序章
オギャーオギャー
「生まれましたよー、元気な赤ちゃんですねー」
助産師によって持ち上げられた赤ん坊は愛らしい顔であった。
「おおっ!!」
父は我が子の誕生を心から喜んでいる。
「はぁ、はぁ、よかった……」
母は初めての出産に疲れながらも安心しているようだ。
神暦1500年7月27日
魔族の父ライゼと母コラールの間に生まれしその子供はゼーレと名付けられた。
「母さん、ご飯まだ?」
「ちょっと待ちなさい〜」
なんの問題もなく育ったゼーレはもうすぐ7才の誕生日を迎えようとしていた。
魔族では7才になると親から魔法の杖をプレゼントされる習慣がある。これは、初代魔王であるロート=ハイリッヒが7才の時に魔族を統一した事に由来する。
ここで突然の語り部紹介だが、この儂こそが、7才にして魔族統一を果たした希代の天才、ロート=ハイリッヒである。50の時に大規模な召喚魔法陣の発動に失敗し、この世を去ったのは実に3000年前の事だ。いやー、出来るとおもったんだけどねぇー。
何故お偉い様である儂がゼーレを見守っているかという事なのだがな、この子は儂に匹敵するような魔力を持っているんだ。
この子が生まれた時、冥府の役人が「えらいこっちゃ」と言って、儂を監視役にこさせたというわけじゃ。
あ、これから儂の語尾は「じゃ」でいくからよろしく。
まぁ、何か問題を起こしても儂は何もせんがのぉ。あひゃひゃ!!
閑話休題じゃ。本編に戻るぞい。あ、本編では「じゃ」はつけないのでそのつもりでな。
「出来たわよー」
その日の夕飯はカレーライスだった。
「うわぁー美味しそう!」
スパイシーな香りが食欲をそそる。
「いっただっきまーす!」
ゼーレがスプーンでカレーを口へ入れようとしたその時だった。
バン!!、と大きな音を立てて家のドアが開いた。
「どうも〜、魔族奴隷社と申します〜。コラール様、人族の王、ヴィリアース様の命により人族の土地、アースへの2週間のクルーズに参加していただきま〜す」
……人族だった。
魔族は先の戦争に負けたことで、人族の奴隷にされていた。
魔族は何時奴隷として招集されても拒否できないことになっていた。
「ぁあっ!!」
コラールは連れ去られる。
「母さん!!待ってよ母さん!!」
ゼーレは泣き叫ぶ。
「ゼーレ、元気で暮らすのよ。父さんと仲良くね」
「母さん!!嘘でしょ…母さん!!」
行ってしまった。母さんが。奴隷として。
ゼーレは決意した。必ず母さんを人族から連れ戻すと。そして、魔族を人族の支配から解放すると…
⇨To Be Continued?
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あまり今後の展開を考えずに書いたので、矛盾が生じるかもしれません。
すいません。