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2.バカップル様のご訪問

「やっほ! 久しぶりね、テル!」

「元気そうで何よりだ」


「アハ、アハハ……」


 また来ましたね。

 もう苦笑いしか浮かべられません。この人たちは何のために此所に来るんでしょうか。帰ってほしいです、かなり。テルというのは勝手につけられた私の愛称です。


「ほらお土産ー! これね、今 話題になっているシュリの実のタルトよ♪」


「桜梨が作ろうとしたんだけど焦げちゃってね。ごめんだけど売り物。桜梨が作ったものだったらもっと美味しかっただろうねー」


「やだ、もう♪ うまいんだから!」


 何ですか、このバカップル。帰ってほしいです。物凄く帰ってほしいのですけれど。人の家に何しにきてんですか。イチャイチャするのは自宅でお願いします。

 とりあえずタルトは戴いておこう。因みにシュリの実とはとても甘い果実です。


「ありがとうございます。して、今日は何をしに?」


「テルと話にきたの!」


 またですか……。またなんですか……。もうどうにでもなれ。

 私はお二方に椅子に座るよう勧め、私もテーブルを挟んで向かい側の椅子に座った。バカップル様は腕を組んでいらっしゃる。だからイチャイチャは自宅でやってください。


「あのね、テル。私達、ついに結婚することになったの!」


「テルが一番に聞けた人物だ。誇っていいよ」


「……えーと、おめでとうございます」


 そういえば、結婚してませんでしたっけ。因みにそんなことで誇りません。

 あまりにもラブラブだったんでもう結婚してるのかと思ってました。そういえば結婚式を挙げたなんて話は聞いてなかったです。

 だったらこれであのお二方も大人しくなるでしょうか。だって結婚した相手を奪うだなんて……ありそうで怖いです。もしそうなったらどうしましょう……。


 とりあえず安物だが紅茶を入れ、お二方にさし出す。


「どうぞ」


「ありがとー♪」

「ありがとう」


 ……バカップルじゃなければ、普通の方だと思うのですけれど。


「それでね、はい。招待状よ。是非きてね! 特等席を用意してあるわ!」


「いい位置で見られることを保証するよ」


「黒斗のカッコいい姿を見て惚れちゃわないでね?」


「それだったら龍も特等席だから桜梨に惚れちゃわないか心配だなぁ」


 ……いったい何なんでしょう、この人たちは。見せつけですかね? 恋人もいない私に。いや、別にそういうのに興味はないんですけど。龍というのは龍炎様の愛称です。

 それに黒斗様はカッコいいとは思いますが、このバカップルっぷりを見せられて惚れることはまずありません。因みに龍炎様が桜梨様に惚れることはないと思いますよ。桜梨様に対しての罵倒がこの家で飛び交うことが多いですし。


「そういえば話は変わるのだけれど、テルは付き合っている男性はいないの?」


「は?」


「だってテル、容姿すごくいいじゃない? モテそうだし、恋人の1人や2人いてもおかしくなさそうだもの」


「あぁ、確かにね」


 いや、何でそんな話になったのでしょうか。意味が分からないんですけど。まず容姿もよくないんですけど。お世辞ですか、そうですか。

 それと恋人の1人や2人って2人いたらおかしいでしょう。二股は私は快く思いませんよ、桜梨様。


「いませんよ。いるように見えましたか?」


「「いや、全然」」


「…………じゃあ何で聞いたんですか」


「「念のため?」」


 息ピッタリ。ホント何なんでしょう、このカップル。


「それに、私はどちらかというと殿方が苦手なので」


「え、そうなの?」


「はい」


 一緒に旅をしていたのに、桜梨様はいったい何を見ていたのでしょうか……。

 旅の最中で、私は極力 男性との接触は避けました(いや、誤解のないように言っておきますがさしあたりがない程度に)。黒斗様、龍炎様、フェック様は慣れましたが。


「うーん……。あ、ねぇテル。フェックは?」


「え゛」


「え、じゃないわよ! どう?」


 どう、じゃないですよ。フェック様は貴女様に惚れていらっしゃるので論外でしょう。選択外でしょう。ていうか気づいていらっしゃらない?

 ……いや、それはないと思うんですけど。でももし気付いてなかったらかなりの鈍感……。


「いや、フェック様は、」


「ないよね。何となくテルの好みじゃなさそうだ」


 ……返事きく気は全くなかったですよね。私の返答なんて気にしてなかったですよね。

 ていうかさりげなくフェック様が可哀想な言い方をされたような気がするのですが。気のせいですか、気のせいですよね。そういうことにします。


「じゃあ! 龍君は?」


「龍炎様ですか? 彼は、」


「テルは龍君と仲いいし、やっぱ脈アリなんじゃないの!?」


 ……話を聞く気あるんですか、この人達は。

 何故か嬉しそうに、キラキラとした目で桜梨様が見てくるのがとても気になるのですが。それと何か企んだような笑顔を向けるのやめてください、黒斗様。


「あの、龍炎様は大切なご友人でございます。そういった対象で見たことは……」


「じゃあそういう対象で見て! どう?」


「えぇ……」


 どうあっても私の恋愛事情に首を突っ込むきですよね、このバカップル様たちは。

 というか私、初恋もまだな女の子とも言いがたい人間なのですが。因みにいうと、告白されたことはありません。やっぱり恋愛には無縁なのではないでしょうか、私。


「龍炎様を恋愛対象……」


 うーん、と考える。

 龍炎様はお優しいです。唯一、私の苦労を分かってくださる方です。

 この前もわざわざ帰る際に寝てしまった私にブランケットをかけてくださいました。あれは本当に悪いことをいたしました……。

 龍炎様は黒斗様と同じくらい容姿がいいです。桜梨様のいう「いけめん」とやらに入るのでしょう。私も何回か偶然ですが告白されているのを見ましたし。モテる、とはああいったものを言うのでしょうね。黒斗様と龍炎様と桜梨様が揃ったら輝いて見えますよ。


 ……あれ、恋愛対象ってどういう風に見ればよろしいのでしょうか。


「恋愛対象で見るって、どのように見ればよろしいのでしょうか?」


 すると「ハァ」とお二人様から溜め息を頂戴いたしました。いりません。


「これは、長い道のりになりそうだわ……」


「そうだね……」


「あのー、お二人とも?」


 何を仰っているのか全く分からないのですが。

 するとお二方は急に立ち上がりました。な、何ですかいったい。さっきからよく分かりません。


「テル、今日はもう帰るわ」


「はぁ……」


「とりあえず恋愛っていうのを学んできて。これは宿題だ」


「は、」


「じゃあ帰りましょ」


「そうだね」


「え、ちょ、宿題って、」


 何ですか、そう聞く前に出ていかれてしまった。

 訳がわからない。私はただ首を傾げることしかできず、ティーセットを片付けるのであった。



(誰もが認めるバカップル)

(意味がわからないのはいつものことです)

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