見上げていると、彼の目が空中に浮いている何かをとらえた。その何かがどうにも人型、それもあぐらをかいて座っているように見えたようで、慌てて目を凝らしてみたものの、もうすでにそれは見えなくなっていた。
代わりに礼司の腕では、季節はずれの蚊が血をチューチュー吸っている。
「おいおい、蚊を人と見間違えたぜ…俺もそろそろ末期か?」
「お待たせ~。1人で喋ってどうしたの、礼君?」
結奈が校門からぱたぱたと礼司に近づいてくる。
「いや、なんでもねぇ……帰るぞ。それよりHRがどうしたって?」
我先にと帰り道を歩き出す礼司に、小走りで追いついて、結奈。
「そうそうそれがね、今朝のあれのおかげで明日から学校始まるまでの講習休みだって!」
おかげって……まあいいが、と礼司。
「学校も大げさだな。あんなん嘘に決まってんだろ」
「嘘でも何でもいいよ!だからさ、明日遊びに行こう?」
上目遣いで話しかけてくる結奈。
結奈に礼司がときめくのは今に始まった事じゃない。
しかし、彼はこういうことに関してはヘタレだ。2人きりでどこかへ遊びに行くのには少し抵抗があるようで。
「あ、あぁ、別にいいが。じゃあいつもの4人組で行こうぜ」
「……え、2人で行きたいなーって思ってたんだけど……」
「そんなこと言ってると新学期にあいつらが拗ねるぞ」
「う、うん。それもそうだね。大勢でいった方が楽しいしね」
そんな雑談をしている間に結奈の家に着いてしまった。
「じゃあ明日の予定みんなにメールしといてくれ。暇だったら行くから」
「そんなこと言って。やることなんてないくせに」
「あぁ、そうだな。じゃあまた明日」
「うん、また明日ね」
そう言って帰る礼司の背中を結奈は見送りきれずに、逃げるように、自分の家に入る。スタスタと早足で自分の部屋へと戻っていき、ふと泣き出す。
「礼君どうしよう……あたし、あたしっ!」
……ふふ、さっきトイレで揺さぶったのがきいたのかな?
──あぁ、これが愉しいって感情か。もっともっとボクのことを楽しませてよ?
この間友人と外を歩いていて、公園でお昼を食べようという話になったんです。
私は弁当を持っていたからよかったんですが、その友人は食べるものを持っていなかったのでスーパーマーケットに行ったんですね。で、カップ麺を買うってことになって。
彼が買う前に私はちゃんと忠告したんです。
「ここ、スーパーマーケットだよ?」
と。
彼は私のそのありがたい忠告を「だいじょぶだよ~」の一言でさらっと流して買いに行っちゃったんですけど。
レジ奥で待っていて、彼が私のところまできたときの第一声が、
「お湯もらえなかった……」
でした。
……だから最初に忠告したじゃん、ここスーパーだよって!
まあ結局近くのコンビニ行ってお湯をもらったんですけどね。
みなさんカップ麺をすぐ食べたいときはスーパーじゃなくコンビニに行きましょう!こんなヘマする人が私の友人以外にいるのかどうかはわかりませんが。
こんな本文よりも長いんじゃないかってくらいの後書き書いちゃって申し訳ありません。次回からはもうちょっと本編を長く書いていきたいと思っている所存でございます。
それと、ここまで読んでくださった読者の皆様方に感謝を。
まだまだ未熟者ですが、これからよろしくお願いします。