1/28

プロローグ

　私は２０００年ごろに「カイ」という名でホームページを開設し運営していた。山形県は酒田市という地方の街からの発信だった。この当時はインターネットがようやく一般的になりつつあったが、ホームページを個人で運営することはいろいろと敷居が高かった。

私の作ったホームページは紆余曲折の末に、高校生から社会人にかけて大はまりしたエドガー・ライス・バローズのＳＦ小説をメインコンテンツにしてアクセス数を伸ばしていった。　バローズの残した小説の中でも一番にのめり込んだ・・・最初に読んだのが「火星のプリンセス」を筆頭とする「火星シリーズ」だ。このシリーズは何度読み返したかわからない。社会人になってかっこいい車を手に入れても、助手席に座る女性といえばおふくろぐらい。なんとなく過ごす不満の残る日々。そんなときに出会った「火星シリーズ」は、日常から思いっきりすぎるほど超越したバルスームでの冒険を私に見せてくれた。また、デジャー・ソリスを始めとした火星人の美女たち。清楚でいて行動的な彼女たちに夢中になっていった。

　ああ・・・こんな火星に行けたなら・・・・。そんなこと、あるはずないけど。

ところがある日のこと目覚めたら・・・。