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【空中迷宮】の魔法剣士  作者: 千羽 銀
第一章 【異世界転移】
5/70

第四話 『スフィア』

今回は説明会となります



ソラ・カンザキ


Age:17

種族:人間族

クラス:剣士

Lv:1→2

STR:20→24

VIT:20→24

AGI:20→24

INT:20→24

MDF:20→24

DEX:20→24


【ユニークスキル】 《国士無双》


【固有スキル】

・言語理解


【スキル】

・剣術Ⅰ・投擲Ⅱ・索敵Ⅰ・解析Ⅰ


【装備】

・鉄の小剣・異世界の学生服・皮の靴


【称号】

・異世界より来たりし者



・ボーナスポイント【5】





「固有スキル?」


 スキルが二つほど増えていた。いや、それ以前にスキル欄が増えている。

 増えているのは固有スキルの【言語理解】とスキルの【剣術】だ。試しに固有スキルと念じてみる。



【固有スキル】

・希少価値,習得難度が高いスキル。



 どうやらスキルよりも上位のスキルみたいだ。でも、ユニークスキルと固有スキルは殆ど変わらないと思うんだが、この場合、ユニークスキルの方が価値としては上なのかな?

 固有スキル【言語理解】は言葉を理解できる。つまりこの世界の住人の言葉が理解できるみたいだ。そういえば俺の言葉も男は理解していたからこのスキルは相手にも適用されると見て良いと思う。ゴブリンの言葉とかは……やっぱり無理か。


 【剣術】が増えているのは俺が剣でゴブリンと戦ったからだろう。だけど習得するのが異常に早い。他のスキルもそうだが普通の早さでは無いだろう。これも《国士無双》の能力なのかもしれない。チートにも程がある。

 レベルも上がっているし、不思議な感じだ。二体目のゴブリンを倒した時に剣が軽くなった気がするが、その時にレベルが上がって俺の筋力値が増加したからだと思う。

 それと一緒に剣を上手く扱えた瞬間があったが、あの時にスキルを習得したのだろう。モンスターを倒した瞬間とレベルアップが同時だったから、習得条件はこの二つなんだろうか。


 残るは【ボーナスポイント】だ。調べてみるとどうやらステータスに振ることの出来るポイントみたいだが、これはなかなか複雑のようだ。

 STRとINTは1ポイントにつき【5】上げる事が出来る。それ以外のステータスは【3】ずつ上がるようだが、VITを上げるとMDFが【1】上げる事が出来るようで、その逆も然り。

 AGIを上げるとDEXも少し上がる。これも他のと同じようだ。

 ここで何を上げるかで今後の戦い方が変わっていくが、俺はもう決めている。

 それは『RWO』でもしてきたことだが、まさかここでもソレに賭けるとはな。まあ、下手にやるより一番それが良いか。


 俺はポイントを振り分ける。STRに1ポイント。AGIに4ポイントだ。

 何故この二つに振り分けたかは理由がある。というよりも俺の価値観に理由があると言った方がいいかもしれない。

 俺にとって戦闘とは“誰よりも速い奴が、誰よりも強い”ってのがモットーだ。速ければ相手の攻撃を避けることが出来、その速さを生かして敵に切り込むことも可能だ。敏捷に特化したから戦闘には弱いというのは虚言だ。学校でも習ったが、『力』っていうのは物質の重みと速さによって決まる。物質が重く、速いものは力が途轍もない。

 その証拠が銃弾だ。銃弾の重さは約十グラムにも関わらず、速さは音速を超える。その弾は軽々と生物の頭蓋を砕き死へと陥れる事が可能だ。

 つまり筋力値を上げて重い武器を扱うより、敏捷値を上げて身軽で、それでいて『力』を手にいれることの方が良いのだ。

 俺がプレイしていた『RWO』でもこの方法を執り、愛羽みたいなイタイ二つ名で【疾風の剣士】と呼ばれていた。まあそれは剣士としてだから、ジョブが【暗殺者】の奴には敵わなかったが。勿論防御力に全くポイントを振っていなかったからデス率は高かったけど。


「ねぇ、君!」


「んっ?」


 声を掛けられた方を向くと、さっきの男が心配そうな顔で俺の顔を見ている。

 男は三十歳ぐらいの気の弱そうな見た目で身体は細く、普段から運動していないことが見てとれた。それで剣を扱おうとしていたのだから流石に無茶だろう。


「悪かったね。危ないところを助けてくれて」


「いや、別に。たまたま声が聴こえたんですよ。行ってみたらオジサンが襲われているのを見て助けたというか……」


 男から漫画でもお馴染みの言葉をかけられるなんて夢にも思わなかったよ。


「オジサンって、僕はまだ三十代何だけど、まあいいや。助けてくれて有り難う。僕はダリウスだ。商人をやっている。宜しく」


「はい。俺はソラ。カンザ――ソラ・カンザキです。宜しく」


「それにしてもカンザキ君。君、強いんだね? ゴブリンは適正レベル5ぐらいなんだけどソレを三体も相手にするなんて……。君のレベルは10に近いんじゃないか?」


 レベル? さっきまでレベル1だったけど……。


「何を言っているか知りませんが、俺のレベルは2ですよ」


「えっ!?」


「どうしました?」


「カンザキ君……有り得ないよ。適正レベルっていうのは本人の実力によって底上げ出来るけど、それでもレベル2の君がゴブリン三体に大立ち回り出来るなんて、普通じゃないよ」


 普通じゃない、か。そういえばゲームでもそんな事を言われた覚えがあるな。でも、ゲームの世界だから出来ることであって、この世界じゃ流石に難しいのか。


「俺はダリウスさんが魔法を使ったことに驚きましたよ。俺としてはそのお陰で助かったんですけどね」

「あんなの基礎中の基礎だよ? 誰だって使えるさ。カンザキ君も知っているんじゃないの?」


 あの魔法が基礎中の基礎だと? あのゴブリンを吹き飛ばした程の威力の魔法が誰でも使える訳がない。いや、異世界なら普通なのか。なら俺が使えないのはおかしいってわけか……。


「実は俺、過去の記憶を覚えていないみたいなんですよ。気付いたらこの先にある荒野とこの森の境目にいて、魔法とかそれ以前にこの世界についても知らないんですよ」


 嘘は記憶喪失だけだ。ちょっとテンプレだったな。


「へぇ、聞いたことはあったけど本当に記憶喪失とかあるんだね。ってことは何も知らないわけか。命の恩人の為だ。色々と教えてあげるよ」


 それは願ってもない話だ。有り難く聞かせてもらう。

 ダリウスさんが言うには、この世界は【スフィア】と呼ばれている。

 スフィアは五つの大陸があり、それぞれ東、西、北、南、そして中央に分かれている。

 そのスフィアから東部に当たる【スコラット大陸】の国の一つ、【アドマンド国】に俺は居るみたいだ。かなり発展していて、他の大陸の人間、獣人が移住しているらしい。

 北には【エルメリクス大陸】があり、【スコラット大陸】と合わせてこの二つの大陸に多くの人間族が生活している。二つの大陸だけで殆どの人間が住んでいるのはおかしいと思ったが、殆どが森や草原、山や砂漠等で人間が住める地域は少ない。その地域には魔物が多いためだ。

 南には獣人族や亜人達の住む【バルア大陸】が存在する。人間は獣人や亜人に差別意識が有るらしく、人間族の領域に居る獣人と亜人は忌み嫌われ、身体能力の高さ故に奴隷にされたりしているらしい。獣人の何処が悪いんだ。あのもふもふの耳や尻尾を堪の――ゲフッゲフッ。自重自重。

 西にはエルフの神聖な大陸、【シルベール大陸】があり、人間達はエルフ達に敬愛を賞している。エルフ達は滅多に人間族の領域には現れず、現れるとしたら自然溢れる森や山ぐらいらしい。人間は森を綺麗にしようと躍起になっているみたいだが、魔物がいるんだから清掃活動なんて無理じゃないか?

 そして中央には不気味な大陸が存在する。詳細は不明。領域に踏み込んだ者は帰ってこない。その領域には協力な魔物がいるらしく、人間は誰一人として足を踏み入れない。

 謎多き事から人間達には【暗黒大陸】と呼ばれている。


 この五つの大陸には共通点ある。それは五つの大陸にはそれぞれ【空中迷宮】が存在することだ。その名の通り空中に浮いている迷宮らしく、金銀財宝が大量に眠っていると言われている。かつては強力な魔族が支配していたという話だが、初代勇者が全大陸の迷宮を攻略した際に滅びたとされている。

 どうやって迷宮に入るかというと、大陸のあちこちに存在する破壊不可の魔方陣を街の冒険者ギルドが管理しているので、申請を送れば行けるようだ。だが、ほんの数人が過去に攻略しただけで詳しくは分からない。危険も多いため攻略は手詰まりのようだ。只、攻略しなくても迷宮途中にある財宝とかで生活は出来るらしく冒険者には人気は高い。


 取り敢えず世界観はこんなところだ。次は金の価値について。

 この世界の通貨はそれぞれ『銅貨』『大銅貨』『銀貨』『大銀貨』『金貨』『大金貨』『白金貨』『閃貨』に分けられる。通貨の単位は『ゴル』で銅貨は一枚十ゴル。大銅貨は百ゴル。銀貨は千ゴルで大銀貨は一万ゴル。金貨は十万ゴル。白金貨は百万ゴル。閃貨ともなると一千万ゴルだ。


 そして魔法について話すとしよう。

 魔法とは【火・水・風・土・氷・雷・光・闇・無】に分けられる。他にも古代魔法と言われるものがあるらしいが、詳しくは知らないみたいだ。この種類の中では、〈火・水・風・土〉が一般的であり、その他ともなると習得が難しく厳しい特訓をしないといけないらしい。そして魔法には【初級・中級・上級・精霊級・神聖級】があり、魔法の扱える程度を表している。誰しも相性がいい属性があるが、それしか使えないわけじゃない。全属性を使う事が出来る人もいる。だが中級、もしくは上級の全属性を扱う者よりただ一点だけを磨いて精霊級を扱う魔導師の方が重宝されたりするらしい。神聖級も使う人物はいるらしいが、エルフが殆どらしく人間で使えるのは指の数ぐらいしかいない。

 ダリウスさんは魔法を扱ったが、アレは火属性の初級魔法に当たる。だが初級でもゴブリンを重体に遭わせたのだから俺の助けが無くても勝てたんじゃないかと聞いてみたら、そうではないらしい。魔法には詠唱を必要とするため、単発魔法の『火球ファイアボール』だけで複数の敵を相手にすることは難しいそうだ。因みに魔法は無詠唱で出来ないこともないが、イメージや魔力を特に必要とするため難しい。


 思い付いたようにダリウスさんがこの森を通った理由を聞いてみると、最初に見た荒野の先に用があるらしい。

 実は俺のいたあの荒野は【エルメリクス大陸】に通じる道らしく、ダリウスさんは拠点を向こうに構えるつもりだったみたいだ。護衛代わりの旧友を一応用意していたらしいが、荒野の先にある集落で集合する予定だったようで、その時にゴブリンに襲われたそうだ。


「カンザキ君はこれからどうするの?」


「どうするって言われても行く場所が有りませんよ。金も持ってませんし、記憶喪失ということでこの世界の常識にも疎いですしね」


 言って溜め息を吐く。よく考えたらかなりヤバイ状況だ。金の稼ぐ方法も知らないし。魔物はうじゃうじゃいるし、これからどうすればいいんだろう。

 そんな俺を見かねてか、ダリウスさんが願ってもないない提案を切り出す。


「なら送ってあげようか? 僕の目的地だった集落はギルドとかないからね。どうだい、乗ってくかい?」


「いいんですか!?」


「うん、構わないよ。正直にいうとさっきのゴブリンで馬車の中にあった荷道具が半分近く駄目になったみたいでね、一度街に戻ろうと思ってるんだよ」


 馬車の方に目を向けると家財道具や食料品が地面に落下している。馬が襲われたときに暴れたからか? 落下した家財道具は半分とはいかないまでも三割近く駄目になっているだろう。馬はゴブリンに襲われて怪我をしていたが、この世界にもあるポーションで怪我が回復していた。怪我が一瞬にして治ってしまうその光景は何だか気持ち悪くて、気分が悪くなったが顔には出さない。

 俺はダリウスさんの言葉に甘えさせてもらうことにした。目的地はここから約五日先にある街、【ラフリア】だ。短い間だが馬車の旅を楽しむことにしよう。



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