第四話 『新装備』☆
一理様より神崎空の画像を頂きました。
許可は取ってあるので、後書きに貼らせて貰いました。
ギルドでシャープベアは大銀貨四枚になった。イリスが瞬殺したからあまり印象は無いが、本来は警戒心が強く見つかりにくい。
襲うにしても少しの間様子を見るほどの知性もある。ランクの割にはかなり強い部類だ。それで大銀貨四枚は妥当と言えるだろう。
そしてシャープベアを探す際に見つけた蜂の巣の二つの内一つをギルドに納品した。しっかりと火魔法や教わった方法で処理したから大丈夫だと思う。報酬は大銀貨三枚にもなった。
ハチミツのような甘味はこの世界では人気が高い。娯楽もこれといったものが無いのだ。その代わりとしてあるのはやっぱり食べ物だろう。
只、危険性が高い森の中に巣を作っている場合が多いため、普通は冒険者等の実力者に依頼するしかない。
つまり依頼するのは予算のある貴族が多い。更に明後日、【アドマンド国】の王城で国王の誕生日パーティが開かれるらしい。国としては豪勢な料理にしたいだろうし、報酬が高くなるのはこちらの懐としても嬉しい。
そういえばさっきのシャープベアとの戦闘でイリスのレベルが一つ上がった。最近はレベルの上がる頻度が減ってきている。そろそろ強い敵を倒していかないと上がらないかもしれない。
ちなみにステータスは、
ソラ・カンザキ
Age:17
種族:人間族
クラス:魔法剣士
Lv:22→28
STR:190→223
VIT:124→157
AGI:228→261
INT:156→189
MDF:124→157
DEX:179→212
【ユニークスキル】 《国士無双》
【固有スキル】
・魔法剣“紅蓮”
・言語理解
【スキル】
・剣術Ⅲ・体術Ⅲ・投擲Ⅱ・索敵Ⅱ・解析Ⅰ・回避Ⅲ・料理Ⅲ・身体強化Ⅱ・魔力操作Ⅱ・火魔法Ⅲ・水魔法Ⅱ・風魔法Ⅱ・土魔法Ⅱ
【装備】
・鋼鉄の太刀・鉄の小剣・灰狼の外套・鉄の籠手・革の靴
【称号】
・異世界より来たりし者
・迷宮攻略者
・ボーナスポイント【55】
◇
イリス
Age:16
種族:半長耳族
クラス:魔術師〈奴隷〉
Lv:12→23
STR:46 →74
VIT:46 →74
AGI:58 →108
INT:154→280
MDF:46 →74
DEX:85 →160
【スキル】
・弓術Ⅲ・早撃ちⅡ・魔力操作Ⅱ・火魔法Ⅱ・水魔法Ⅲ・風魔法Ⅲ・土魔法Ⅱ・氷魔法Ⅰ
【装備】
・隷属の首輪・ミスリルのローブ・魔導杖【漆雨】・魔鋭弓・皮の靴・エルフのペンダント 『魔力増強』
【称号】
・エルフの血を継ぐ者
・ボーナスポイント【0】
俺もイリスも良い感じに成長している。イリスの魔法なんかは、既に俺とは比べ物にならないレベルまで達している。これで俺は近接、イリスは遠距離と役割がしっかりと分けられたわけだ。
俺のボーナスポイントはしばらく使っていない。サイクロプス戦でレベルが20台に到達してからレベルの上昇はあまり良くない。だからここから先の戦闘でスタイルを確実にするまでは保留にしておく事にした。
俺達はギルドを後にし、遅くなる前に着くように早足でオッサンの所へ向かった。
武器屋の扉をその勢いのまま開く。扉の取っ手がミシリと音が鳴ったが気のせいだろう。
「オッサン、来たぞ。武器、出来たんだって?」
「ソラ様……ノックするか、せめてゆっくりと開けましょうよ……」
イリスが俺と扉を交互に見ながら溜め息を吐くように声を掛ける。いや、もう慣れちまったし。これが普通になってるからな、難しいぞ。
俺達が店内に入ってから直ぐに奥からオッサンが現れた。額に青筋を浮かべ、俺を睨み付けている。
「坊主、別に入ってくるなとは言わねぇ。だけどな、最近お前のせいで取っ手の調子が悪いんだよ! いい加減覚えろ!」
「それは俺のせいなのか……?」
もしかしたら俺じゃないかもしれないじゃないか。オッサンも見た目では力が強そうだし、他の客かもしれないぞ。
「お前に決まってるだろ? 俺の店に来るのは坊主らぐらいしかいないからな!」
「言ってて悲しくならないか!?」
やっぱりオッサンも気づいていたんだな、自分の店の人気のなさが。良いものは作れるんだから人気が出る筈なんだけど……やっぱり店主の評判が悪いからか?
「悪かったよ。それで、出来たんだってな? それってどれだ?」
「来て早々仕事の話か。まあ、良いがな。ちょっと待ってな。あ、嬢ちゃんはそこの椅子にでも掛けておいてくれ」
「ありがとうございます」
オッサンはイリスに椅子を勧めて店の奥に消えていった。おい、俺の分の椅子は無いのかよ。
そんな不満を持ちつつ、五分もしない内に俺の目的の品を抱えたオッサンが戻ってきた。
「ほらよ。坊主の望み通り造ってやったぞ。久し振りに良い仕事させて貰ったぜ」
色々とある物から一番目立ち、そして一番期待していた物を掴む。
「そいつは勝手に名前を付けさせて貰った。名は――【蒼月】」
「蒼……月」
鞘から抜いたその刀身は、仄かな蒼色の光を纏っている。特徴的なのはその反りだ。大きく反り、更に刀身は大太刀に分類されるほど長い。
「坊主が持ってきた【ミリール鉱石】を刀の形に加工するのは大変だったぜ。だが、その分斬れ味と強度には自信がある。間違いなく良い作品だ」
『RWO』の時はこの刀と同じくらいの大きさの物を扱ってきた。だからだろうか。何故か手に……馴染む感覚。
試しに刀を確かめるようにゆっくりと振ってみる。
「重いな……」
「そりゃ当然だろ。刀は鉱石を圧縮し、緻密にして造るんだぞ。だから強度があるんだ。そう簡単には折られねぇぜ」
良いこと尽くしだが、扱いは難しそうだ。慣れるまでは今の刀を使うことにするか。でも、やっぱり使ってみたいな。明日でも魔物で試し斬りを……。
「ソラ様、凶悪そうな顔をしてますが、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。ちょっと疼いちまっただけだから」
「何がですか……」
少し落ち着いてから頼んでいたもう一つを手に取る。
「【単眼黒鬼の外套】だ。それ、調べてみたが、サイクロプスの変異種だったみたいだぞ。Dランクの小僧が手に入れることなんて信じらんねぇがな」
【審判の祠】で戦ったサイクロプスの素材で造った外套だ。
あのサイクロプスの特徴を持った漆黒の外套。魔法には弱いという特徴があるが、打撃にも斬撃にも強い。俺の【灰狼の外套】の後釜に最適だな。
「後、サイクロプスの皮が余ったから手甲も造ってみた。これも持っていけ」
オッサンが渡してきたのは黒い手甲。
「良いのか? くれるって言うなら貰っておくが、金は幾らだ? 高いんだろ」
「金は要らねぇ。なんとなく造っただけだからな。持っていけ」
「ありがとう。悪いな」
早速【単眼黒鬼の外套】と【単眼黒鬼の手甲】を装備し、【蒼月】をインベントリに仕舞う。うん、一つレベルが上がったみたいだ。冒険者としての。
「格好いいです!」
イリスにも好評価を得た。俺も格好いいとは思うが、学校の奴等には見せれねぇな。中二病とか言われそう。
「ありがとな、オッサン。で? 金は幾らだ?」
「まあ、大金貨一枚かな」
……………………ん?
「今、大金貨って言わなかったか?」
「言ったぞ」
思わずイリスの顔を見る。イリスは苦笑しながら頷いた。
「高くねぇか!? 百万だぞ!? 高校生にそんな大金求めんなよ!」
「なんだよコウコウセイって! 言っとくがな、これでも安いんだからな。【蒼月】造るだけでどれだけの砥石を使ったと思う? 外套を造るのにどれだけのミスリル糸造ったと思う!」
そう言われると反論できない。鍛冶に関しては俺は全く知らないが、アランさん達はこれ以上に金を掛けていた気がする。
幸い、金は大金貨一枚と金貨が数枚あるから払えるが。
「判ったよ。ほら」
「毎度!」
オッサンに俺は良い金ヅルだと思われてないか心配だ。そんなことしたらシバき上げるが。
「じゃあな。また来るわ」
「おう。いつでも整備してやるからな! 金貰って。嬢ちゃんもまたな」
「はい、ありがとうございました!」
俺達は武器屋を後にした。心強い装備と共に。
――腹いせで取っ手を壊しちまったけど、今は反省しています。はい。
【スフィア】解説
・五つの大陸
【スフィア】には、菱形状に五つの大陸が存在している。
東には【スコラット大陸】。主に人間族が存在。
西には【シルベール大陸】。エルフや精霊が存在。
南には【バルア大陸】。主に獣人族や亜人が存在。
北には【エルメリクス大陸】。主に人間族が存在。
そして中央には【暗黒大陸】。主に魔物達が存在する謎多き大陸。
この五つの大陸にはそれぞれ【空中迷宮】が空を浮遊している。
只、どの大陸もそんなに大きくなく、一つの大陸で地球に存在する日本と同じ程の面積しかない。
【暗黒大陸】だけはもう少し規模が大きいと言われているが、確かめる術は今はない。
◇
フードは着脱式だそうです。刀は【蒼月】ですよ。